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これは魔法の書です。  作者: わおん
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307

南の方角にある家を目指して、


一直線に進む恐竜の赤ちゃん・・・・



その2匹を、北大川の近くの巣穴に戻し、


母がエサを与え、


満腹に成った赤ちゃんが、自分の意思で、


巣穴に戻った事を確認・・・



その後、赤ちゃんを残して、


我々は、ネズミの拠点に戻った。



すると、父と祖母が、


芋掘りの続きを行っていた。



芋の数は、約200個、



『では、これを、どうする・・・?』


『この芋は、保存か可能なのか・・・?』



生前、台所の床下収納には、


ジャガイモが入っていた。



その状態で、数週間は大丈夫だった・・・



しかし、その先は、芽が出てしまうので、


大慌てで食べていた・・・



では、この通称・芋は、どうなのか・・・?



父や母は、原始人である。



その為、津波前の生活では、


食料を保存する習性など無かった。



今日、食べる分は、今日、収穫する。


だから、土器を作る文化も無かった。



その為、この芋が、



何日保存出来るのか・・・?


どの様に保存すれば良いのか・・・?



その様な事が、全く解らないのだ。



単純な理屈で考えれば、



冷やせば、


腐りにくい・・・



風が吹けば、湿気が排除されるので、


カビにくい・・・



光が無ければ、光合成しないので、


成長が遅く成る・・・



つまり、保存は出来るのだ。



ところが、


そんな場所が、どこにある・・・?



北に何百キロも行けば、


夏でも涼しい地域がある。



その場所に、レンガのトンネルを作れば、


保存可能な環境は作れる。



しかし、それが使えるのは、


僕が居る事が、前提である。



それでは、僕の家族は、


生涯、僕の助けを必要とする。



僕が居ないと、成立しない世界・・・



つまり、


僕だけが居れば、成立する世界・・・


父や祖母が、不要な世界・・・


役に立てない世界・・・



その様な環境で生きる事に成る。



それでは、生きる意味が無い。



人は、人に認められる為に、生きているのだ。



だから、魔法が無くても、


生きて行ける環境が、必要なのだ。



『昔の人は、どの様にしていた・・・?』


『芋を、どの様に保存していた・・・?』



『鍾乳洞・・・?』


『山の横穴・・・?』



その様な光景を、テレビで見た事がある・・・



しかし、その山も、家から森を抜け・・・


200キロ先にあるのだ。



芋の保管庫には使えない・・・



結局は、家の近くに、


保管場所を作り、



そこで、様子を見る以外に、


選択支は無かった。



しかし、今、父と祖母は、家を建てている。



その2人に、家よりも先に、


芋の保管庫を作って欲しいと・・・



『言えるだろうか・・・』


『言いたくない・・・』



もし、遠回しに言ったとしても、


その本当の意味は、



2人の一生懸命など、


本当は必要ありません・・・



今は、夏です、ここは、雨も降らない環境です。



つまり、今はまだ、家など必要無いのです・・・



だから、家を建てる前に、


芋の保管庫を作って下さい・・・



という事である。



『遠回しでも、そんな事、言えない・・・』


『では、保管庫を、僕が作るのか・・・?』



僕が、作る事は、簡単である。



1番川と、2番川の間には、


元々湿地帯だった場所があり、



現在、その場所は、


土置き場に成っている。



そして、その土は、粘土質であり、



僕の魔法で、粘土の成分だけを、


取り出し、レンガを作る事が出来る。



本来、レンガは、乾燥に数週間かかるが、


瞬間移動で水分を抜き・・・


移動魔法を応用して、


レンガの形を作れば、


一瞬で、乾燥後のレンガが完成する。



そして、1時間程度で、


芋の保管庫を完成させる事も、


可能である。



ところが、


現在、父と祖母が、数日かけて、


一生懸命に家を、建てている最中なのだ。



良いモノを作る為に、


試行錯誤して、



毎日、その進行具合を、


誇らしげに、紹介してくれる父・・・



そんな家の近くに、


それよりも優れたレンガの小屋が完成する・・・



それも、わずか1時間で・・・


父や祖母は、どの様な気持ちに成るだろうか・・・



我々は、何の為に生きているのか・・・?



芋を保管する事は、大切である。



しかし、家族を侮辱してまで、


父や祖母の心を傷付けてまで、



芋を保存する必要があるのか・・・?



『では、芋は、どうする・・・?』


『家族の誇りを取るか、芋の保存を取るか・・・?』



答えは、出ている。



『家族の誇りを守る・・・』



芋よりも、家族の誇りの方が大切なのだ。



家族を守る為に、僕は生きているのだ。


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