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これは魔法の書です。  作者: わおん
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僕が、何かを考えると、


絶妙なタイミングで何かが起きる。



それが、偶然とは思えない。



しかし、その様に考えるのは、


自意識過剰である。



僕は、その事を知っている。



生前、豆腐工場の息子が自慢していた。



自分がトランペットを買った日に、


テレビで、吹き方を説明していた・・・


これまでの人生で1度見た事が無い・・・



それが放送されていた。



つまり、


自分は、トランペットの神に選ばれたのだ。


それが、豆腐工場息子の考えだった。



しかし、その数週間後には、



口が痛い、前歯に負担がかかる・・・


その様な理由で、挫折している。



世の中、そんなモノである。



つまり、僕の行動を観察して、


スイッチを押している誰か・・・



その様な、神様など存在しないのだ。



しかし、


あまりにタイミングが、合い過ぎるので、


少し不安に成る。



『台風が来るのか・・・?』



などと思っていると、



翌日から、台風ほどでは無いが、


雨風が3日間続いた。



多少強い風も吹くが、


連続では無い・・・



その為、苗木は無事である。



しかし、問題は、雨であった。



雨は、山脈の谷間に流れる。



本来なら、それは、自然な流れで、


行くベキ場所に流れて行く。



しかし、津波によって、


谷間は土砂で埋まり・・・



その後、僕が、それを取り除いた。



結果、それは、本来の姿ではない。



本来、北から南へ流れる川が、


僕の修正によって、


逆に流れている。



その様な、危険性も考えられた。



川とは下り坂である。



その為、流れて行くのだ。



しかし、僕の修復が原因で、


途中で登り坂に成っていたら・・・?



『前回の台風の時には、どうだった・・・?』


『その様な場所は、無かったか・・・?』



残念ながら、当時は、山崩れ防止が優先で、



谷間の流れなど、


考えもしなかった。



ところが、心に余裕があると、


心配事が増える・・・



ヒマだから、無駄な事を考え、


優秀で、賢い自分を、


自分自身にアピールして、しまうのだ。



僕は、その事を理解している。



つまり、今、僕が苦悩しているのは、


無駄な事なのだ。



しかし、僕には、


山脈が、この様な状況に成った事の、罪悪感があり、


何かしないと、気が済まないのだ。



結果、僕は、無駄な事を繰り返していた。



上空から谷間を見て周る・・・



そして、少しでも、流れが悪い場所を見付けると、


見えない手で、川の中を調べる。



素人の僕に、それで何が解る訳でも無い。



結果的には、流れている川なのだ。



僕の言う所の、下り坂なのだ。



だから、流れているのだ。



問題無いのだ。



解っているが、


それでも念の為に確認して、



川の底に、大岩が無いか・・・?



それが、流れの邪魔をしていないか・・・?



そんな事を確認する。



しかしである。



もし、大岩があった場合、



それを、どうするのか・・・?



それを取り除けば、


川の中に大穴が残る・・・



現在、川は増水中で、


その穴を埋める作業など、不可能である。



結果、川に不自然な「うねり」が生じて、


危険が増すだけである。



そんな事は、解って居るのだ。


それなのに、僕は、それでも調べる。



そして、大岩があった場合には、


その近くの山の上に、


印を3つ残す。



この印の三角形の中心に、問題の大岩がある。



それを、記録する印である。



ちなみに、その印は、


通称・赤リボンを、


参考にして作った木の杭である。



赤リボンとは、


生前、僕が住んでいた地域で、


地道のワキに、


一定の間隔で立っていた棒であり、


その用途は不明である。



しかし、現在、


僕が100メートルなどと判断しているのは、


その時の記憶が参考に成っている。



僕は、その赤リボンを、参考に、


長さ1メートルの杭を作り、


それを、印に立てた。



赤いリボンは、用意出来ないので、


それは無しである。



そんな杭を、後日探し、


その三角の中心にある谷底の、川底の大岩・・・



それを、どうするのか・・・?



取り除くのか・・・?



結果、川の流れが速く成るのでは・・・?



それでは、次の大雨の時、激流に成るのでは・・・?



それで、良いのか・・・?



困らないのか・・・?



多少、流れの悪い部分があるから、


川の環境は守られ、魚が住めるのでは・・・?



僕は、全く、無意味な事を、やっているのでは・・・?



その様な疑問が、僕の中で渦巻いていたが、



では・・・『何をする・・・?』


というと、



雨が降っているので、


山脈への、水やりの必要は無い・・・



芋に関しても、


祖母に、全て任せたので、僕は手を出せない・・・



つまり、僕は、ヒマなのである。



しかし、この時の僕は、



その事実に気付きながらも、


必死を演じて、頑張っていた。



僕は、自分の存在価値を認めたかったのだ。


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