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これは魔法の書です。  作者: わおん
325/2328

325

我々に蒸し器は不要である。



蒸し芋に関しては、


土に埋めて、蒸し焼きにする。



この方法が、


現在の環境では、


最も効率的である。



これが、祖母の出した結論であり、


僕も、それに納得した。



『効率の悪い、最新よりも・・・』


『単純な旧式の方が、効率が良い・・・』



そんな事もあるのだと、


僕は、関心していた。



そんな中、祖母は、


次の行動を開始した。



タネ芋の、保管方法に関して、


父と話を始めたのだ。



数ヶ月前まで、


朝起きても、


その事を、合図で知らせる程度・・・



その後の、会話など無い、


そんな程度の、会話能力しかなかった原始人・・・



それが、現在、地面に設計図を描いて、



自分の考えを伝え、


その問題点を、話合っているのだ。



その設計図は、まだまだ幼稚で、


本人にしか解らないレベルだが、



それでも、説明されれば、


理解出来る。



つまり、役に立っているのだ。



祖母は、


タネ芋の保存に関して考え、



それを、父に伝え、


父は、その問題点を考える・・・



実際に、作れるのか・・・?


それが問題なのだ。



そして、2人が出した答えは、


レンガを焼いて、


それで小屋を建てる方法だった。



以前、乾燥室を作った時、


レンガは焼いていない。



クズ粘土を、干して固めたモノを、


レンガとして使ったのだ。



しかし、その後、


乾燥室を何度も使い、


毎回、補修する事で、



2人は気付いた。



「レンガ、焼く、小さく成る・・・」


「レンガ、焼く、強く成る・・・」



焼く事で、小さく成る事は、


2人にとって、問題だった。



乾燥室の床に、すき間が出来るのだ。


しかし、その床は、とても固く成っていた。



その経験から、


レンガを焼いてから、積み上げれば、


補修が不要で、丈夫なレンガ小屋が建てられる・・・



2人は、その事に気付いたのだ。



文明の劇的な進歩が、そこにはあった。



今さらだが、僕は、


ピラミッド建設に関する宇宙人説に、


興味を感じた。



ピラミッドを、建てたのは、誰か・・・?



建てたのは、人間である・・・



しかし、その方法を考え、


それを、指示したのは・・・?



『それは、宇宙人である・・・』



僕は、その様に感じた・・・



ピラミッドの内部には、


文字や絵が彫刻されており、



その中には、ロケットに乗った人や、


ヘリコプターの絵も掘られている、らしい・・・



しかし、


ロケットの設計図や、


それに関する情報を、


石に刻むだろうか・・・?



その程度の技術しか無い文明に、


ロケットが作れただろうか・・・?



『無理なのだ・・・』



つまり、


人間は、ピラミッドを作る事は出来た・・・



しかし、その作り方を考える事など、


不可能だったのだ。



その程度の文明だったのだ。



そんな時代だったのだ。



では、誰が、


ピラミッドの作り方を考えた・・・?


誰が、人間に指示をした・・・?



おそらく・・・


それが・・・



『宇宙人である・・・』



では、なぜ、


その様なモノを作らせたのか・・・?



それは、


『人間の文明を進歩させる為・・・』



そして、今の僕も、


そんな『宇宙人なのだ・・・』



では、


『通称・ピラミッド星人は・・・』


『どこに行った・・・?』



もしかすると、


『僕と同じなのでは・・・?』



最初は、文明を進歩させる事に、


正しさを感じていた。



しかし、それがエスカレートして、


ピラミッドに到達した・・・



あるいは、その直前のレベルに達してしまった。



過剰な進歩によって、


人類は、自力で、


ピラミッドを建てる事が、


可能に成ってしまったのだ。



冷静に考えれば、これは危険な事である。



この時代の人間には、


本来、その様な事は出来ないのだ。



数年前まで、


20個程度の合図で、


会話の真似事をしていた・・・



そんな原始的な人類・・・



そんな人間に、金属の道具を与えた場合・・・


金属の道具を、作る事は出来なくても、



それを使う事は、出来る・・・



結果、農業が、劇的に発展する。



そして、人口が増加する。



結果、村は大きく成り、


それは、国に成る。



結果、初対面の者が多く成る。



結果、言葉の必要性が生まれる。



20個の合図では、


初対面の相手には、通じないのだ。



家族であれが、昨日の出来事を知っている。



だから、棒を渡されれば、


その使い道は理解出来る。



しかし、初対面の相手に、


突然、棒を渡されても、


それが、何なのか、何に使うのか・・・?



伝われないのだ。



その為、言葉が必要に成る。



ピラミッド星人は、


それを見て、


最初は、喜んだのだろう・・・



しかし、急速な発展は、


大きな被害を生む・・・



猿は、戦争をしないが、


人類は、古代から戦争を行っている。



ピラミッド星人が、


文明を与えた事で、


人類は、戦争を始めてしまった。



ピラミッド星人は、


自分の「あやまち」に気付いた。



しかし、リセットなんて出来ない・・・



自分が育てた人類を、


殺すなんて事は、出来ない・・・



結果、姿を消す以外に方法が無い・・・



ピラミッド星人は、


その様な理由で、姿を消したのでは・・・?



その為、極端に栄えた古代エジプトは、


その後、それを維持する知識が、無い為に・・・



滅んだ・・・



僕の場合、


それが、


干し肉の作り方だった・・・



そして、


レンガ小屋に到達した・・・



僕は、3人に教えただけだが、


ピラミッド星人は、国家レベルに教えてしまった。



もちろん、これは、僕の仮説であり、


正解では無い。



しかし、この仮説をヒントにする事で、


今後の、僕の生き方を、考える事が出来る。



空想上の「先人の失敗・・・」



それを、参考に、僕の今後を考える・・・



『僕が、人類の前から、姿を消す・・・』



これは、人類の為に必要なのだ。



僕は、その様に思った。



しかし、



『それが本当に正しいのか・・・?』



ちなみに、この様な場合、


『それが、正しいか、どうか・・・?』


『最善なのか最悪なのか・・・?』


考えても無駄である。



物事の「良い悪い」は、


本人の「好き嫌い」で決まるのだ。



正解など、存在する訳が無い。



だから、僕が人類の前から姿を消す事は、



正しいと思えば、正しく成り、


間違いを思えば、間違いに成る。



つまり、どちらを選んでも、


納得は出来ない。



だから、悩む。



『本当に好き嫌いで、決めて良いのか・・・?』


『それ以外に、方法は、無いのか・・・?』



生前、僕は、祖母の癌を治した。



ところが、それは、医学界に悪影響を与える為、


その後、家族に癌患者が現れても、


癌治療は行わないと決めていた。



しかし、


もし、僕が、生前の世界で、まだ生きていて、



もし、家族が、癌に成った時、


その時、僕は、ルールを守れただろうか・・・?



『好き嫌いで決まる正しさなど・・・』


『その程度のモノだ・・・』


『守れる訳が無い・・・』


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