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これは魔法の書です。  作者: わおん
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この日、僕は、原始の世界に誕生した。



僕には、胎児の段階から、


前世の記憶があり、



原始人の家族と会話を行い、


生活をしていた。



そして、僕は、眠る事が出来ない。



その為、誕生の瞬間も、


当然、意識があった。



僕は、牛の出産を、見学した事がある。



そして、人間の出産に関しては、


テレビで見た事がある。



そんな僕にとって、


出産とは、難産をイメージしていた。



母が苦しみ、


それが数時間続く・・・


その様な恐怖を感じていた。



そして、もし、その様な場合には、


瞬間移動で、出る事を考えていた。



ところが、現実には、


僕が、魔法で対応する必要も無く、


出産は、無事終了した。



表現は悪いが


簡単に産まれたのだ。



ところが、問題が起きた・・・



父と祖母が驚いている。



誕生の瞬間、


僕は、その光景を、今まで通り、


千里眼で見ていた。



だから、視点を変える事で、


父と祖母が驚いている理由が解った。



僕は、人間だった・・・



産まれ出た僕は、


人間の赤ちゃんだったのだ。



原始人から、人間が産まれたのだ。



原始人である3人には、


それは、異常な姿だったと思う。



3人は、人間など見た事が無いのだ。



しかし、それは間違い無く、


母から、生まれた子供である。



祖母は、大切そうに抱き上げると、


僕の身体をバケツの水で洗い、


熊の皮で包み込む・・・



僕は、されるがままに、


それを、受け入れた。



母は、涙を流して喜んだ。



しかし、実の所、


僕は、困っていた・・・



『身体が動かない・・・』


『動かせない・・・?』



千里眼で観察する事で、


赤ちゃんの僕が、呼吸をしている事は、


間違いない。



しかし、身体が動かない・・・


目も開かない・・・



動かす魔法を使えば、


動かす事は出来る。



しかし、本来、生まれた赤ちゃんは、



その様な事をしなくても、


身体が動く、



しかし、僕の身体は動かない・・・



その理由は理解出来た。



『魂と身体が別物なのだ・・・』



僕が、この世界に来て、


10ヶ月・・・



その間、僕は、魂として、活動していた。



母の胎内を中心として、固定された魂・・・



その状態で、僕は、生活していたのだ。



しかも、ただ、普通に生活していた訳では無い。



寝る事も無く、


休む事も無く、


回復魔法が発動した状態・・・


それが10ヶ月続いたのだ。



つまり、僕にとって、


僕とは、魂の僕であり、


胎児の僕では無いのだ。



僕は、この10ヶ月間、


胎児の自分を、見ない事にしていた。



この世界に来て、間もない時期は、


僕は、毎日の様に、


胎児である自分の姿を、


観察していた。



ところが、当時、無理に千里眼を使った結果、


周囲が真っ白に成った。



何も見えなく成ったのだ。



その後、千里眼は復活したのだが、



それ以来、僕には、


胎児の自分が、見れなく成った。



その後、僕の千里眼は進歩したので、


その気に成れば、



再び、胎児である自分を、


観察する事は、可能に成ったと思われる。



しかし、僕は、それを行わなかった。



なぜなら、


胎児を見る事で、僕は、何かを考えてしまう。



『頭が、少し大きい・・・?』


『足が、短い・・・?』



この様に、


自分の姿に、感想を持ってしまう。



本来、それが正常なのに、


僕は、胎児の自分に、


違和感を持ってしまう。



そして、その違和感に対し、


無意識魔法が、反応した場合、


胎児の僕は、何か影響を与える可能性があった。



その結果、


顔が、不自然に、小さく成ったり、



生活に支障が出るレベルに、


足が長く成ったり・・・



その様な危険性があったのだ。



だから、僕は、胎児の僕を、


見ない事にしていた。



本来の姿、自然な姿・・・


それで産まれて来る事に、


期待したのだ。



つまり、この10ヶ月間、


僕は、胎児の自分に、関わらない努力を、


続けていたのだ。



魔法使いの僕が、


それを行ったのである。



それは、定着して進歩した。



つまり、現在、僕の身体が動かないのは、


僕が、胎児の自分に関わらない・・・



それを守り続けた成果なのだ。



その成果として、身体が動かないのだ。



植物人間の赤ちゃんに固定された魂、


現在、僕は、その様な状態である。



では、僕は、僕の身体を、


一生、動かせないのか・・・?


と不安に成る・・・



あくまでも、僕の仮説だが、


僕が、僕の生前の記憶を、維持する為には、


細胞が必要である。



つまり、僕が僕として生きる為には、


身体が必要なのだ。



だから、この身体は、


僕の無意識魔法に守られる・・・



健康に長生きする様に、守られる・・・



記憶を守る為に、


細胞を守る為に、


この身体を守る必要があるのだ。



つまり、


バリアで守った牛肉、


殺した日の体温を残す、


牛の死体・・・


それと同じである。



僕の身体も、牛肉同様、


バリアで守れば、それで良いのだ。



動く必要など無いのだ。


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