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これは魔法の書です。  作者: わおん
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釣りをする前には、準備が必要である。



その為、


牛の大地に向かう前に、


僕は、3人を連れて、


芋畑予定地へと向かった。



そこは、元ネズミの拠点であり、


その場所で、僕は、土作りを行っていた。



牧草地の牛のフンは、本来、ここよりも、


さらに北にある、材木置き場よりも、


さらに北にある、フン置き場に移動させている。



しかし、その一部を、使い、


元ネズミの拠点で、


土の改良を行っているのだ。



魔法を使えば、


皮ヒモが、釣り糸に成る。



その理屈で考えれば、


土など、魔法の力で簡単に、


素晴らしい土へと改良出来る。



ハズである。



しかし、そんな不自然な土で、


作物を育てる事に、不安がある。



そこで、地面の土に、


牛のフンを混ぜ、


山菜森の落ち葉を混ぜ、


ミミズを放し、


自然の力で、土を作っているのだ。



その為、この土地では、ミミズが捕れる。


それを集めて、木製のカップに入れた。



このカップは、以前、


畑の水やり用に、祖母が考え、


僕が作ったモノだが、


現在は、使っていない。



そこで、今回、ミミズ入れにする事にしたのだ。



3人は、ミミズを、10匹ずつ集め、


自分のカップに入れた。



では、出発である。



次の瞬間、


3人を連れて、


牛の大地の巨大湖に到着。



空中に浮いた状態である。


さすがに、父と祖母は驚いている。



先日の、山菜森の豪雨が原因で、


まだ、巨大湖の周辺は、湿地化していた。



南岸には恐竜が3頭いた。



しかし、我々にはバリアがある。



それを理解している3人は、大喜びであった。


それくらい、僕の魔法を信用しているのだ。



バリアで守られ、周囲には我々の姿は見えない。



つまり、魚は、こちらの気配に気付かないのだ。



僕は、母のカップから、ミミズを1匹、浮かせると、


それを3センチ程に千切り、


母の釣り針に付けた。



それを見て、父と祖母が、真似る。



3人は、釣りを知らないのだ。



では、釣りの開始である。



3人は、水面から3メートルの空中で、


見えない椅子に、座っている様な姿勢で、


竿を出している。



湖の水は、コーヒー牛乳の様な色ではあるが、


僕には千里眼がある。



その為、魚の多い位置が簡単に解る。



結果、竿を出して、数秒後、


母の竿が、大きく「しなった」


と、ほぼ同時に、父の竿にもアタリが・・・



ところが、3人は、釣りを知らない。



結果、父は、凄い勢いで釣竿を振り上げ、


その反動で、魚を釣り上げようとする。



しかし、釣り糸の長さは、


10メートルもあるのだ。



まるで、カツオを1本釣りの様であったが、


竿の「しなり」が父の力を半減させ、


釣り上げる事が出来ない。



仕方が無いので、


父は、竿を、左脇にはさみ、



手で釣り糸を「たぐり寄せ」


魚を引き上げる。



しかし、魚が抵抗する・・・



そんな状況で、父は、生き生きとしていた。



その後、切れない糸の成果もあって、


父は、40センチの、


鯉の様な魚を釣り上げた。



3人は、喜ぶ、



しかし、その間、


母の竿には、魚が「かかった」ままである。



折れない竿、切れない糸、曲がらない針、



これらの力によって、


魚は逃げる事が出来ないが、


釣り上げる事も出来ない。



最初は、母も、父と同様、


糸を「たぐり寄せ」釣り上げる事を考えたが、



切れない糸を「たぐり寄せる」事で、


手が切れる事に気付いたのだ。



その為、祖母が、その行為を止めた。



そこで、僕が、移動魔法で、


その魚を回収した。



釣れたのは、50センチ近い、


ナマズの様な魚だった。



喜ぶ3人・・・



しかし、


『これでは、釣りとは呼べない・・・』


『釣りの楽しみ方では無い・・・』



つまり、この状況で、釣りを楽しむには、


リールが必要なのだ。



魚を引き上げるだけなら、


皮手袋でも充分である。



しかし、それでは、釣りを楽しめない。



竿を使い釣る・・・


それを楽しむには、リールが必要であった。



しかし、


そんなモノ、3人に、発明出来るだろうか・・・?



リールを発明する為には、


まず、車輪を発明する必要がある。



それが歴史なのだ。



最初、地面に丸太を置いて、


その上に岩を乗せ、丸太の「転がり」を利用して、


岩を移動させていた。



そして、その労力を減らす為、


車輪が発明された。



つまり「回転軸」の発明である。



その原理によって、


井戸の水汲みも、楽に成った。



その様な歴史があって、


その後、リールの登場である。



しかし、我々の生活には、


岩を移動さる必要など無く、



その結果、丸太を使った移動方法さえ、


まだ、発明されていないのだ。



その様な状態で、祖母がリールを、


『発明出来るだろうか・・・?』



祖母が、その原理を考えても、


『それを作れるだろうか・・・?』



渓流釣りのリールは、


単純な糸巻き構造なので、



現代人なら、簡単に作れる。



しかし、ここには、ドリルも無いし、


回転軸に使える金属も無い・・・



『僕が作って、与えるか・・・?』



実際、今回の釣り道具も、


僕が作ったモノなのだ。



リールだって、僕が作っても問題は無い。



しかし、魚を釣り上げる時、


父は、生き生きとしていた。



つまり、そこに誇りがあったのだ。



そして、祖母が、生き生きする為には、


発明が必要なのだ。



それが祖母の誇りなのだ。



発明こそが、


家族の中での、祖母の存在価値なのだ。


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