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これは魔法の書です。  作者: わおん
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051

小学3年生、学校からの帰り道、


僕は、趣味を探す為に、寄り道をしていた。



そして、山の近くの、不法投棄のゴミの中から、


ステンドグラスを見つけた。



それは、素人が作ったモノであった。


全てが未完成。



下手クソだった。


正真正銘のゴミだった。



その中でも、無様だったのが、


植木鉢に、粘土でガラスを、


貼り付けた作品だった。



おそらく、タイル細工の、真似なのだろう。


これも途中で終わっていた。



ステンドグラスは、割ったガラスの周囲を、


金属で縁取りして、それを連結させ作品にする。



おそらく、それが面倒だったのだろう。


だから、安易に粘土に押し付けたのだ。



不快な程、雑な作品だった。


綺麗な色ガラスが台無しである。



僕は、その植木鉢を割った。


そして、ガラスを回収する。



『24枚・・・』


『どうやって持ち帰るか・・・』



ゴミ袋の中にノートを見つけた。



ステンドグラスの製作ノートらしい、


使われていたのは、


最初の3ページだけだった。



そこには、落書きの様なイラストと、


説明が書かれていた。



僕は、そのノートから、数ページ千切り取ると、


ガラス片23枚を、しっかりと包み、


ランドセルにしまった。



そして、1枚残したガラス片を、


とりあえず、筆箱の中に入れた。



では次に、残りの平面作品である。


葉書サイズではあるが、11枚もある。



これを、隠して持ち帰る事は、出来ない。


仕方が無いので、穴を掘って、埋める事にした。



しかし、その為には、草を抜く必要があった。



ところが、簡単には抜けない。



地面が、ガチガチに、固まっていて、


そこに根付いた草は、丈夫だった。



その時、僕は、ひらめいた。



『ラムネが、分解出来るなら・・・』


『地面も、分解出来るのでは・・・?』



僕は、ラムネを6粒食べた。



ラムネを食べても、その瞬間に、


効果が出る訳ではない。



効果が出るには、数分かかる。



つまり、このラムネは、この後、


意識を失う事を、防止する為のモノである。



僕は、右手で草を握り、左手を地面に着けた。


そして、分解を開始する。



右手で、草をゆする。


左手で、地面の分解を行う。



数秒後、ズルズルという感触で、草が抜けた。



『これだ!』



この方法で、50センチ四方の草を抜いた。



では、ここからである。



先ほど割った植木鉢を、スコップにして、


深さ30センチ程度の穴を掘る。



土を分解した為なのか?


草を抜いた為なのか?



土は簡単に、掘る事が出来た。



しかし、土の中には石がある。


それが邪魔で、作業が進まない。



無理をすると、植木鉢スコップが、


割れてしまう。



そして、ひらめいた。



『分解出来るなら・・・』


『硬くする事も、出来るのでは・・・?』



方法など解らないが、


それは、分解するのも同じ事である。



『方法など解らない・・・』



しかし、なぜか分解するのだ。



つまり、今、この植木鉢スコップが、


『丈夫に成れば良いのに・・・』


と思った事で、


その魔法は、発動しているハズである。



しかし、石は、突かない。



僕の目的は、あくまでも、


手や服を汚さずに、土を掘る事である。



服が汚れれば、母に、寄り道がバレるのだ。



それを防ぐ為に、必要なのは、


土を掘る事である。



石と、戦っている訳では、無いのだ。


本質を、見失っては、いけない。



その後、植木鉢スコップを、


テコの原理で使い、石を取り除く。



意外と、スムーズに掘り進めた。



『魔法の効果なのか?』



そして、ステンドグラスの、


平面作品11枚を、


ゴミ袋のまま、穴に入れ、土をかぶせてた。



『これで良し!』



その後、僕は、先程の青いガラス片を、


筆箱から取り出した。



サイズは、2センチの平行四辺形、厚さは3ミリ、


右手に軽く握り、家に向かい歩き出す。



その際、この青いガラス片を、


分解するのか?


丈夫にするのか?


そんな事は考えない。



成り行きに、まかせる。



しかし、現実的に考えた場合、


僕の無意識は、分解を選ぶハズである。



微妙に固く成っても、その確認は困難である。



他のガラスと割り比べても、


その判定は、難しい。



つまり、合理性に欠けるのだ。



家の近所まで来ると、


手の中のガラス片を確認した。



特別、変化した様子は無かった。



僕は、それをポケットに隠すと、家に入った。


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