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これは魔法の書です。  作者: わおん
308/2327

308

ネズミの拠点で、芋を収穫した後、


僕は、その200個の芋と家族を、


瞬間移動で、


通称「台所」に送り届けた。



僕の常識では、台所は、家の中にあるモノだが、


原始人にとって、家とは寝る場所である。



その為、台所は、家の近くには無い。



現在、建築中の家から、森を抜け平地に出るまで、


1分・・・


そこから、さらに30メートル進むと、


川の近くに台所があった。



父や祖母は、


これだけの芋を、どうするのか・・・?


僕に質問する。



その瞬間、僕は、軽い気持ちで、


『干し芋を作ります・・・』


と言ってしまった・・・



手遅れであった。



母が、うれしそうに、


通訳をしている。



それを聞いて、目を輝かせる祖母・・・


新しい技術を、知る事が出来る喜び・・・


それが表情に表れていた。



『困った・・・』



僕は、干し芋の作り方など知らない・・・



見た事は、あるが、


食べた記憶が無い・・・



『では、どうする・・・?』



まず、考える。



干し芋は、その形状から、


サツマイモで作ると、考えられる。



『芋を、スライスして干せば・・・』


『干し芋に成るのか・・・?』



現実的に考え、


それでは、干からびた野菜である。



『おそらく、干す前に、加熱する・・・』


「蒸す・・・?」



『それを干す・・・』



あくまでも、僕の予想ではあるが、


サツマイモを蒸し、


それをスライスして、干す・・・



これによって、干し芋は完成する。



ところが、


『では、どの様にして蒸す・・・?』



現代なら、蒸し器がある。



しかし、原始的な環境で、


どの様にして芋を蒸す・・・?



そもそも、この芋は、


僕が勝手に「芋」と呼んでいるだけで、


本当の芋では無い。



おまけに、この通称「芋」を、


僕自身、食べた事が無い。



母から伝わる感覚では、味が解らない。



その為、我々が収穫した通称・芋が、



ジャガイモの様なのか・・・?


ニンジンの様なのか・・・?


ゴボウの様なのか・・・?



どの様な味なのか、解らない・・・



なぜ、干し芋は、サツマイモで作る・・・?


なぜ、ジャガイモの干し芋が無いのか・・・?



それとも、あるのか・・・?



ニンジンでも、作れるのか・・・?



僕には、その様な知識は全く無い。



『本当に、作れるのか・・・?』



祖母は、ニコニコしながら、


僕の指示を待っている。



『仕方が無い・・・』



そこで、僕は、芋5個分だけ、


作る事にした。



すると、祖母が、



なぜ、そんなに少しなのか・・・?


もっと、たくさん作れば良いのに・・・?



と、当然の疑問を返して来た。



『どうする・・・?』


『正直に答えるベキか・・・?』



しかし、


『干し芋の作り方が解らない・・・』


『それを正直に話した場合・・・?』


『どう成る・・・?』



おそらく、


『では、なぜ、干し芋を知っているのか・・・?』


当然、祖母は、その事に疑問を感じる。



そして、その場合、


僕が、こことは別の世界から、やって来た事を、


説明する事に成ってしまう・・・



『本当に、大丈夫か・・・?』



その様な話をすれば、


祖母は、大喜びして、


僕に、現代の話を聞くだろう・・・



そして、現代の地球に憧れる・・・


すると、祖母は、当然、



その世界へ、


連れて行って欲しいと、お願いする。



しかし、僕の魔法でも、


それは、不可能である。



すると、祖母は、


残念に感じる・・・



夢の様に素晴らしい世界がある・・・


そこから、やって来た人も居る・・・



しかし、自分は行けない・・・



結果、祖母の空想の中で、


現代の世界が、


最高の世界に感じられ・・・



その結果、自分が生活する原始的な世界が、



恵まれない、嫌な場所、


その様に、感じられる。



生前、雪国で育った僕は、


都会に憧れる人を、多く見ていた。



つまり、僕が、現代世界の話をすれば、


祖母の価値観に、悪影響を与えてしまうのだ。



だから、現代の話は、するベキでは無い、


では、祖母に、何と説明すれば良いのか・・・?


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