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これは魔法の書です。  作者: わおん
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母と祖母が、牛の散歩を終え、


オス牛に牧草を与え終えると、



祖母のワクワクが、大きく成った。


釣具の開発が楽しみなのだ。



そこで、僕は、牧場の管理を、


狼タロと、恐竜ゴンに、まかせると、



母と祖母を連れ、


父の元へと帰った。



では、ここからは、


釣具の開発である。



祖母は、自分の釣竿の、持ち手部分・・・



本来、リールを固定する位置に、


横棒を固定した。



長さ20センチ、


太さ3センチ、



結果、釣竿が、剣型に成る。



そして、グリップの端を、


お腹に当て、


横棒の左側を左手で持ち、


竿を安定させた。



横棒の右側に固定した糸は、


竿先の輪を通り、



針は、5メートル前方の、


丸太に引っ掛けてある。



その丸太は、


長さ50センチ、


太さ4センチ、



祖母はレンガの台の上に乗った。



台の高さは、1メートル、


父が、この為に作ったモノである。



では、実験開始。



祖母は、


右手に皮手袋を着けた。


実際には、ただの小袋である。



それを使い、横棒の右側に、


糸を、巻き取って行く・・・



理屈では、大成功のハズだった。



しかし、丸太が、地面を転がった。



もし、相手が、魚であるなら、


それ以上に動くのだ。



結果、腹と左手で固定した竿は、


安定しない。



魚に見立てた丸太相手に、


苦戦してしまう。



その時であった。


竿に固定した横棒が半回転した。



この横棒は、植物のツルで固定したモノなので、


丸い竿に、丸い横棒では、


その固定は弱く、動いてしまうのだ。



しかし・・・


その瞬間、祖母は、何かに気付いた。



ここで、実験は中断である。



そして、森の中から、「への字」の枝を探す。


長さ20センチ、


太さ4センチ、



それを、先ほど同様、


竿に固定する。



しかし、そのには、工夫があった。


「への字」の左側を竿に固定、



そして「への字」の、


曲がった部分に、糸を固定、



左手で竿を持ち、


そして、右手で「への字」右側を持つ、



そして、その棒を回転させた。



すると、糸は「への字棒」に巻き取られ、


結果、地面に置いた丸太は、祖母の方へと、


引き寄せられる。



祖母の指示で、父が丸太を蹴った。



しかし、竿の弾力が、それを打ち消し、


結果、祖母は、魚に見立てた丸太を、


釣り上げた。



もちろん、祖母が右手を離した瞬間、


「への字棒」は逆回転して、丸太は、地面に落ちた。



しかし、この瞬間、


この部族は、回転軸の原理を手に入れたのだ。



『車輪よりも先に、リールを発明した・・・』



大変、喜ばしい事である。



我々が生きる為には、


娯楽が必要なのだ。



これがあるから、明日が楽しみ・・・


その為の、娯楽が必要なのだ。



その後、父も母も、


祖母に感化され、


釣具の開発を楽しんだ。



3人は、現在、


釣り遊びをする為に、生きているのだ。



正直な所、僕は、釣りが嫌いである。



釣っているのが、魚では無く、


『猫だったら・・・?』


『それでも、楽しいのだろうか・・・?』



死に物狂いの、猫を引き寄せ、


その猫に向かい、


「遊んでくれて、ありがとう・・・」



などと、優しい声で暴言を吐き、


善人を気取って、


疲労した猫を、逃がす・・・



そんな自分に酔っている人間・・・


とても残酷である。



つまり、釣り遊びは、残酷なのだ。



生きる為なら、魚を釣って食べても良い・・・


駆除が必要なら、それも仕方が無い・・・



しかし、遊びの為に、


魚を釣る事に関して、


生前の僕は、納得出来なかった。



しかし、そんな僕が、この世界では、


娯楽の為に、釣りを教え


家族に、それを進歩させている。



『良いのか・・・?』



本当に魚が必要なら、



釣竿は不要なのだ。


糸と針と皮手袋、


これで釣れるのだ。



しかし、僕は、あえて、


「しなる竿」を作り、



その感触を楽しむ為に、


家族に、リールを開発する様に、


仕向けているのだ。



『ほのぼのアニメよりも、バトルアニメ・・・』



生前、豆腐工場の息子が言っていた。



ほのぼのアニメは、


数話見逃しても、


数年見逃しても、


何も困らない。



つまり、毎週見る必要性が無い・・・


つまり、つまらない・・・



ところが、バトルアニメは、


1話見逃すと、意味が解らない・・・



なぜ、死んでいない・・・?


なぜ、仲間に成っている・・・?


疑問が多く出てくる。



つまり、毎週、見る必要がある。


つまり、娯楽として考えた場合、



バトルの方が、楽しいのだ。


それが豆腐息子の意見だった。



『バトルは楽しい・・・』


『死ぬ可能性がある方が、興味を引く・・・』



僕は、悲しい気持ちに成った。



瞬間移動のシュンタと、


防御魔法のマモル・・・



『バトルしたら、どちらが勝つ・・・?』



そんな事を考えた自分が嫌だった。



『そんな事は、絶対にさせない・・・』



しかし、そんな僕が、



家族を誘導して、釣り遊びをさせている事は、


事実なのだ。



僕は、矛盾しているのだ。


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