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恐竜は、元々、恐竜時代を生き抜く為に、
進化した・・・
その為、その後、誕生したネズミと、
戦う能力など無い・・・
恐竜時代であれば、
恐竜と戦えば良かった。
しかし、ネズミは、
恐竜の卵を盗み、食べる。
それに対応出来る恐竜は、少なかった・・・
結果、この世界の恐竜は、滅んだのでは・・・?
しかし、そんな中、
この赤ちゃんの種族だけは違った。
尻尾が「ムチ」の様な武器に成る・・・
それによって、ネズミを撃退出来た・・・
卵を守る能力があった・・・
その為、絶滅せずに生き延びた・・・
『ネズミを撃退出来る尻尾・・・』
『2メートルの恐竜・・・』
『悪意が無くても・・・』
『条件反射で動く、尻尾・・・』
『それに叩かれたら・・・』
『人間は、どうなる・・・?』
危険なのは、明らかだった。
つまり、
僕が『この恐竜は、家族だ・・・!』
と思い込んでも、
僕の無意識は、それを認めない。
「痛いの痛いの飛んで行け!」と本気で言っても、
身体は痛みを発する・・・
それと同じ事である。
僕は、僕の無意識をコントロール出来ないのだ。
つまり、
僕が、どんな理屈を考えても、
『恐竜を飼う事は危険・・・』
この事実は変らない・・・
つまり、
恐竜を家族とは、認められない為、
赤ちゃんを、回復魔法で、
回復させる事が出来ない。
『では、どうするか・・・?』
このままでは、赤ちゃんは弱って行く・・・
そして、死ぬだろう・・・
『それで、良いのか・・・?』
そもそも、なぜ、この2匹の赤ちゃんは、
『弱っているのか・・・?』
もし、回復魔法が発動しても、
この赤ちゃんが、
それで回復する保障は無い。
そして、疑問を感じる。
『なぜ、牛の大地には・・・』
『赤ちゃんが居なかった・・・?』
卵さえ見付からなかった。
つまり、牛の大地に唯一生息する恐竜、
それが、何月に卵を産むのか・・・?
不明である。
そして、赤ちゃん恐竜も、
子供恐竜も居なかった・・・
牛の大地で、発見した恐竜は、
全て身長160センチ前後だった。
成長途中の恐竜・・・
それが居なかったのだ。
『なぜ・・・?』
そして、僕は、可能性に気付く・・・
『伝染病・・・?』
牛の大地では、
伝染病が広がっている・・・?
恐竜の赤ちゃんが、
死んでしまう病気・・・?
それで、赤ちゃんが死んでしまう・・・?
『卵が産めない・・・?』
その為、牛の大地の恐竜は、
卵を産む事さえ出来ない・・・
胎内の段階で、死んでしまう・・・
『だから、牛の大地に卵が無い・・・』
『恐竜の子供も居ない・・・』
『現在生息しているのは、大人だけ・・・?』
あくまでも、可能性の話である。
しかし、誰も答えを教えてくれない以上、
僕が、考え、解決する必要がある。
『この2匹の赤ちゃんを救う・・・』
『その為には、何をすれば良いのか・・・?』
そして、気付く・・・
地面の塩分が、取り除けるなら、
伝染病のウイルスも、
取り除けるのでは・・・?
僕には、味覚が無い。
しかし、母が、
海水を含んだドロを口に入れ、
その時に感じた苦痛・・・
それを塩分と理解して、
僕は、地面から、その成分を排除したのだ。
事実、地面の塩分は排除出来ている。
『この方法で、ウイルスを・・・』
『取り除く事が出来るのか・・・?』
しかし、
僕は、地面の塩分を取り除いた時、
土の中に含まれる「何か」・・・
その「何か」も取り除いてしまった。
結果、その後、
僕が、塩分除去を行った地域では、
虫が1匹も居なく成ったのだ。
ウイルスだけを、取り除けるだろうか・・・?
例えば、
白血球に、被害を与える、ウイルスの場合、
僕が、ウイルスを取り除く事で、
白血球も全て、取り除いてしまう・・・
その危険性は、充分にあった。
しかし、
このまま、放置しても、死んでしまう。
『では、実行するか・・・?』
と考えるが、
そこには、問題がある。
僕と、母は、心が通じている。
その為、
母が、塩分を含んだドロを口に入れた事で、
僕も、その苦痛を理解出来た。
つまり、赤ちゃんの体内から、
ウイルスを取り除く場合・・・
僕は、赤ちゃんと、心を通じさせる・・・
その必要があるのだ。
その為には、
この2匹の赤ちゃんを、
家族として認める必要があるのだ。
『一体、どうやって・・・?』
パフォーマンスでは駄目なのだ。
手には爪ナイフ・・・
尻尾はムチ・・・
それを本能で振り回す・・・
そんな危険な存在を、
家族として、認める必要があるのだ。
祖母の眼球が切り裂かれ・・・
父のヒザを砕かれる・・・
そんな生き物を、
父や祖母と、同様の家族と、
認識出来る訳が無いのだ。
『恐竜も大切な家族・・・』
そんな事を言っても、
それは芝居なのだ。
僕の無意識は、それを知っているのだ。
だから、恐竜を家族にする事は、
不可能なのだ。
そもそも、
『本当にウイルスなのか・・・?』
この2匹の恐竜の赤ちゃんが、
弱っている。
牛の大地には、
恐竜の卵も赤ちゃんも子供も居ない・・・
僕は、その事から、
ウイルスの可能性を考えている・・・
しかし、
『本当に、そうなのか・・・?』
現在、夏・・・
7月頃だろうか・・・?
もし、この恐竜が、
8月に卵を産んで・・・
9月に赤ちゃんが生まれ・・・
約1年で、大人と同じサイズに、
成長する場合・・・
現在、牛の大地に、
子供サイズの恐竜が居ない事は、
説明が付く・・・
恐竜の子孫は、鳥に成ったと聞いた事がある。
そして、鳥は、生後、数週間で、
親鳥と、同じサイズに成長する。
160センチの恐竜の場合、
そこまで、早く成長しないが、
1年あれば・・・
『親と同じサイズに成るのでは・・・?』
事実、この2匹の赤ちゃんは、
沢山食べる・・・
現在、弱っているが、
それでも、食べようとする・・・
1年で、親と同じサイズに成ったとしても、
不思議では無い・・・
では、この事から、
何が予想出来るのか・・・?
牛の大地では、
来月、卵が生まれる・・・?
だから、現在、牛の大地には、
赤ちゃんが居ない・・・?
つまり、牛の大地に、
伝染病など存在しない・・・?
その可能性も、考えられるのだ。
と成ると、
この2匹の赤ちゃんが、
弱っている理由は、
ウイルスでは無い可能性もある。
そんな状態で、
僕が、ウイルスの除去を行った場合・・・
身体に必要な「何か」を取り除いてしまう。
その危険性の方が高い・・・
『どうすれば良い・・・』




