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これは魔法の書です。  作者: わおん
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先程、僕は産まれた。


しかし、その僕は、


植物人間であった。



正直な所、


何も困る事は無い。



僕の、植物人間の身体は、


バリアで守られている。



バリアで守られた牛の死体を、参考に考えた場合、


僕の身体も、問題無く守られるだろう。



しかし、それには、問題がある。



産んだ子供が、植物人間だった両親の気持ち、


それを考えた場合、


この状態が良いとは思えないのだ。



では、どうするか・・・?



植物人間が目を覚ます・・・



その様な話は、


テレビで見た程度の知識である。



そして、その話は、


再現ドラマによって、


演出されたモノであった。



つまり、僕は、事実を知らないのだ。



『どうすれば、植物人間は・・・』


『目を覚ます・・・?』



などと、考えても、


僕には、医療的な知識など無い・・・



そして、テレビで見た知識では、



医療的にも、お手上げで、


自然回復によって、


目覚める日を待つ以外に、


方法は無い様であった。



『では、どうする・・・?』


『自然回復を待つのか・・・?』



と思ったが、



『本当に、自然回復など起きるのか・・・?』



僕には、回復魔法がある。



つまり、僕の植物状態が、


回復可能なモノなら、


回復魔法で回復しているハズなのだ。



『では、なぜ、回復しない・・・?』



理由は簡単だった。



僕の無意識が、


僕の脳を、壊したのだ・・・



回復不可能な状態に壊したのだ・・・



しかし、ここで疑問が湧く・・・


『僕は、脳を破壊出来るのか・・・?』



無意識魔法の正体は、僕なのだ。



そんな僕が、


僕の脳を破壊出来るだろうか・・・?



『出来ない・・・』



動作的には、眼球を壊す事も可能だが、



『僕は、そんな事はしない・・・』



理由は『恐いからだ・・・』



つまり、脳の破壊が可能であっても、



僕は、僕の脳を破壊する事は出来ない・・・



『恐いからだ・・・』



『つまり、僕の無意識は・・・』


『僕の脳を破壊していない・・・』



『では、僕は、なぜ、植物人間に成った・・・?』



『脳を破壊ぜずに、植物人間に成る方法・・・?』


『そんな事が、可能なのか・・・?』



そして、気付く・・・


『破壊では無く・・・変化させた・・・』


『変化であれば・・・可能なのでは・・・?』



確認した事は無いが、


僕は、鉛を純金に変化させる事が可能である。



事実として、2枚のガラス片を、


1つの塊にした事がある。



1番川のバケツも、


僕が毎日、魔法を送った事で、


軽量で割れない材質へと、変化している。



つまり、僕の無意識は、


僕の脳を破壊せずに、


変化させたのだ。



『脳型魔法が使えない様に・・・』


『変化させた・・・』



胎児の段階で、臨死体験をして、


魔法を発動させる部分・・・



それを脳内から、見つけ出した・・・



しかし、その部分を破壊する事は出来ない。



『恐いからだ・・・』



そこで変化させた。



結果、脳の構造が変化して、


脳型魔法が使えない脳へと、成長した・・・



胎児の成長を利用して、


脳の成長に、変化を与えたのだ・・・



そして、魔法が使えない脳へと成長した・・・



その結果、その時の影響で、


僕の姿が、生前の姿・・・



つまり、人間の赤ちゃんへと、変化した・・・



つまり、僕の脳は、破壊されていない・・・



『植物状態が正常・・・』



僕の無意識が、それを望んで、


その様に、産まれて来たのだ・・・



つまり、


『回復など、不可能・・・』


『僕は、一生、植物人間のまま・・・』



しかし、その場合、疑問が湧く・・・



『僕の無意識は・・・』


『僕が、植物人間に成る事に・・・』



『恐怖は無かったのか・・・?』


『恐怖はあったハズだ・・・』



『では、なぜ、植物人間を選んだ・・・』



理由は、理解出来た。



『家族を守る為だ・・・』



脳型魔法が発動して、脳が破壊された場合、



僕は、死ぬ・・・


結果、意識を失う・・・



その後は、理性を失った僕の無意識が、


周囲の迷惑など考えずに、



次の身体を探す・・・


結果、大災害が起きる・・・



その事に、僕は、絶望的な恐怖を感じる・・・



そんな方法で生き延びる位なら、


僕が、死んだ方がましである・・・



しかし、僕は、死ねない・・・


だから、植物人間を選んだのだ・・・



『植物人間に成る事は恐い・・・』



しかし、


大災害を起こし、命をうばう事は、


もっと恐い・・・



そして、家族の残し、この世界を去る事は、


もっと恐い・・・



だから、僕は植物人間を選んだのだ。



『僕は、家族を守ったのだ・・・』


『大災害を回避したのだ・・・』



『僕は、誇りある、植物人間なのだ・・・』


『だから、一生、植物人間で良いのだ・・・』


『それが、僕の誇りなのだ・・・』



しかし、その事を、


『家族に、どの様に伝える・・・?』



10ヶ月前の巨大津波・・・


それを起こしたのは僕なのだ・・・



しかし、僕は、その事実を、


家族には伝えていない・・・



伝える事が、不可能なのだ。



それを伝える為には、


僕が現代から来た事を、教える必要がある。



原始人の価値観に影響を与えずに、


現代の話をして、


僕が、この世界に来た経緯を説明する。



その様な事は、困難なのだ。



しかも、その事実を伝えても、


家族は、そんな僕を許す以外に、選択支が無いのだ。



だから、僕は、事実を伝えていない・・・


胎児の時、僕と母は、心が通じていた。



しかし、


僕が、それを伝えようと、


考えない場合には、


僕の考えは、母には伝わらない。



僕は、眠れないのだ・・・


その為、夜中一晩中、考え事をしているのだ。



それが、全て母に伝わっていたら・・・?


母は、精神的に耐えられない。



回復魔法では、精神は回復しないのだ。



つまり、僕が津波の犯人である事を、


母も知らないのだ。



『知っていたら・・・?』


『どう成っていた・・・?』



結局は、何も出来ないのだ。



嫌な気持ち・・・


複雑な心境・・・



それを我慢して、生きる以外に、


選択支が無いのだ。



無意識バリアで守られた僕に、


罰を与える事など、


不可能なのだ。



『僕は、僕を卑怯だと思う・・・』



しかし、今は、そんな自分に、


酔っている場合では無い。



家族が心配しているのだ。



動かない赤ちゃん・・・



人間が、猿の赤ちゃんを、


可愛いと思う様に、



原始人も、人間の赤ちゃんを、


可愛いと思うらしい・・・



しかし、動かない・・・


母乳を与えたいのだが、



それも出来ない・・・



『親不孝だ・・・』



しかし、


『世界を守る為に、あきらめて、もらうか・・・』



僕は、魔法使いであり、


普通の子供では無い・・・



それは両親も理解している。



両親は、この10ヶ月、


魔法を受け入れて生きて来たのだ。



そして生まれた子供が、


原始人では無かった・・・



そして、動かない・・・


それも、受け入れる以外に、選択支が無いのだ。



現在、母は、僕に回復魔法を送っている・・・



しかし、実際には、何も発動していない。



母も、その事を理解した様である。



母は、魔法使いには成れ無かったのだ。



僕を産んだ事で、母は、魔法の力を失ったのだ。



そもそも、母には、魔法の力など、無かったのだ。


この瞬間、その事が、理解出来た。



妊娠期間中、僕と母は一心同体であった。



その為、僕の影響を受けて、


母も、魔法使いに成れる・・・



僕は、その様に思っていた。



その為、この世界に来て、


数ヶ月の頃は、


母を魔法使いにする為に、


僕は、試行錯誤していた。



僕が、死んだ場合、


母が、家族を守る・・・



僕が脳死した場合・・・


母に、治してもらう・・・



その様に期待していたのだ。



しかし、


その後、僕は、気付いた。



魔法使いが、全宇宙を、消滅させる危険性・・・



その気に成れば、


今からでも、


宇宙消滅させる事が出来る。



その事実・・・



そんな存在が、量産出来る訳が無いのだ。



魔法使いの母が、魔法使いに成れるなら、



僕には、先輩魔法使いがいて・・・


その母も、魔法使いで・・・



そして、その人達の段階で、


魔法による文明崩壊が起こり・・・



人間に存在価値が無く成り・・・


不死である魔法使いは、


退屈地獄に耐えられず、



その時の、気の迷い程度の理由で、


宇宙は消滅している・・・



しかし、その事実は無い。



つまり、


宇宙が誕生してから、


今日までの間、



僕以外に、魔法使いなど存在しなかったのだ。



それくらい珍しい存在・・・


それが僕である。


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