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これは魔法の書です。  作者: わおん
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47/2589

047

当時、小学2年生の僕は、


重大な問題に直面していた。



『魔法で、ガンを治しては、いけない・・・』


『そんな事を、すれば・・・』


『人間の世界が、崩壊してしまう・・・』



僕が、ガンを治した場合、


それは、世界に知られる。



隠す事など出来ない。



僕は、走っていただけで、


祖母のガンを、治した孫として、


地元で、有名に成ったのだ。



『では、本当に、ガンを治せる・・・』


『その事実が、バレた場合・・・』


『何が起きるか・・・?』



ガン患者とは、


病院で、ガンと、診断された人である。



つまり、本人、あるいは、家族が、


ガンである事を、知っているのだ。



もちろん、病院にも、その記録が残っている。



そこに、僕が現れ、ガン患者に、何かをする。


その後、ガンが消えている・・・



誰だって、僕の存在に注目する。



僕が、どれだけ演技をしても、


僕が治した事は、バレてしまう。



そして、噂が広がり、


多くの人が、僕の存在を知る事に成る。



『ガンを治せる少年がいる・・・』


『不思議な力で、ガンを治療してくれる・・・』



すると、



『お医者さんは、どう成る・・・?』


『医療機器メーカーは・・・?』


『製薬会社は・・・?』


『どう成る・・・?』



『この優秀な人たちは、一体、どう成る・・・?』


『生活は・・・?』


『誇りは・・・?』 


『どう成る・・・?』



手術を受けても、死ぬ事がある。


つまり、人は死ぬ覚悟で、手術を受けるのだ。



それでも、お金を払う。



この価値観で、この世界は、成立しているのだ。



『そんな世界に、魔法が登場したら・・・』


『誰が手術を、受けるだろうか・・・?』



『ガン治療の研究に・・・』


『100億円を使うだろうか・・・?』



『僕が無責任に、人を治し続けたら・・・』



『僕が死んだ後、世界の医療は・・・』


『どう成っているだろうか・・・?』



都合の良い、解決方法は、思い浮かぶ。



僕が、高額を要求して、


一部の人しか、助けない様にする。



そして、その稼ぎを、


医療の進歩に、使ってもらう。



しかし、そんなモノ、幼稚な空想である。


僕1人の考えで、物事が進む訳では無い。



そこには、誰かが加わるのだ。


それが世界なのだ。



そして、必ず、納得行かない状況に成る。


思った通りには、改善出来ない。


とても困った事に成る。



僕が、数十年間、人の命を助け続ける事で、


その後、それ以上の人が、死ぬ事に成る。



『僕が魔法を使えば、医療は衰退する・・・』


『医学が失われる・・・』



『だから、魔法を使ってはいけない・・・』



小学2年生の間、僕は毎日、


この様な事を考えていた。



以前の僕は、魔法が使いたかった。



だから、それを我慢する事で、


ストレスが溜まり、魔法の暴走が起きていた。



しかし、この時期の僕は、


魔法を使おうとは、思わなかった。



使うのが嫌だった。


恐かったのだ。



では、魔法は暴走しないのか?


というと、そうでは無い。



毎朝の、魔法消費は、必要だった。


魔法を使い、疲労させ、



『これで大丈夫』



という安心感を、自分に与えないと、


必要に応じて、モノが動くのだ。



誰も居ない場合に、限定されるが、


魔法が勝手に、発動する事は、事実であった。



『使っては、いけないのに・・・』


『使わないと、いけない・・・』



僕は、そんな矛盾に苦しみながらも、


魔法の消費を続ける以外に、方法が無かった。



その為、毎朝、歯磨きの時、


コップに、ラムネを入れて、


溶かす事が、僕の日課に成っていた。



ところが・・・



小学3年生に成る前に、これも困難に成った。



コップに入れた瞬間、ラムネが、溶けてしまうのだ。



そして、この方法で、魔法を消費するには、


60粒、必要に成った。



60粒を、同時に入れた場合、


全てが同時に溶けてしまうので、意味が無かった。



結果、1粒入れ、溶けたら、また1粒入れる。


これを、60回繰り返す必要があるのだ。



これでは、続ける事が出来なかった。


バレてしまう。



ちなみに、僕は、3粒の時点で、


この方法は、終了している。



別の問題が、起きたのだ。


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