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これは魔法の書です。  作者: わおん
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僕は、同じ事で何度も悩む。



世の中は、計画通りには行かない。



自分1人では無いのだ。


相手が存在するのだ。



レスキュー隊員は、厳しい訓練を繰り返し。


様々な場面に対応出来る。



しかし、溺れる人間が、


レスキュー隊員にしがみ付く・・・



結果、レスキュー隊員が溺れる。


そして、2人とも溺れ死ぬ。



冷静に考えれば、溺れる人間が、


多少我慢をすれば、その様な事には成らず、


2人は生きて帰れるのだ。



しかし、非常事態には、


その様な、合理的な行動が出来ない。



僕の無意識魔法も、同じ事である。



何か、トラブルが発生した場合、


非常識な自滅行為を行う・・・



その可能性が高いのだ。



だから、僕は、台風など、


見に行けないのだ。



では、台風の後なら・・・?


そして、必要な箇所を修復すれば・・・?



と考えるが、



その被害状況を見て、


僕の無意識魔法が、今後に対応した何か・・・


それを行う危険性もある。



僕は、無知なのだ、


そんな僕の無意識が、



後先考えずに、何か対策を実行したら・・・?


それが、どの様な結果を生むのか・・・?



僕にも、解らないのだ。



だから、僕は、どこにも行けないのだ。



本来なら、牛の大地に行く事も危険なのだ。



しかし、では、どの様にして生きて行く・・・?



家族に生きがいを与える為に、どうする・・・?



その様に考えた場合、


この世界に、悪影響を与える事を、承知の上で、


僕は、行動する必要があった。



『どこまでが、許されるのか・・・?』


『どこまでが、大丈夫なのか・・・?』



生前の僕なら、


名案が次々と出ただろう・・・



しかし、この世界に来て、


僕は、理解した。



僕の名案など、


幼稚な思い付き・・・



生前「論破!」などと、


調子に乗っている同級生が居たが、


では、彼が、政治家を論破して、


世界を平和に出来るのか・・・?



と言うと、そんな事は、出来ないのだ。



所詮は、子供の暴言・・・



僕の名案も、それと同じである。



無責任な思い付き・・・


何の保証も無い・・・


やってみないと解らない・・・


そもそも出来ない・・・



しかし、それを無理に実行して、


僕は、何度も失敗している。



大陸の東側を、壊滅させたのだ。



その後、山脈の再生に手を出したが、


そこでも、何度も失敗した。



そして、今、何もしない事だけが、


この世界を守る唯一の選択と成った。



ところが、家族が生きて行く為には、


僕の魔法が必要である・・・



『一体、どうすれば良いのか・・・』



現在、我々は、牧草地に居る。


時刻は、午前8時頃・・・



今日から、牛の散歩を始める事に成っていた。



祖母がメス牛を1頭、連れて移動するのだ。



今日は、とりあえず100メートルに挑戦する。



そこに、母と恐竜ゴンも同行する。


ゴンは、母を、本当の母と思っている。



そして、母を傷付けない様に、


とても気を使う。



以前、エサの時、ゴンは、毎回、


母の腕を、傷だらけに、していたが、



その後、ゴンが、


母の大切な皮袋を、


ボロボロにした事で、


母が悲しんだ・・・



そして、その悲しみの感情が、


ゴンに流れ込んだ。



結果、ゴンには、トラウマが出来て、


その後、ゴンは、自分の爪を恐れ、


周囲を心配する様に成ったのだ。



だから、ゴンは、牛も傷付けない。



しかし、このメス牛は、


牛の大地から、連れて来た牛なのだ。



その為、恐竜の存在を知っている。



当然、恐れる。


その恐竜が、付いてくるのだ。



その為、牛は、本当なら、


狼タロの近くに居たい・・・



タロは、この牛の、ボスなのだ。


守ってくれる存在なのだ。



ところが、


毎日、マッサージをしてくれる祖母、


その祖母が、自分を引っ張るのだ・・・



そして、狼タロは、


それを見て平然としているのだ・・・



結果、メス牛は、困惑しながらも、


祖母に付いて歩いて行った。



そして、狼タロから、


100メートル離れた場所で、


マッサージを受ける事に成った。



その間、僕は、ネズミの森の中の柵を、


千里眼で観察。



その中には、若いオス牛が1頭、


30メートル離れているので、


僕の事は、気にしていない様である。



僕は、柵の中のフンと地面に染み込んだ尿を、


瞬間移動で、北のフン置き場へと移動させた。



そこで、疑問である。



『僕は、どの様にして・・・』


『地中の尿を、識別しているのか・・・?』



僕の魔法は、


僕が一応納得しないと発動しない・・・



しかし、相変らず、


瞬間移動の原理は解らない。



つまり、納得していない・・・?


ところが、瞬間移動は使えている。



『なぜなのか・・・?』


『納得する必要は無いのか・・・?』



今さらだが、魔法の発動条件には、謎が多い・・・



僕の意識が、現代に行く現象も、


僕には、その原理や、理由が、解らないのだ。



つまり、納得出来ないのだ。



『もしかすると・・・』


『僕は、何かに誘導されている・・・?』


『僕を、誘導する何かが存在する・・・?』



などと、マモルの様な事を考えてしまうが、



現実的に考え、


その様な何かが、僕を使って、


何かをする理由など無い。



僕を使えるなら、それは神であり、


僕など使わなくても、


全ては、自分で解決出来るのだ。



しかし、考え方を変えると・・・



『神が実在して・・・』


『娯楽の為に、僕を使っている・・・?』


とも思える。



実際、僕は、


「シュンタ」や「マモル」を観察している。



『それに、どの様な意味があるのか・・・?』



全く理解出来ない。



しかし、結果的に、僕は、


夜中1人の退屈だった時間を、


娯楽に変えているのだ。



『では、神が、存在するのか・・・?』



そして、その神は、


僕を見て楽しんでいるのか・・・? 



などと考えてしまう。



しかし、もちろん、


その様なモノは存在しない・・・



『神の存在など、信じてはいけない・・・』



魔法使いの僕が、


その様なモノを信じた場合、



僕は、自分で解決するベキ問題から逃げ、


神が解決してくれる・・・


その様に、考える様に成ってしまう。



それは、危険である。



僕の無意識は、


何をするか解らないのだ。



それを管理して、その被害を最小限にする。


『それは、僕の責任だ・・・』


神など存在しないのだ。


『自分で、やる以外に方法は無いのだ・・・』



僕の問題を解決出来るのは、


僕だけなのだ。



僕は、その事を、僕に言い聞かせた。


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