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これは魔法の書です。  作者: わおん
334/2333

334

僕には日課がある。



それは、山脈の「水やり」である。



先日、3日連続で雨が降り続いたが、


その後は、降っていない。



現在、山の保水力が弱い為、


雨が止めば、翌日には、土が乾いている。



結果、苗木が心配で、


水やりを行う事に成る。



そして、僕には、不安があった・・・



『なぜ、台風が来ない・・・?』



毎年、夏には、台風が来ていた・・・


それは家族に確認している。



そして、僕が、この世界に来てからも、


1度だけだが、台風は来ている・・・



つまり、台風を生み出す環境は、


存在しているのだ。



僕の津波で、破壊された訳では無いのだ。



では、なぜ、その後、台風は来ない・・・?



僕には、心当たりがあった。



『バリア・・・』



通称・台風1号が来た時、


僕のバリアは未熟だった。



寒さ軽減も微妙で、


完全防寒では無かった。



しかし、


山脈の崩壊を止める為、



僕は、台風の中、


上空から、山脈を見渡す必要があった。



その時、僕のバリアは進化した。



母は、台風の直撃を受けても、


平然としていたのだ。



髪は乱れず、雨にも濡れない・・・


その様なバリアが完成したのだ。



そして、その後も、


母は、その時と同様、バリアで守られている。


その為、母は、風の影響を受けていない。



そして、毎日、日課として、


山脈上空から、苗木に水やりを行っている。



『バリアとは・・・』


『一体・・・何だ・・・?』



『母を守るバリア・・・』



『本当に、母だけを守っているのか・・・?』



『山脈も守っているのでは・・・?』



『だから、台風が来ないのでは・・・?』



僕には、バリアを発している自覚が無い・・・



そして、そのバリアに、


どの様な効果があるのか・・・?



それも解らない、



先ほどまで、


バリア内の空気が、無く成らない事にも、


気付かなかった程である。



現在、僕の認識では、


母、2匹の赤ちゃん、肉、芋、



それぞれを守る為、


4つのバリアが機能している・・・



しかし、僕は、そのバリアが、


どの様な形状で、


どの様な方法で守っているのか・・・?



全く、理解していないのだ。



つまり、バリアの機能によって、


台風の接近が、阻止されている可能性・・・


それを否定出来ないのだ。



僕には、中途半端な知識がある。


その1つが「気圧配置」である。



上空には、


寒い地域の、冷たい空気と、


暑い地域の、暖かい空気が存在する。



その空気が、上空で押し合い、支え合い、


そのバランスを保っている。



しかし、そのバランスが崩れると、


環境は激変して、気象災害が発生する。



本来、雨が降らない地域に、大雨が降り、


大洪水に成り。



本来、雨が降る地域が、水不足に成る・・・



それが、1度の事で済めば良いのだが、



生前、僕は、


「台風20号」


その様な言葉を聞いた記憶がある。



つまり、


『1度で済む問題では無い・・・』



もし、僕のバリアが、


台風の接近を、阻止している場合、



本来、山脈に来るハズの台風が、


20回も別の場所に、行ってしまうのだ。



どれだけの被害が、出ているだろうか・・・



これは、完全に、僕の空想なのだが、


本来、雨の少ない地域に、



20回も大雨が降った場合・・・


その地域の湿度が上昇する。



大雨の後、


太陽の熱によって、


地面の水分が、蒸発するのだ。



それが、本来、その地域には無い、


上昇気流を生み出す・・・



つまり、上空での風の流れに、変化が出るのだ。


つまり、気圧配置に、変化が出るのだ。



今まで、バランス良く、押し合っていた気圧・・・


その一方が強く成り、


弱い方に進んで行くのだ。



つまり、異常気象が発生する・・・



その結果、その影響で、


異常な気象、



つまり、


本来、雨の少ない地域に、


再び、雨が降り・・・



それが、


再び、上昇気流を生み出し・・・


この星に異常気象を与える・・・



結果、北極や南極に、


過剰な雪が降り積もった場合・・・



『どう成る・・・?』



『この星は、寒く成る・・・?』



『氷河期がやって来る・・・?』



僕には、この予想が、


正しいのか、どうか・・・?



全く解らない。



しかし、僕のバリアが、


台風の接近を、阻止している可能性・・・



その危険性は、充分に考えられる。



『台風が来ないからラッキー』



などと、喜んでいる場合では無いのだ。



『台風に来てもらわないと・・・』


『この星が悪影響を受ける・・・』



時代と共に、気象は変化する・・・


それは、当然の事であり、


僕が、心配する事では無い。



しかし、僕が発する、


不自然な力によって、


気象が変化している場合、



それは、改善する必要があるのだ。



「今年の冬は暖かい・・・」



雪国の人間にとって、


それは大変助かる・・・



しかし、その影響で、


本来、育つハズの作物が育たない・・・


その様な事が起きる。



台風が来る地域は、


台風に対応した動植物が、育っている。



もちろん、台風が来て、喜ぶ動物などいない。


しかし、台風によって、


池の水が、新しく成る・・・



それが、その地域の水質を、


守っている・・・



そして、その地域の、生物には、


その環境が必要なのだ。



『この地域は、台風によって・・・』


『何かを得ていた・・・』



『僕には、その何かが解らない・・・』



つまり、台風に来てもらい、


その「何か」を与えてもらう必要があるのだ。



では、どの様にすれば、


台風は来るのか・・・?



僕の魔法で、台風を発生させた場合、


それは、本来の台風では無い・・・



あくまでも、自然に発生してもらう、


その必要があった。



そして、その為には、



『僕は、山脈上空には、行けない・・・』



僕のバリアの影響を減らし、


台風に来てもらう・・・



その為には、


僕は、山脈に行っては駄目なのだ。



それが、僕に考えられる方法だった。



しかし、その場合、



『苗木の水やりは、どうする・・・?』



本来、山の湿度は高く、


地面の水分は多い。



その為、水やりなど不要なのだ。



ところが、津波によって、


全ての木々が枯れた事で、


山の湿度は、失われていた。



その後、立ち枯れの木々を抜いて、


苗木を植えたが、


それが機能するのは、


先の事である。



『水やりを止めた場合・・・』


『苗木は、枯れるのでは・・・?』



そして気付く・・・



『あれ・・・?』



『先日、3日間、雨が降り続いた・・・』


『その時、僕は、上空に居た・・・』



しかし、それでも3日間・・・


雨は降り続いたのだ。



つまり、バリアの影響は無い・・・?


僕のバリアで、台風が来ない訳では無い・・・?



僕は、その可能性に気付いた。



『では、なぜ、台風が来ない・・・?』


『3日間、雨が降る環境・・・』


『その前には、1度、台風が来ている・・・』



僕には、不安があった・・・


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