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これは魔法の書です。  作者: わおん
311/2342

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僕は、見えない手を使い、


地中で、蒸し焼きに成っている芋を、


何度も確認した。



『本当に蒸し焼きに成るのか・・・?』


『切ってから、蒸した方が、良かったのか・・・?』



などと考えても、手遅れである。



そして、今さらだが、気付いた。



石器を使って、芋をスライスする事は、


困難である。



そこで、本来、反則ではあるが、


僕は、材木から板を作り、


それで、木製のナイフを作った。



蒸し終えた芋であれば、


木製ナイフでスライス出来る。



先ほど、母が、


芋を焼いて食べた時の食感から、


その事は理解していた。



それなら、


焼いてスライスすれば良いのでは・・・?


などと考えるが、



では、なぜ、


市販の干し芋は、焼けていない・・・?



確認した訳では無いが、


市販の干し芋は、加熱後に、干されている。



しかし、焼いた跡は無い・・・



つまり、「ゆでる」か「蒸す」か・・・


そのどちらかで、加熱されている・・・



そして、作業効率を考えた場合、


蒸した方が、合理的である。



鍋で煮た場合、煮崩れる・・・


それでは、商品価値が下がる・・・


おまけに、茹で汁の処分に費用がかかる・・・



その様な訳で、合理性を考えた場合、


干し芋工場では、芋を蒸していると考えられる。



しかし、それは、工場での話である。



『焼き芋を、スライスして、干したら・・・』


『どうなる・・・?』



『我々には、その方が作り易いのでは・・・?』


冷静に考える。



蒸す事を選んだ場合、


蒸し器を作る事に成る。



『蒸し器は、どの様にして作る・・・?』



などと考えながらも、


不安なので、


見えない手で、地中の芋を確認・・・



『まだまだ固い・・・』


『3時間位かかるのか・・・?』



このまま、待つのは、


無駄である・・・



その為、父は家作りに戻り、


祖母には、焚き火の管理をお願いして、


僕と母は、赤ちゃんの様子を観察に行った。



上空から、北巣穴を観察・・・


前回、肉を与えてから、


すでに2時間が経過している。



『もう、移動を開始しているのか・・・?』



見えない手で、巣穴を中を調べる・・・



すると、


『あれ・・・?』


『居る・・・』



2匹の赤ちゃんが、巣穴の中にいた。



目を開いている・・・


つまり、もう起きているのだ。



ところが、移動を開始しない・・・



『なぜ・・・?』



先ほど、巣穴に連れ戻された事で、


移動が無駄である事を、


理解したのか・・・?



それは、恐竜本来の知力で、


判断したのか・・・?



それとも、魔法の影響で、


賢く成っているのか・・・?



赤ちゃんは、見えない手の存在には、


気付いていない。



もし、タロであれば、


見えない手に気付くし、



その後、巣穴を出て、


上空の僕を、見つける事も出来るだろう・・・



しかし、赤ちゃんに、その気配は無い。



『まだ、そこまで賢く無い・・・?』



当然の事である、生後4日、


身長10センチの生物が、


そこまで賢い訳が無い。



おそらく、これは、チャンスなのだ。



この2匹の赤ちゃんを、


合理的に、野生に返す事の出来るチャンス・・・



それが今なのだ。



しかし、残念ながら、


僕には、それを実現する賢さは無かった。



チャンスはある。



それは理解出来る。



しかし、失敗する可能性を感じる・・・



ところが、その失敗とは何か・・・?



それを、どの様に対策すれば、


失敗を防げるのか・・・?



それを考える知力が、僕には無いのだ。



思い付きなら、簡単に出て来る。



しかし、それが成功する保障がない。



万全の対策・・・


確実に成功する方法・・・


それが出て来ない。



例えば、遠足に行って、事故で死ぬ可能性はある。



しかし、通常、死ぬ事は無い・・・



最低限でも、そのレベルの安全を保障出来なければ、


それは、赤ちゃんを殺す事である。



『だから、野生には戻せない・・・』



結果、僕は、赤ちゃんが野生で生きる未来を、


壊しているのだ・・・



『では、どうすれば・・・』



結局、この北巣穴で、飼育する以外に、


方法が無かった。


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