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これは魔法の書です。  作者: わおん
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母が、恐竜ゴンを抱きしめたまま、


1時間ほど経過した。



ゴンは、先程、


大切な皮袋を、ボロボロにしてしまったのだ。



そして、それを見て、悲しむ母の感情が、


ゴンに流れ込んだ。



結果、最初、暴れていたゴンだったが、


その後は、眠ってしまった。



では、どうするか・・・?



このまま、ゴンを、


置いて行っても良いのか・・・?



狼タロに、


牛2頭と、恐竜ゴンを、



『見張らせても良いのか・・・?』



『そして、僕は、何をする・・・?』



台風は心配だが、見に行けない・・・



牛の大地の洪水も、心配だが、


それも、僕が見る事で、


僕の無意識魔法が、



自然現象に、何か影響を、


与える危険性がある。



その為、僕は、何も出来ない・・・



そして、不意に思った。



『こんな事なら・・・』


『本当に神様に成ってしまうか・・・?』



この様な事は、思い付いた瞬間、


それが、正しい事に、思える。



最善策を考え、思い付いたのだから、


その様に、錯覚するのだ。



そして、勢いで行動を開始してしまう。



しかし、僕は、何度も失敗している。



そして、今回は、それが、僕を助けた。



失敗の恐怖が、僕に冷静さを与えたのだ。



僕が、この世界で神に成る事は、


簡単な事である。



僕は、動物とも話せるのだ。



そして、逆らう者は、誰であっても、


簡単に殺せる。



つまりは、僕は、


誰よりも、優位な存在なのだ。



人は、それを神と呼ぶ。



人間が、どれだけの権力を集めても、


太刀打ち出来ない・・・



それが神である。



そして、僕には、その力が充分にある。



『神様など、そんなモノだ・・・』


『神は、人間の為に居るのでは無い・・・』



神は、死ねない・・・


神は、退屈・・・


だから、神なのだ。



『ヒマつぶし・・・』



その為に、神に成るのだ。



神など、そんなモノである。



『そんな神など、必要無い・・・』



ところが、僕が神に成るは、



『本当に悪い事だろうか・・・?』



僕が、この星の神と成った場合、


僕にとって、この星の全ては、大切な家族に成る。



『その場合、天候は・・・?』



現在は、父、母、祖母、タロ、ゴン、


この5人の安全さえ守れれば、それで良い・・・



結果、僕の無意識魔法は、


他の命など、無視して、


家族の為だけに機能している。



それが、この星の天候に被害を与えている。



その可能性があるのだ。



ところが、僕が、この星の神と成り、


全人類を守る責任が発生した場合、



僕の無意識魔法による天候操作を、


防げる可能性があるのだ。



『では、神に成るか・・・?』



この星の天候を守り、


この星の生態系を守る為・・・



神と成って、


全てを家族として受け入れるか・・・?



しかし・・・



『そんな事が出来るだろうか・・・?』



僕は、本物の神では無いのだ・・・



では、本物の神・・・



『全知全能の神など、存在するのか・・・?』


『その神なら、上手く出来るのか・・・?』



僕を誕生させた存在・・・



『そんな神は存在するのか・・・?』



と考えたが・・・



その様な神など、存在しない。



もし、その様な神が存在するなら、


その神は、何も生み出さない。



全知全能であれば、結果が解っているのだ。



それなのに、なぜ、生み出す必要がある・・・?



人間を生み出した結果、


戦争が起きた・・・



「その事で怒った神が・・・」



という神話を聞いた事がある。



しかし、全知全能の神なら、


人間を生み出す前に、


戦争が起きる事は、


理解出来るのだ。



つまり、人間が戦争を始めても、


それは、想定の範囲なのだ。



そう成る事を知っていたのだ。



それが全知全能である。



全知とは、全てが理解出来るという事である。


全能とは、全て出来るという事である。



つまり、


全知全能は、怒る事など出来ないのだ。



もちろん、全知全能を使って、


怒る事は可能かも知れない。



しかし、自分を怒らせる為に、


自分で、嫌な事をする・・・



それが全知全能だろうか・・・?



全知全能であれば、


その様な、愚かな事はしない。



それが、全知全能である。



そして、事実として、


全知全能など存在しない。



全知全能の神など、



人間が、宗教の為に考えた、


創作上の存在なのだ。



全知全能など不可能なのだ。



全てが理解出来て、


全てを解決出来る。



そんな都合の良い方法など、


存在しないのだ。



ところが人間は、


神に、全知全能を求める。



例えば、受験生は、


「合格します様に・・・」


その様に願う・・・



しかし、そんな事を、お願いされも、


それに対応するという事は、


違法な行為である。



その人物を、合格させるという事は、


誰かを、不合格にする事である。



つまり、


その様な願いを叶える存在は、


悪であり、



その様な事を、願う事は人間は、


卑怯なのだ。



しかし、人は純粋に祈る・・・



そんな自分の純粋さに酔っている。


自分を健全だと勘違いしている。



それが人間である。



つまり、


僕が、神と成った場合、


人間は、



僕に「こびる」


僕を「絶賛する」


僕に「全知全能」を求める。



権力者は、僕に殺される事を恐れ、


僕の為と称して、


無駄な事を繰り返す。



僕の為に、神殿を建て、


僕の為に、祭りを行う。



僕を怒らせない様に、


必死の努力を行う。



しかし、それを行うのは、


権力者では無い。



その権力者に、支配されている人々なのだ。



では、権力者を殺して、


人々を自由にしたら・・・?



しかし、その場合も、多くの問題が発生する。



人々が、自由に成れば、


人は、自分の為だけに、


生きる様に成る。



パン屋に成りたい・・・



その様な人々が大勢いた場合・・・



近所に、70軒のパン屋で出来た場合・・・



誰も、小麦を作らない場合・・・



『一体、どう成る・・・?』



そんな環境は、成立しないのだ。



人は、自由になど生きられないのだ。



税金を払う必要がある。



だから、嫌な仕事でも、それを選ぶのだ。



本当は医者に成りたくても、


授業料が払えない・・・



野球選手に成りたくても、


プロの成れる実力が無い・・・



その様な理由で、


多くの人は、本来、成りたい何かには成れない。



その我慢で、世界は成立しているのだ。



そして、人は、なぜ我慢が出来るのか、


それは「神など存在しないから」である。



神に祈る人は多くいるが、


それで、問題が解決しない事を知っている。



神への祈りなど、気休めだと知っている。


だから、気分転換として祈るのだ。



神など、その程度の存在なのだ。



ところが、僕が、権力者を殺し、


人々を応援した場合・・・


人々に自由を与えた場合・・・



「殺し屋に成りたい・・・」



『そんな人物を、応援しても良いのか・・・?』



もちろん、駄目である。



では、「優勝したい・・・」



『そんな人物を、応援しても良いのか・・・?』



『負ける人の立場は・・・?』



『全チームが、優勝を願ったら・・・?』



『誰の願いを叶える・・・?』



『祈りの強い者・・・?』



『練習もせずに、祈っている者・・・?』



『身体を壊すまで、練習する者・・・?』



『誰を選ぶ・・・?』



結局、選べないのだ。



では、願いなど叶わない事を、


教えてはどうか・・・?



宗教は、元々、


賢い人間が、


無知な人間を、だます為に出来たのだ。



神が存在して、


願いを叶えてくれる・・・


守ってくれる・・・



その様な嘘を広めた。



結果、多くの人々は、それを信じ、


祈る様に成った。



しかし、僕が、この世界で、神と成って、



祈っても無駄・・・



それを教えた場合、



この世界は、


どの様な発展して行くだろうか・・・?



では、そんな世界で、神と成った僕は、



『何をすれば良いのか・・・?』


『殺す係・・・?』



神の力を示す為、


悪人を殺す。



『処刑人・・・』



僕が、神に成った場合、


それが、僕に出来る仕事である。



しかし、そんな仕事、僕は認めない・・・


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