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これは魔法の書です。  作者: わおん
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この2週間、僕は、家の周囲で、


母が行う、柵の補修や、



芋の保存小屋作りなどを、


見学していた。



僕が協力した場合、


その多くは一瞬で完了してしまい、



それによって、


家族の存在価値が失われるのだ。



だから、僕は、何の手伝いも出来なかった。



つまり、僕は、退屈なのだ。



その為、ついつい・・・


牛の大地に行く必要性を、考えてしまう。



そして、その考えが、


新たな不安を生み出す・・・



生前、テレビで見たのだ。



胎児は、お腹の中での出来事を、


記憶している・・・



しかし、出産の瞬間、


脳からの分泌物によって、


その記憶は消える・・・



つまり、一般的に、赤ちゃんは、


胎児の記憶を失うのだ。



それが、事実の場合、



僕が、この世界に来てから、


今日までの記憶・・・



『それが全て消える事に成る・・・』 



もし、その現象が本当に起きた場合、


僕は、記憶喪失の魔法使いに成る・・・



記憶は無いが、


無意識魔法は発動する・・・



しかも、生前死ぬ瞬間の僕、


現在の、魔法の力を知らない僕・・・



あるいは、全ての記憶を失った赤ちゃん。



『何をするか解らない・・・』


『一体、何が起きる・・・?』



もし、その様な事に成ったら・・・


それは、この世界に、


壊滅的な被害を、与える危険性がある。



僕の記憶では、


生まれる瞬間、


胎児が産道を通る事で、


圧力が加わり・・・



その結果、脳から、分泌物が出て・・・


その結果、胎児の記憶が消える・・・


その様な聞いた様に思える。



つまり、生まれる瞬間、


瞬間移動で、外に出れば、


記憶が消える現象は、


回避出来る可能性がある。



しかし、それなら、


帝王切開で生まれた子供は・・・?



帝王切開とは、


お腹を切って子供を、取り出す方法である。



そして、帝王切開で生まれた子供も、


一般的に、胎児の時の記憶は消えている。



つまり、出産時に、僕が、瞬間移動で出て来ても、


記憶が消える現象は、起こるカモ知れないのだ。



しかし、である・・・


僕には無意識バリアがある。



それが機能して、


生まれる瞬間に、記憶が消える現象を、


回避する可能が高い。



僕のバリアは、優秀なのだ。



つまり、


生まれた瞬間に、記憶喪失に成る事は、


考え難い・・・



『しかし、本当に大丈夫だろうか・・・?』


『本当に、記憶は、消えないだろうか・・・?』



不安に成る。



そこで、今度は、自分を安心させる理屈を、


考える事に成った・・・



僕は、魔法使いであり、


無意識魔法に守られている。



その為、記憶が消えるという、


大問題が発生した場合、


僕の無意識は、それを回避する。



実際、生前、僕は死んで、


肉体を失い・・・・


この世界に来たのだ。



そして、この世界に来て、


意識が回復した時、


生前の記憶が、残っていたのだ。



つまり、脳が破壊され、死んでも、


生前の記憶は守られたのだ・・・



僕の無意識魔法は、


記憶を守ったのだ。



つまり、生まれた瞬間、


記憶が消える現象が起きても、



僕の無意識魔法が、それを防ぐ・・・



『つまり、記憶喪失には成らない・・・』



僕は、それを、自分に言い聞かせ、


一応安心した。



では、次である・・・



『牛を、どうするか・・・?』



記憶喪失には、成らない・・・


その理屈で考えた場合、



誕生後も、僕から、魔法が消える事は無い・・・



むしろ、消えて欲しいが、


消える事は無い・・・



だったら、今、牛の大地に行く必要は無い。



牛の大地が、現在も湿地帯だった場合、


そして、多くの牛が死んでいた場合、


僕の無意識は、


豪雨を止めてしまう危険性がある。



そんな事をした場合、


この星の、気象環境が被害を受ける。



だから、僕は、今、牛の大地には行けない。



それが答えだった。



答えなど、考える前から出ていたのだ。



しかし、あまりに退屈なので、


無駄に考え、


「ひま潰し」を実行する為に、


無理な理屈を考えていたのだ。



退屈だから、無理な理屈を通す。



ヒマ潰しの為に、屁理屈を考え、実行する。



これは、とても危険であった。



僕の無意識が、退屈を感じた場合、


世界の将来を無視して、


「ヒマ潰し」を実行する可能性があるのだ。



この2日後・・・


僕は誕生した。


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