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これは魔法の書です。  作者: わおん
42/2326

042

小学1年生、2学期・・・



学校から、家に帰ると、僕はトイレに入った。



もう、息を止めて、時計を見る事も、


超ギザギザ飛行も、やっていない。



魔法の力が強く成り、その程度の事では、


魔法を使った達成感は、得られないのだ。



だから、便座に座り考えた。



僕は、悩んでいた。



『これから、どうするか・・・?』



悩む・・・


しかし、悩んでも、答えは出ない。



「どうしよう・・・」



そう言いながら、僕は、ある事に気付いた。



「どうしよう・・・」


『これを千回言っても、答えは出ない・・・』



つまり、「どうしよう・・・」と悩んでも、


無駄なのだ。



『では、どうするか・・・?』



僕は、その方法を、知っていた。



まず、先にヒントを決める。



本当は、ヒントでは無いが、


それを、ヒントとして利用する。



『トイレ・・・・』



そして連想する。



『水・・・・』


『水を使う・・・』


『水で、魔法を使った達成感を得る・・・』


『水洗トイレ・・・・』


『流れる・・・・』



『回転する・・・』



『洗濯機・・・』


『洗濯物を、魔法で動かす・・・・』


『家族に見付かる・・・駄目だ・・・』



『洗濯機以外で・・・・』



『鍋に水・・・』


『家族に見付かる・・・駄目だ・・・』



『風呂・・・』


『1人で入る事は、禁止されている・・・』



『見付からない水・・・』


『水筒・・・!』


『水筒の中の、水を回す!』



『下校中なら、見付からない・・・』


『下校中に、魔法を使える・・・』


『達成感が得られる・・・!』



『つまり、帰宅後の、ラジコン遊びの時・・・』


『ラジコンの暴走は、起こらない・・・』



実の所、ラジコンカーは、暴走している訳では無い。


ある程度、僕の意思で動いている。



現在、僕に出来る、唯一の魔法の消費方法、


それが、ラジコン遊びなのだ。



その為、この時間を有効利用する為、


僕と、僕の無意識が、母の動きに警戒しながら、


無茶な魔法を使っているのだ。



しかし、この場合、


魔法が、日々進歩してしまう。



魔法が成長して、ラジコンカーの動きが、


日に日に、非現実的に成っているのだ。



『バレるのは、時間の問題だ・・・』



そして、今、僕は、トイレで、


ひらめいたのだ。



『下校中に、水筒の水を回すだけ・・・』


『長時間、魔法が使える・・・』



『つまり、達成感が得られる・・・』



『過剰な魔法では無い・・・』


『普通の魔法を、長時間使うだけ・・・』



『ベッドの中でも、出来るのでは・・・?』



『これなら、魔法は成長しない・・・』



『ベッドで、寝ているだけ・・・』


『下校中、歩いているだけ・・・』


『運動効果も、低い・・・』



『無駄に、体力は向上しない・・・』



『これだ・・・!』



まず、水筒が、必要である。


そこに麦茶を入れ、それを回す事に成る。



しかし、僕は、幼稚な人間である。



僕は、その事を、理解している。


だから、思い浮かべる。



『そんな事が、本当に可能なのか・・・?』



『下校中・・・』


『水筒を見ながら歩く・・・』


『ダメだ・・・』



『水筒では、中が見えない・・・』


『では、ペットボトルを使う・・・?』



しかし・・・



『ペットボトルを、見ながら歩けるのか・・・?』



『登校中は、姉に注意される・・・』


『だから、何も出来ない・・・』



『しかし、下校中なら、1人だ・・・』



『でも、本当に、出来るのか・・・?』



僕は、この地域では、有名である。



『そんな僕が、ペットボトルを・・・』


『見ながら歩けば・・・』



『目立ってしまう・・・』



『つまり、見ないで回す必要がある・・・』



そこで、考える。



『では、回っている事を・・・』


『どの様に確認する・・・?』



『氷を入れる・・・』


『カラカラ音がする・・・』



『登校中は、姉に気付かれる・・・?』


『そして、下校時には、溶けている・・・』



『では、ペットボトルを凍らせる・・・』



『下校中まで、溶けないレベル・・・?』


『駄目だ、母が不自然に気付く・・・』



『僕が、何か練習している事に、気付く・・・』


『僕は、信用されて、いない・・・』



『でも、氷の溶けない水筒なら・・・』



季節は、9月だが、


僕が住んでいる地域は、豪雪地なので、


この季節に成ると、比較的、涼しい・・・



『この季節に・・・』


『氷を沢山入れて行ったら、不自然・・・』



そして、ひらめいた。



『ジュースで氷を作る・・・』


『それを、水筒に入れて行けば・・・』



『僕は、ブドウ糖不足体質・・・』


『つまり、それを口実にすれば・・・』


『許される・・・ハズ・・・』



名案に思えた。



しかし、だからこそ、考え直す。



『本当に大丈夫か・・・?』



『歩く事での、カラカラ音と・・・』


『魔法で回した、カラカラ音・・・』


『僕に、区別出来るのか・・・?』



アイデアは、次々と出てくる。


しかし、それが使える訳では無いのだ。



そもそも・・・



『見ないで回す事は、可能なのか・・・?』



僕は、過去に目を閉じて、魔法を使った事がある。


ドアは無理だったが、ラジコンは戻って来た。



『では、水筒の氷は・・・?』



『本当に、水筒の中の氷を・・・』


『回転させる事が、出来るのか・・・?』



僕は、台所に行って、ガラスのコップに、


麦茶と氷を入れ、リビングに戻った。



コップは、手に持ったままである。



麦茶に浮かぶ氷が、スローモーションで見える。



その瞬間、氷は、魔法の力で、


コップの内壁に沿って、グルグルと回り始めた。



ここで、目線を外す。


登下校中は、目を閉じる訳ではない。



だから、今回は、目を閉じるのでは無く、


テレビを見る。



『それでも回るのか・・・?』



問題は、音が鳴らない事であった。



円筒形のコップの内壁と、


それに沿って回る氷・・・



『音がしない・・・』



『ペットボトルであれば、鳴るだろうか・・・?』


『四角いペットボトルを使うか・・・』



『それでは、下校までに氷が溶ける・・・』



そんな事を考え、数秒後、コップを見てみる。


すると、氷は回っている。



『しかし、これは、目線を外す前の勢いで・・・』


『回っているのでは・・・?』



そこで、僕は、再び、目線をテレビに戻す。


今度は、2分後に、コップを見る事にした。



この2分が長く感じる。



僕の魔法には、大きな問題があった。



僕には、魔法を出している感覚が、無いのだ。



走っている最中、


背中を「押されている」感覚はあるが、


背中を「押している」感覚は無いのだ。



つまり、僕には、


『今、魔法が出ているのか・・・?』


それが解らないのだ。



つまり、氷を押している感覚が無い。



目線を外しているので、


本当に、魔法が出ているのか、解らない。



2分後、コップを見ると、氷は溶けていた。



『回転の結果、溶けたのか・・・?』


『それとも、止まった状態で・・・』


『自然に溶けたのか・・・?』



おそらく、回転によって、早く溶けたのだと思う。



『しかし、2分程度で、氷が解けるのか・・・?』



そこで、今度は、麦茶の入ったコップに、


ラムネを1粒入れてみた。



ラムネが底に沈み、コップの底で、


内壁に沿って、回り始める。



しかし、ラムネは小さいので、麦茶は回転しない。



つまり、ラムネだけが回っている。


『よし!』


タイミング良くCMが始まった。



『これが終わるまで待つ・・・』



僕は、コップは見ずに、テレビを見ている。



『ラムネは、回り続けているだろうか・・・?』



CMが終わったので、コップを見る。



すると、ラムネが無い・・・


「えっ?」


思わず声が出る。



このラムネ菓子は、比較的、丈夫であり、


麦茶に入れて、かき混ぜても、


2分程度で溶ける訳がない。



つまり、魔法の何かが作用して、


ラムネを溶かしたのだ。



『すると、先ほどの氷も・・・?』



もう1度、ラムネを1粒コップに入れた。



そして、今度は、コップを見たまま、


2分ほど回転させた。



すると、



『溶けない・・・・』



『見ている場合は、回転する・・・』


『見て無い場合は、溶ける・・・?』


『この違いは・・・?』



『別のタイプの魔法・・・?』


『動かす魔法と、溶かす魔法・・・?』



もう、何が何だか解らなく成った。


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