354
僕は、僕を封印出来ない・・・
出来たとしても、自力で出られる・・・
『では、どうするか・・・?』
『魔法を使えない様にする・・・』
『魔法の能力を失えば良い・・・』
結果、僕は、だたの原始人の子供に成れる。
結果、生活が困難に成り、
我々家族は、数年・・・
あるいは、数ヶ月で、死んでしまう可能性もある。
出来れば、それは回避したい。
しかし、僕が、このまま魔法使いを続け・・・
その魔法が進歩を続けた場合、
宇宙を崩壊させる事も、
可能に成ってしまう。
そんな馬鹿な事は、しない・・・
その様に思っていても、
将来、退屈地獄に耐えられず、
その日は、必ずやって来る。
だから、僕は、魔法を捨てて、
普通の子供と成り、
この環境で生き・・・
そして死んで行く・・・
では、どの様にすれば、
『魔法を捨てる事が、出来るのか・・・?』
『魔法とは、一体・・・何だ・・・?』
人間は、脳からの電気信号で動いている。
右手を動かす時、
必要な、電気信号が、
脳から出て、
その反応で、筋肉が動くのだ。
では、右手を動かす為の思考・・・
それは、どの様にして、
発生しているのか・・・?
『脳細胞と電気信号・・・』
脳細胞からは絶えず、
微弱な電気が発せられている。
それが、脳内に流れ、
人間の思考を生んでいるのだ。
つまり、人間は、何も考えない事など、
不可能なのだ。
脳が機能している限り、
人は、考えてしまうのだ。
ところが・・・
臓器移植によって、
性格に変化があった人・・・
変な夢を見る様に成った人・・・
その様な人がいるらしい。
あくまでも、テレビの情報なので、
どこまで信憑性があるのか・・・?
それは不明だが、
心臓移植を受けた人が、
毎晩、夢を見る様に成り・・・
その後、その夢の正体が、
心臓提供者の記憶である事が、判明した・・・
その様な話をテレビで見た。
もし、これが事実であるなら、
『脳細胞である必要は無い・・・?』
『細胞があれば、思考が出来る・・・?』
『細胞があれば、記憶が出来る・・・?』
しかし、現実問題、
細胞に、そんな機能があるなら、
認知症など存在しない。
脳が壊れても、別の細胞が、
機能してくれる・・・
しかし、その様な事実は無い。
『では、僕の細胞は・・・?』
生前、現代社会で誕生した僕は、
おそらく、普通の赤ちゃんとして生まれた。
ところが、
脳が成長する段階で、
脳から発する電気信号を、
素粒子に伝える方法を習得した。
『それが魔法の正体・・・』
そして、今、僕は、
その機能を、破壊しようと考えている。
理屈で考えれば、脳を破壊すれば、
その機能も壊れる。
ところが、この世界に来た時、
僕には、脳など無かった。
脳が無いのに、思考していたのだ。
だから、この世界に来る事が出来たのだ。
津波を起こし、身体を探せたのだ。
つまり、破壊するベキは、
脳では無いのだ。
破壊するベキは、魂なのだ。
しかし、僕は、僕の魔法で守られている。
そんな僕の魂を、僕が破壊する事は、
まず不可能である。
『では、誰かに破壊してもらう・・・?』
『家族に、たのむとして・・・』
『では、どの様に破壊する・・・?』
『魂を、どうやって破壊する・・・?』
『僕は、死んでも思考が続いた・・・』
『だから、この世界に来れたのだ・・・』
つまり、
魂には、思考能力があるのだ。
つまり、
魂が、魔法の使用を、可能にしているのだ。
『では、魂とは、何なのか・・・?』
『何も無いのに、なぜ思考出来るのか・・・?』
僕には、心当たりがあった。
『魂の正体は、素粒子・・・』
生前、テレビで見た事があった。
それは、ペットの番組だった。
主人が帰宅の為、職場を出た瞬間・・・
数十キロ離れた家で、飼い犬が反応したのだ。
音や匂いが届く訳が無い・・・
帰る時間も、毎日、変化している。
その為、その犬には、
飼い主の帰宅時間など、解らないのだ。
しかし、主人が帰宅の為に、
職場を出た瞬間・・・
犬が反応する。
ある意味、超能力である。
番組では、その様な結論を出していた。
そして、僕は、その超能力の正体が、
素粒子であると考える。
素粒子は、全ての空間を埋め尽くしている。
この世界に、何も無い空間など存在しない。
全宇宙の全ては、素粒子で出来ているのだ。
我々も、空間も、全て素粒子なのだ。
結果、主人が帰宅する時に発する感情・・・
それが、素粒子を伝わり、
その犬に伝わった・・・
その様に考えられる。
しかし、
残念ながら、そのコントロール方法が、
解らないので、
有効に使う事は困難である。
そして、
全ての犬に、その能力がある訳では無い・・・
その為、現代社会では、
それらは、偶然の出来事と、区別が出来ない。




