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芋は、3人にとって、命である。
牛は、僕が居ないと、連れて来れない・・・
魔法が無いと、成立しない・・・
3人は、その事を理解している。
しかし、芋の栽培は、違う、
元々、この地域にあった芋である。
津波以前、3人の村では、
芋を食べる時、山の中を探し、
それを焼いて食べていた。
そして、現在、
それを栽培出来る事を知った。
つまり、僕の力を借りなくても、
生きて行ける・・・
自分の力で生きている・・・
その誇りが、この芋にはあるのだ。
芋100個を、受け取った祖母は、
僕に向かって、うなずいた。
そして、再び、地面に何かを描き始めた。
これが、人類の未来を生み出す・・・
僕は、その様に感じた。
では、
残りの100個の芋をどうするか・・・?
繰り返すが、これは、芋では無い。
僕が芋と呼んでいる何かである。
その為、悩む・・・
僕は、連作障害という言葉を、知っていたのだ。
連作障害とは何か・・・?
毎年、同じ畑に、芋を植えると、
「芋が病気に成る・・・」
と、聞いた事がある。
では、病気とは何か・・・?
僕は、その肝心な部分を知らない。
しかし、ニンニクや、シソも、
毎年、同じ土で育てると、
育たないと聞いた事がある。
そこで、疑問である。
北海道の、広大な芋畑は、
『毎年、使っているのでは・・・?』
広大な畑が2つあり、
『1年交代で、使っている・・・?』
『そんな訳が無い・・・』
つまり、毎年、同じ畑を使っているのだ。
では、連作障害とは、一体、何なのか・・・?
連作障害に関しては、
生前、何度か聞いた。
住んでいた地域の特性で、
農業関係者が多く居たのだ。
僕は、後悔していた。
なぜ、あの時、
くわしく聞かなかったのか・・・
僕が、聞いても居ないのに、
天気の話や、
今年の収穫時期を、
周囲の老人が説明する。
連作障害に関して、
『では、どの様にすれば良いのか・・・?』
あの時、その疑問を解決して置けば、
僕は、人類の進歩に貢献出来たのだ・・・
魔法を使わずに、役に立てたのだ・・・
しかし、僕には、あの時、
聞かなかった。
調べなかった。
だから僕には、
役に立つ知識など、
まるで無かった。
この通称・芋には、
「デンプン」があった。
それが本当にデンプンなのか・・・?
リトマス試験紙があれば、確認出来たのだが、
その様なモノは無い・・・
そもそも、それが解っても、
連作障害が解決出来る訳では無い。
『僕は、何をやっていたんだ・・・!』
『何の為に、生きていたんだ・・・!』
後悔しても遅いが、
後悔してしまう。
とにかく、
僕は、この通称・芋100個分を、
祖母とは、別に、保存、栽培して、
その可能性を、3人に伝える必要を感じた。
全ての責任を、祖母に押し付けるのは、
残酷だからだ。
本来、何月に植えるのが理想なのか・・・?
それを調べる為には、
毎月、植える必要がある。
その為には、カレンダーが必要である。
その為には、
この星の、1年を調べる必要がある。
『この星の、1年を調べる・・・』
偶然にも、僕は、その方法を知っていた。
理科の授業で習ったのだ。
教科書には載っていないが、
先生が教えてくれた。
だから、僕は、
この星の1年を調べる事が出来た。
僕は、芋100個を、
母の横の浮かせ、
僕は、巨大な岩を探しに行った。
第2山脈と3人山脈の谷間に、
全長3メートルの台形・・・
その様な岩があった。
それを、枯れた大地に移動させる。
そして、その岩の上から30センチの位置に、
直径3センチの穴を開ける。
その結果、台形の岩に、
長さ1メートル程度のトンネルが出来た。
この方法は、
小学校の先生が、教えてくれた方法と違う。
先生が教えてくれたのは、
真鍮で出来た、望遠鏡の模型の様な機具で、
計測する方法だった。
しかし、そんなモノ、この世界にある訳がない。
その為、古代遺跡の様なモノを作り、
それで、明日、正確な日の出を調べる。
翌朝、僕は、日の出前に、枯れた大地に移動。
日の出を待つ。
台形の岩は、
高さ3メートル、
底辺3メートル、
上辺2メートル、
奥行き、
底辺部3メートル、
上辺部1メートル、
一体、何トンあるのか解らない、
しかし、その岩を、
山脈から日が出るタイミングで移動させる。
『あの、山頂部分から、日が出て・・・』
『その時、その光景が、台形岩の穴から見て・・・』
『その時、台形岩の陰が、ココまで伸びた・・・』
その位置に、別の岩を置いて、目印にする。
翌日、観察した場合、
太陽の昇る位置が微妙にズレる・・・
つまり、
今日と、全く、同じ条件で観察出来た日・・・
それが、今日の1年後という訳である。
という事は、1年後も、
僕は、ここに来る必要がある。
そして、その情報を、家族に教える事に成る。
『誕生後も、僕は、家族と暮らせる・・・』
僕は、その口実が出来た事に、
喜びを感じた。
では、次である。
母の横に浮かんだ芋を、
どうするか・・・?




