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これは魔法の書です。  作者: わおん
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魔女狩りを行う目的、


それは、その人物と、その家族の財産を、


うばう事である。



そして、それを資金として、


布教活動を行うのだ。



元々、魔女というキャラクターは存在したが、


魔女狩りの為に、そのキャラクターに、


邪悪を盛り込んだ。



その象徴がトンガリ帽子である。



魔女は、トンガリ帽子をかぶっていて、


そのトンガリは、悪魔の角を象徴している。



つまり、魔女は、自分が悪魔を崇拝している事を、


悪魔に伝える為に、トンガリ帽をかぶっている。



という設定を加えたのだ。



それ以外にも、


魔女は、ワシ鼻である。



貪欲の性質が顔に出て、


その鼻が、死者の目玉に食らい付く、


ワシのクチバシの様に、成って行く。



魔女には、イボがある。


それは、長年、毒薬を調合した事での、


後遺症である。



そして、魔女は、ホウキで空を飛ぶ・・・



つまり、病気は、魔女が運んで来るのだ。


つまり、病気は、魔女の仕業である。



と、この様な噂を広めたのだ。



当時、医療は発達しておらず、


多くの人は、病気で家族を失っていた。



そんな時代に、


病気の原因が魔女である・・・


魔女が毒薬で、病気を広めている・・・



その様な噂を、聞かされた民衆は、


どうしたか・・・?



積極的に、魔女狩りに協力したのである。



ところが、現実問題、


トンガリ帽に、ワシ鼻の老婆など、


存在しない。



そんな人物がいたら、その場で殺されただろう。



つまり、魔女の姿をした人物など、


存在しないのだ。



では、どうしたか・・・?



教会の人間が、


1人の女性を、


魔女だと決め付ける。



もちろん、その人物は、魔女では無い、


普通の女性である。



老婆でさえない。



しかし、近所では、


評判の良くない女性であった。



そんな女性を見つけては、


「この女は魔女である・・・」


その様な決め付けるのだ。



この女は、


今は、まだ、普通の姿をしているが、


その心は、すでに魔女である。



将来、魔女に成って、


我々に疫病を広める・・・



その様に言いふらすのだ。



もちろん、その女性は否定する。



そこで、裁判が行われる。



しかし、それは、事実上、拷問であり、


魔女である事を、認めるまで、続けられる。



もし、認めずに死んだとしても、


聖なる水で溺れ死んだのだから、


こいつは魔女だった・・・



その様に宣言される。



あるいは、拷問に耐えられず、


魔女であると、認めた場合・・・


生きたまま、焼き殺された。



もちろん、その人物は、魔女では無い、


純粋な被害者である。



しかし、絶大な力を持つ者・・・


キリスト教徒を利用する者によって、



民衆は、コントロールされ、


魔女狩りは、続けられた。



ところが、そんな邪悪な魔女狩りを、


終わらせたのも、


キリスト教徒であった。



キリスト教は1つでは無いのだ。



その後、時代は流れたが、


トンガリ帽子の、


魔女のキャラクターは残った。



そして、時代の影響を受けて、


その存在は、変化があった。



童話には、主人公を助ける魔女が、


現れる様に成ったのだ。



つまり、完全に、時代は変ったのだ。



それを踏まえ、


トンガリ帽子の、邪悪な魔女など、


実在しないのだ。



マモルは、その様に結論を出し、


そして、3作目の魔法帽を作ったのだ。



ところが、5作目で、魔法が発動したのだ。



「では、この魔法の正体は何か・・・?」


「自分は、何にコントロールされているか・・・?」



マモルは悩んだが、答えなど出ない。



結局、マモルは、魔法帽をかぶらなかった。



それを見て、僕は、


『凄い自制心だ・・・』


その様に思った。



興味はある。


心は引かれる。



しかし、その必要性が無いので、


マモルは、魔法帽をかぶる事を止めたのだ。



『僕に出来るだろうか・・・?』



その後、マモルが寝た事で、


僕の意識は、原始の世界に戻って来た。



『僕の無意識の目的は・・・?』


『僕の無意識は、僕に何を伝えたい・・・?』



『マモルを見せ、僕に、何を学ばせたい・・・』



『あるいは、僕を、コントロールする為・・・』


『その準備の為、マモルを見せたのか・・・?』



『誰が・・・?』



僕まで、不安に成った。



しかし、悩んでいても、仕方が無い。


そこで、僕は、解って居る事を整理した。



瞬間移動のシュンタと、


防御魔法のマモル、



2人の共通点は、


大阪在住、


一戸建て、


家族と同居、


1人っ子、



そして、その性質が、


僕に似ている事である。



『では、なぜ、大阪なのか・・・?』



僕には、心当たりがあった。



生前、僕の近所には、


僕よりも、10歳年上の、女の子がいた。



そして、その子は、


大阪の調理師学校に入学する事に成った。



その時、その子のお母さんと、


僕の母が話しをしていた。



「大阪なんて、私には外国に思える・・・」



東北、雪国・・・


その様な環境で暮らす我々には、



テレビで過激に紹介される大阪は、


異世界だった。



そして、それは、僕も同感である。



僕にとって、大阪は、異世界なのだ。


嘘の様な世界なのだ。



それを踏まえて、



僕は、小学5年生の時に死んだ・・・



その後、胎児でありながら、


日々、生き残る為の生活を続け、


それに夢中に成っていた。



しかし、それでも、


生前の家族の事は、心配である。



悲しい事は、事実である。



僕の中には、元の世界に帰りたい・・・


その様に思う心もある。



しかし、戻れる訳が無い。



僕は、死んだのだ。


『そんな僕が戻ったら・・・?』


『どれ程の、大騒ぎに成る事か・・・』



つまり、もし、復活の手段があっても、


僕は、戻れないのだ。



しかし、


生前の、家族の事が、気に成る・・・


見たい・・・



しかし、それを見る事で、


僕の魔法が、生前の家族に、


何か影響を、与える危険性がある。



そして、それは絶対に、回避する必要がある。



それを行えば、


僕の心のブレーキは解放され、


歯止めが利かなく成る。



現代社会に、魔法現象が起こり、


人々の価値観が崩壊する。



だから、生前の家族を見る事は出来ない・・・



しかし、見たい・・・現代に戻りたい・・・



そんな僕の心理が、


その妥協点として、


異世界である大阪を見せた・・・



僕にとって、日本であって、日本では無い場所、


変な事が起きても、多少は、大丈夫な場所・・・



僕の心の中には、その様な思いがあり、


結果、僕の意識は、大阪に行ってしまうのだ。



その様に考えられる。



もちろん、大阪を見る事も、充分に危険な事である。



しかし、


僕の無意識の正体は、幼稚な僕なのだ。



一応、駄目な事は理解している・・・


一応、ルールは守る・・・



しかし、完全に守れる訳ではない・・・



その程度の人間性・・・


それが僕の無意識なのだ。



では、なぜ、



『一戸建てを選ぶのか・・・?』



おそらく、一戸建てには、


それ程の理由は無い。



僕の本音は、生前の家に帰りたい・・・



しかし、帰れない。



そんな心理が、生前の僕の家・・・


庭があって、家族と生活する場所・・・



僕がイメージする家・・・



その結果、僕の無意識は、


一戸建て庭付きの家を、


選ぶのカモ知れない・・・



『では、なぜ、1人っ子なのか・・・?』



生前の僕は、姉の監視が原因で、


魔法が使えなかった。



つまり、僕は、


1人っ子に、あこがれているのだ。



だから、1人っ子を選らんでいるのでは・・・?



などと、理屈を考える事は出来る。



しかし、冷静に考えた場合、



瞬間移動のシュンタと遭遇したのは、


ショッピングモールである。



つまり、その段階で、


僕は、シュンタの家庭事情など、


知らないのだ。



『無意識には、そんな事が解るのか・・・?』



とも思えるが、



現実問題、僕の無意識が、


そこまでリサーチして、


『僕の意識を現代に、送ったのだろうか・・・?』


『僕の無意識は、そこまで優秀なのか・・・?』



と考えると、


それは、考え難い・・・



僕の無意識は、


あくまでも、僕なのだ。



僕は、そこまで、考えて行動していない。


そもそも、僕が、僕の脳を観察したのも、



僕の軽率な行動であり、


その結果として、現代が見えたのだ。



つまり、シュンタと、マモルが、


大阪人、一戸建て、家族と同居、1人っ子・・・


という共通点は、



『偶然なのか・・・?』



などと、悩んでいると、



原始の世界に日が昇り、


家族が目を覚ました。


そして、その日が始まった。


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