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これは魔法の書です。  作者: わおん
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マモルは、自転車泥棒と間違われるのが嫌で、


BMXに買い換えた。



オレンジ色の、バーツのBMXに、


オレンジ色の、ニット帽をかぶった青年。



とても、似合っていた。



結果、警察に止められる事は、無く成った。



しかし、困った事に成った。



BMXには、前カゴも荷台も無いのだ。



これは大変不便であった。



マモルの家には、車が無い・・・


その為、買物にはママチャリで行く、



そして、日曜日の特売日には、


家族3人でスーパーに行って、



1名様1つ限りのトイレットペーパーを、


3つ購入する。



毎月では無いが、昔から、


その様な習慣があった。



マモルの祖母は、介護老人ホームに居て、


トイレットペーパーは、基本、


家族が持って行く、決まりがあるのだ。



その為、トイレットペーパーが必要なのだ。



まず、店に入ると、真っ先に、


トイレットペーパーを購入・・・


それをマモルに渡す。



そして、マモルは、


それをママチャに乗せ、


先に家に帰る・・・



それが、今までの方法だった。



ところが、


BMXでは、それが出来ないのだ。



そこで、必要なのが、


リュックサックである。



しかし、トイレットペーパーが、


3パック入るリュックなど、


市販されていない。



もし、あったとしても、


それは、冒険家が使うレベルの商品で、


買物に使うには、無駄が多い。



そこで、マモルは、


自分で、リュックを作った。



袴を作れるマモルには、


リュックは、当然の事の様に作れた。



ところが、


毎回、トイレットペーパーでは無い・・・



トマトジュース1箱の日もあれば、


米1袋の日もある。



その為、実用性を追及して、


リュックサックを、4作品を制作、



その中の3作品は、今も、


必要に応じて、使い分けている。



当時の、マモルは、


運命の様なモノを感じていた。



自分は、このリュック作りの為に、


ミシンを修得したのでは・・・?



マモルは、本気で、その様に思った。



これまでの、一連の出来事が、


マモルに、その様な思考を与えたのだ。



何かの意思・・・


あるいは、運命の流れ・・・


その様な何かに、誘導されている。



マモルは、その様に感じていた。



なぜ、袴に興味を持った・・・?



なぜ、あのタイミングで、


ミシンが出てきた・・・?



なぜ、毎日、


警察に職務質問された・・・?



これによって、


BMXを買う事に成り、


その結果、リュックが必要に成った。



偶然とは、思えなかった。



しかし・・・


「運命の神が、存在して・・・」


「なぜ、リュックを作らせる・・・?」



そう考えた事で、


マモルは、恥ずかしく成った。



「あまりにも、自意識過剰だ・・・」



「リュックを作らせる運命の神・・・?」


「何だ、それは・・・?」



その様な神が、


存在する訳など無いのだ。



その様に考える事で、


マモルは、


これまでの一連の流れが、


偶然だったと、理解した。



その後、4つ目のリュックを完成させた後、


作るモノが無くなった。



運命の流れ・・・


その様に感じていた流れが、途絶えたのだ。



これが、現実である。


運命的な出来事が続いても、


それは、偶然なのだ。



その証拠に、その後は、


何も起こらないのだ。



全ては、偶然・・・


運命など、勘違い・・・


マモルは、その様に思う様に成った。



そして、そんな中、


ハロゥインの季節を向かえた・・・



ハロゥインは、毎年、社会現象に成る程、


大きな騒ぎに成っていた。



マモルは、そんな風潮が嫌いだった。



マモルは、たっつけ袴を作り、


着物まで完成させている。



ある意味、自作系のコスプレーヤーなのだ。



ところが、マモルには、その自覚は無い。



マモルは、コスプレには興味が無いのだ。



馬鹿馬鹿しい・・・


非実用的な衣装で、何かの真似をする・・・


全くの無意味だ・・・



それがマモルの考えだった。



しかし、だからこそ、


マモルは、困惑していた。



では、自分の、


袴は・・・?


着物は・・・?



というと、人の事など言える立場では無い・・・



そして、マモルは、


再び、運命の流れを、感じ始めた・・・



魔法帽を作りたく成ったのだ。



「運命なのか・・・?」


「再び、運命の流れが、動き出したのか・・・?」



マモルは、その様に感じた。



しかし、


マモルには、冷静な一面もあった。


その為、冷静に考える事が出来た。



数日前、アニメを見た。


その中に、魔法帽をかぶった人物が登場していた。



その翌日、映画を見た。


その中に、魔法帽をかぶった人物が登場していた。



そして、世間は、ハロゥインに向け大騒ぎ・・・


100円ショップにも、特設コーナーが出来ていた。



家には、ミシンがある。



しかし、この数日間、使っていない・・・


使えるのに、使っていない・・・



その結果、自分は、魔法帽を作りたく成った。



その瞬間、


マモルは、運命の流れの正体に気付いた。



「すり込み・・・」


「世間に感化されている・・・」



おそらく、たっつけ袴を作った時も、


その様な影響を受けたのだ。



詳しくは、思い出せないが、


大河ドラマの影響だと考えられる。



「なるほど・・・」



マモルは、


自分を誘導する「何か」の存在を理解した。



「何か」など存在しないのだ。



自分が、世間の影響を受けていた・・・


それだけの事だったのだ。



「何か、なんて存在しない・・・」


「ただの自意識過剰だ・・・」



マモルは、その事を素直に認めた。



そんなマモルには、


持論があった。



「モノは、話さない・・・」



衝動買いの言い訳として、



「あの時、これが買えと言った・・・」



などと、発言する人は、


自意識過剰なのだ。



モノが、話す訳など無いのだ。



そんな事が出来るなら、


事件現場でモノから話を聞けば良いのだ。



しかし、そんな事は出来ない・・・



つまり、


「あの時、これが買えと言った・・・」


などと言う事は、



恥なのだ、自意識過剰なのだ・・・


マモルは、その様に思っていた。



だから、マモルは、冷静だった。



今回、魔法帽が作りたいのは、


世間に感化された事に、原因がある。



そして、自分には、魔法帽を製作する技術があり、


それを趣味として、楽しむ事が出来る。



しかも、それは、


100円ショップの


「デニムはぎれ3枚」で作れる。



そんな手軽に、趣味が楽しめるのだから、


悩む事は無い。



その為、マモルは、軽い気持ちで、


魔法帽の1作品目を作ったのだ。



ところが、それが失敗だった。



帽子の入口を、


「おでこ」のサイズに合わせて作った結果、



トンガリ構造の為、頭に入らない・・・


マモルは、その事実を理解したのだ。



その後、マモルは、夢中に成って、


その改善方法を考え、


魔法帽に関して調べ・・・


試行錯誤を続けた・・・



そして、5作目・・・


「めまい」がして、


防御魔法が発動したのだ。



「これが偶然なのか・・・?」



「本当に、何かが存在するのでは・・・?」



「その何かとは、何者なのか・・・?」



マモルには、その何者かに、


心当たりがあった。



マモルは、以前、魔法帽に関して調べた時、


知ったのだ。



魔法帽は、悪魔崇拝者の象徴なのだと・・・



「つまり、何者かの正体は、悪魔・・・?」



マモルは、一瞬恐怖を感じた。



ところが、


夕方5時前、



マモルは、突然、帽子を脱いで、


片付けを始めた。



まず、アイロンの電源を切る。



その後、アイロンの余熱で、


着物や袴に、アイロンをかけ、



着物、袴、魔法帽の順で、


クローゼットにしまうと、



ミシンの電源を切り、


コンセントを抜き、


ハードケースをかぶせ、



それを、ダンボール箱に入れ、


それも、クローゼットにしまい。



アイロンの熱を確認して、


ケースに収納して、クローゼットの前に置いた。



その作業には、全く無駄が無く・・・


何か、特別な技術を感じた。



アイロンが無ければ、


この部屋の主人が、



どの様な人物であるか、特定出来ない・・・


その様な、印象の部屋であった。



その後、マモルは、夕飯を食べ、


風呂に入り、自室で、ネットを始めたが、



クローゼットの中の魔法帽には、


全く見向きもしなかった。



そして、夜11時に成ると、


マモルは、寝た・・・



結果、僕の意識は、


再び原始の世界へと戻って来た。



相変らず、植物人間の僕と、その隣の肉と芋は、


宙に浮かんで居る。



その後、朝が来て、


家族が目を覚ました・・・



その時に成って、僕は不安を感じた。


『もし、マモルが寝なかったら・・・』


『どう成っていた・・・?』



マモルは、睡魔に襲われなかったのだ。



『魔法帽の効果なのか・・・?』



もし、マモルが、帽子を脱がなかったら、


僕は、こっちには、戻って来れない・・・?



『その場合、家族は、どれほど心配する・・・』


『では、今後の為に、説明するか・・・?』


『しかし、どの様に説明する・・・?』



僕の意識が、現代の地球に行って居る事など、


家族に説明する事は、困難であった。


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