332
2頭目の牛を確保する為、
牛の大地に着た・・・
しかし、
『オス、メス・・・』
『どっちにする・・・?』
理屈で考えれば、
次は、オスを選ぶ事で、
子供が生まれる可能性もある。
しかし、我々は牛に関して素人である。
もし、オスとメスが、カップルに成った場合・・・
その2頭は、どの様な行動をするのか・・・?
タロの指示に従うのか・・・?
メスを守る為、
オスが凶暴化するのでは・・・?
元々、野生の牛なのだ。
ライバルのオス牛を、追い払い、
メスに求愛してカップルに成る。
その仕組みで生きて来たのだ。
つまり、牧草地にオスを連れて行った場合、
そのオス牛は、タロをライバルと勘違いして、
襲い掛かる危険性があるのだ。
その為、僕は、まだ若いメス牛を1頭選んで、
ネズミの森の柵に、瞬間移動させた。
結局、2頭目も、メスを選んだのだ。
問題の、先送りである。
今後、僕は、牛に近付く事は出来ない。
万が一、僕の無意識が、
牛の事を、家族と認めてしまった場合、
牛は、賢く成って、
ある意味「良い子」に成ってしまう。
そんな「良い子」を、殺して食べる事など、
我々には出来ないのだ。
だから、あくまでも家畜として、
飼育する必要があった。
その為には、僕は、
牛の6メートル範囲に入らない、
それを、守る必要があった。
そこで、柵の前で待機いていたタロに、
新入りの見張りのを、
お願いした。
結果、1頭目のメス牛も、
タロの近くに居る事と成り、
2頭目の飼育が開始と成った。
では、次である・・・
『赤ちゃんの具合は、どうだ・・・?』
僕は、気に成って、何度も確認している。
現在、母の横には直径50センチの、
木製の球体が生んでいる。
2匹の赤ちゃんは、その中に居るのだ。
赤ちゃんの体調は、
回復魔法によって、僕に伝わっている。
その為、生きている事は、理解出来る。
しかし、不自然な程に寝ているのだ。
横に浮かんで居る肉には、
気付いてない・・・
おそらく、赤ちゃんには、
芋も見えていない・・・
そして、母の姿も見えていない。
肉の匂い・・・
母の匂い・・・
それも伝わっていない。
だから、寝れるのだ。
『なぜ、匂いが伝わらないのか・・・?』
以前、山菜森で、ワラ草を集めた時、
我々は、バリアで守られていた。
結果、周囲の動物には、
我々の姿は見えなかった。
しかし、我々が移動した後・・・
その場所には、我々の匂いが残っていた。
結果、狼の群れは、その匂いを追って、
我々を探していた。
ところが、現在、僕のバリアは、
その匂いも伝えない・・・
つまり、バリアの中に、
閉じ込めているのだ。
『では、酸素は・・・?』
『なぜ、バリア内の空気が無くならない・・・?』
バリアの外に、匂いが出ないのなら、
空気も出入り出来ない・・・
ハズである。
しかし、母も赤ちゃんも、酸欠には、成っていない。
『なぜ・・・?』
『バリアの中で、空気が作られているのか・・・?』
『まさか・・・』
生前、僕は、鉛を純金に、
変化させられる可能性に、
気付いていた・・・
その時は、世界の混乱を防ぐ為、
純金作りは断念した。
絶対に、やっては駄目だと、
自分に言い聞かせた。
しかし、鉛を純金に、変化させらるのなら・・・
バリア内の二酸化炭素を、酸素に戻す事も、
可能なのでは・・・?
二酸化炭素から、
酸素を作る事が出来るなら・・・?
『植物から、油を作れるだろうか・・・?』
しかし、
『油を作って、どうする・・・?』
僕には、その使い道が解らなかった。
ここは、原始時代である。
実用油など、無い時代なのだ。
そんな時代に、油を作り、それを使い、
便利な生活を求める・・・
しかし、歴史には影響を与えない・・・
そんな方法など、存在しないのだ。
ところが・・・
悩む・・・
我々は、今後、
父、母、祖母、タロ、2匹の恐竜・・・
僕を入れて、7人で生活して行く・・・
そして、歴史に影響を与えない為に、
他の部族とは、交流しない・・・
その様に決めている。
そして、この時代・・・
我々の暮らす、この地域まで、
たどり着ける人類など、存在しない。
つまり、我々だけで生きて居るのだ。
『だったら、油を使っても良いのでは・・・?』
とりあえず油を作る事で、
何か使い道が見つかる可能性もある。
『油に限った事では無い・・・』
『便利なモノを作っても・・・』
『この世界の歴史に・・・』
『影響を与えないのでは・・・?』
と、そこまで、考え、
僕は、冷静に成った。
僕が作り出す油は、
魔法によって生み出すモノである。
つまり、僕自身、その作り方が、
解らないのだ。
父や祖母に、作り方を、
教える事が、出来ないのだ。
バリア内の、二酸化炭素が、
どの様にして、酸素に成るのか・・・?
それと同じ事である。
つまり、魔法が無ければ、成立しない産物なのだ。
そんなモノを、使った場合、
父や祖母の、存在価値が失われるのだ。




