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これは魔法の書です。  作者: わおん
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333

祖母が便利を考え、


父が、それを作る・・・



それが、父と祖母の生きる価値なのだ。



ところが、僕が、便利な「何か」を、


生み出してしまう・・・



そして、その「何か」は、


僕の魔法でしか作り出せない・・・



この時点で、父の器用さなど、不要に成る。



僕が、その気に成れば、


家など、数分で完成するのだ。



実際、赤ちゃんの為に作った木製の巣穴は、


50センチの球体、


中は空洞、20センチの出入り口、


これも、父には、作れない。



父は、この巣穴を見て、


それを理解しただろう・・・



僕は、木で巣穴を作った事を、後悔していた。



僕は、毎回、考え過ぎる位に、考えている。



ところが、毎回「軽はずみ」な行動をしてしまう。



僕が、何か便利を求めた場合・・・


父は、不要に成るのだ。



父が、作るよりも、


僕が作った方が、


早くて、優れたモノが完成するのだ。



そして、その場合、


そのモノは、祖母の想像の範囲を超えている。



つまり、


祖母には、考える事の出来ない何か・・・


僕は、それを知っているのだ。



僕は、それが作れるのだ。



だから、祖母の存在も不要に成ってしまう。



『これでは駄目だ・・・』



バリア内の、酸素が無く成らない・・・


酸欠に成らない・・・



この発見は大きいが、


その発見を利用した場合、



家族が、存在価値を失う事に成るのだ。



『快適な暮らしは・・・』


『人の存在価値を奪って行く・・・』



生前、誰にも言わなかったが、


僕には、本音があった。



年寄りに、


生きている意味は、あるのか・・・?



年寄りも、過去には、


仕事をしていた。



しかし、今は、もう出来ない・・・



つまり、社会に必要とされていない。



小学生の場合、今は、役に立たなくても、


将来、役に立つ可能性がある。



しかし、年寄りの場合、


その先に待っているのは、



介護を受ける・・・


その様な状況である。



そんな状況で、


生きる意味があるのか・・・?



生前の祖母が、癌に成った時、病院で、


『一体、何の為に生きているのか・・・?』


その様な老人を多く見た。



生命維持装置を付けられ・・・



『死ぬまでの時間稼ぎ・・・』


『本人は、納得しているのか・・・?』



『何の為に生きているのか・・・?』



『自分が、年寄りに成った時・・・』


『僕は、何の為に生きるのか・・・?』



『寝たきりに成った時・・・』


『生命維持に意味はあるのか・・・?』



当時、小学生の僕は、


そんな事を考えていた・・・



そして、この世界に来て、


今も思う・・・


将来、家族が、歳を取り、



今の様に、仕事が出来なく成った場合・・・



何を誇りに、生きて行くのか・・・?



僕に、それを与える事が、


出来るだろうか・・・?



『寝たきりの老人・・・』



そんな家族に、生きている価値を、


与える事が出来るだろうか・・・?



この時代に来て、


僕には、価値観が生まれた。



『老化は素晴らしい事である・・・』


『死ねるのだ・・・』


死ねるから、生きている事に、価値があるのだ。



もし、僕の様に、永遠に死ねない場合・・・


今日の努力など、


『本当に、意味があるのか・・・?』



今日、僕は、家族の老後の心配をしている。



しかし、一兆年後の僕に、


そんな事は、どうでも良い事である。



『今日の事を、一兆年後の僕は・・・』


『覚えているだろうか・・・?』



僕の将来には、不安しか無い・・・



そんな僕にとって、


老化によって、死ねる・・・


それは、とても、素晴らしい事に思えた。



しかし、老化して行く原始人に、


そんな価値観は無い・・・



自分が無駄な存在だと、


認識してしまう・・・



『これでは、駄目だ・・・』


『家族の為に・・・』


『老後の存在価値を見つけないと・・・』



『老後の楽しみ・・・』


『それは、一体・・・何だ・・・?』



そんな事を考えながら、


僕は、千里眼で、牛の柵を観察していた。



現在、タロと、1頭目のメス牛が、


新入りのメス牛を、見張っている。



新入りは、柵の中で、


多少、混乱しているが、



タロが恐い事と、


自分以外にも、牛が居る為なのか・・・?



暴れる事は無かった。



そこに、父が、やって来て、


水と草を与える・・・



これを2週間繰り返せば、


この新入りも、父のマッサージを快適と知り、



父が、草を運んで来ると喜び・・・


柵の外に出しても、大丈夫に成る。



しかし、そんな牛を将来・・・


殺せるのか・・・?



問題は山積みである・・・


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