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これは魔法の書です。  作者: わおん
313/2328

313

恐竜の赤ちゃんは、


生後4日の間、


エサの時には、毎回、母の腕を傷つけていた。



ところが、


『なぜなのか・・・?』


理由は解らないが、


恐竜の赤ちゃんは、



母を傷付けずに、肉を食べる様に成った。



では、なぜ、今まで、


母の腕を傷付けていた・・・?



そして、気付く・・・



『もしかすると、2匹居るからなのか・・・?』


『もう一方に、自分の力を誇示する為に・・・』



『乱暴な食べ方をしていたのか・・・?』



おそらく、本来、この恐竜は、


生まれた直後、殺し合う・・・



そして、生き残った1匹だけが、


親に育てられる・・・



しかし、ここには、2匹いる・・・


親が、2匹を育てている・・・



その結果、この2匹の赤ちゃんは、


どちらが強いか・・・?



自分は、群れの中で、何位の存在か・・・?


何番目に食べる権利があるのか・・・?



それを、決める必要があった。



それが、母の腕に飛び掛る方法だった・・・?



では、なぜ、母が居ない時には、


殺し合わないのか・・・?



母が見ている前で、


殺し合う必要があるのか・・・?



だから、エサの時にだけ、ケンカをする・・・


しかし、それを止められる・・・



だから、母の腕に飛び掛り、


自分の強さをアピールして、


自分の価値を、母に見せ付けた・・・



そして、それが4日間続いた事で、


2匹の赤ちゃんの間では、



どちらが強いのか・・・?



その答えが出たのだ。



だから、もう、母の腕に飛び掛る必要が、


無くなった・・・?



しかし、


生後4日で、そこまで賢くは成れない・・・


全ては、本能による行動である・・・



『本能で行動する・・・』


『ナイフを持った赤ちゃん・・・』



僕は、人間の都合で、


恐竜を、飼う事の愚かさに気付いた・・・



気付いた、という事は、


僕は、賢く成ったのだ。



しかし、賢く成った時には、手遅れ・・・


飼い始めた後・・・



もう、後戻り出来ない状況・・・


それが現実だった。



つまり、人間は、自分1人では、


その賢さを、生かせないのだ。



自分の失敗を、次の世代に伝え・・・


失敗を繰り返さない世界を作って行く・・・



先人の知恵・・・



それを受継ぎ、子孫を賢くする・・・


知能を持った我々には、それが出来る・・・



父、母、祖母・・・


この3人は、原始人である。



しかし、僕には、


人間と同等に思える・・・



立派な人間なのだ。



僕は、不安に成った。


罪悪感が増していく・・・



そんな人達を、このまま、


死なせても良いのか・・・?



その知識や、経験を、


次の世代に、伝えるベキでは無いのか・・・?


それが、生きる意味なのでは無いのか・・・?



しかし、それを行えば、


僕の存在が知られる・・・



『何でも出来る、魔法使い・・・』


『それが存在する・・・』



『その事が知られてしまう・・・』



結果、


この世界の人間は、生きる価値を失う・・・



『僕が、3人に、生きる意味を与える事で・・・』


『3人の存在を、歴史に残す事で・・・』



『その後の人類が、犠牲に成る・・・』



『人類が、どれだけ努力をしても・・・』


『魔法には、勝てない・・・』



『結果、人類の努力は、無意味に成る・・・』



そんな世界に成って行く・・・



もちろん、それでも、努力する人は、


現れる・・・



しかし、1人では、努力する環境を、


維持する事が出来ない。



海水を真水にする方法・・・



このレベルなら、


小学生にでも考える事が出来る。



一生懸命に、考える努力は出来る・・・



しかし、その方法で、


砂漠を緑化出来るだろうか・・・?



その費用は、誰が出す・・・?



小学生の考えた発明など、


確実に問題点がある。



つまり、その小学生が本気であるなら、


その研究を続け、大学に行き、


研究を続け、博士に成り、



社会の信用を得て、


その上で、世界を説得して、



予算を出してもらい、


試作機を作り・・・



それを次の世代に受継ぐ・・・



その必要があり、


その為の環境が必要である。



しかし、そんな事をしなくても、


魔法があれば、砂漠の緑化は、


数日で完成する・・・



そんな世界で、どの大学が、


人間の博士の為に・・・


研究室を用意する・・・?



誰が、予算を出してくれる・・・?


誰が受継いでくれる・・・?



魔法の存在が知られれば、


様々な分野で、その様な問題が起こる・・・



優秀な人材が、


馬鹿にされ・・・



人類の進歩は止まってしまう。



もちろん、


その結果、人類には、


新たな価値観が生まれ・・・



素晴らしい世界が、


誕生する可能性もある。



しかし、そんな都合良くは行かない。



失敗に気付いた時には、手遅れ・・・



僕は、恐竜の赤ちゃんで、


それを痛感している。



僕は、恐竜の卵を引き取った時、


良い事をしたと思っていた。



ところが、現実には、


ナイフの様な、爪を持った赤ちゃんが、


母を傷付け・・・



将来的には、


家族を殺す危険性があるのだ・・・



しかし、僕は、僕の精神を守る為、


その危険な赤ちゃんを、殺す事が出来ず・・・



仕方が無いから、飼育している。



将来、野生に戻す予定だったが、


僕が飼育に関わる事で、


赤ちゃんの知能は向上して行く・・・



その為、そんな恐竜を、野生に戻せば、


野生環境に、被害を与える危険性があった。



つまり、保護はしたが、


野生には戻せない・・・



家族として、愛する事も出来ない・・・



ただ、死ぬまで飼育するだけ・・・


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