表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは魔法の書です。  作者: わおん
303/2338

303

現在、ネズミの拠点・・・



芋の収穫など、僕が行えば一瞬である。



しかし、タロとメス牛を、牧草地に残し、


父、母、祖母で、芋掘りに来た。



ある意味、気分転換の為の、


リクレーションである。



父も祖母も、


久しぶりに、ネズミの拠点や、


芋畑を見て、喜んでいた。



芋畑は、葉が生い茂り、


それが、枯れ始めている。



それが、収穫の合図である。



ちなみに、芋畑から見て、川の向こう岸、


1番川の南側に埋めたドングリは、


芽を出し、50センチに成長していた。



植物としては、異常な成長である。



僕は、特別、何かした訳ではないが、


毎日、気にかけていた。



その為、無意識魔法が、


何らかの影響を与えたと考えられる。



父と祖母が、うれしそうに、


芋掘りを開始した。



1個の種芋から、平均5個の芋が収穫出来る。



単純計算で、40個埋めた芋が、


200個に増えたのだ。



家族全員、大喜びである。



元々植えた種芋は、


長さ10センチ程度の、


「ごぼう」の様なモノだったが、



それを元に増えた芋は、


長さ20センチの「サツマイモ」の様な形状だった。



しかし、これは、サツマイモでは無い。



サツマイモは、苗から育てるモノである。



芋を埋め、芋が収穫出来るのは、


「ジャガイモ」である。



『では、どんな味がするのか・・・?』



3人は、それぞれ、芋を1つ選んで、


それを焼き始めた。



以前、山で生活していた時には、


成長不良のモノを、食べていたが、



今回は、充分に成長していた。



『美味しく育ったのか・・・?』


と思うが、



残念ながら、僕には、その味が解らない。



母から、感覚的に伝わるが、


それは、味では無く、感覚である。



結果、それは、本来の味では無く、


食感、歯ざわり、舌ざわり・・・


母の感情・・・



その様な感覚が伝わって来る。



しかし、3人が芋を焼いて、


食べている様子を見ると、


美味しい様である。



『よかった・・・』



僕は、北の方角が気に成った。



ここから、北へ40キロ進むと、


北湖があり、


森に入ると、北大川がある。



そして、その向こう岸に、


赤ちゃんの巣穴がある。



父も祖母も、


赤ちゃんが、どこに居るのかは、知らない、



しかし、


祖母は、自分達が、芋を食べている事で、


赤ちゃんの事が、気に成る様である。



「赤ちゃん、エサ、大丈夫?」


祖母が、母に聞いている。



母が、大丈夫と答えると、


祖母は、残念そうに、芋を食べた。



すると、今度は、父が、


「はじめて、だから、見た方、良い」


と言った。



つまり、今日が初日なのだから、


確認して来い。



その様に言っているのだ。



実は、僕も母も、


その言葉を、待っていた様に思えた。



次の瞬間、母と胎児の僕は、


北大川の上空にいた。



放置してから、約2時間・・・


上空から見えない手で、巣穴を確認・・・



『居ない・・・?』


『赤ちゃんが居ない・・・!』



赤ちゃんは、食後1時間は寝る・・・


つまり、まだ、それ程、遠くには行っていない・・・



僕は、川と、湖を探した。



しかし、見付からない・・・



『まさか・・・』



僕は、直感した。



『母を捜して、移動している・・・?』



僕は、南へと移動しながら、


赤ちゃんを探す。



『居た・・・!』


すでに1キロ移動していた。



全長20センチ、


頭から、足までの長さ10センチ、


その赤ちゃんが、2足歩行で、


一生懸命に前進している。



立ち枯れの森の中を、


力の加減もせずに、


必死に1キロ移動したのだ。



今すぐに、保護したい気持ちに成る。



しかし、それは出来ない。



僕の行動は、世界を狂わせる・・・


世界から、正常を奪う・・・



だから、そんな僕が、行動する場合、


必ず考える必要がある。



赤ちゃんは、南へと向かっていた。


それは、我々の家のある方角である。



なぜ、そちらの方向に、


家があると解るのか・・・?



『偶然か・・・?』



『野生の能力なのか・・・?』



『魔法の影響なのか・・・?』



冷静に考えてみる。



『子供が、親を探す時に・・・・』



『一直線に1キロ、移動するだろうか・・・?』



『巣穴の周辺を、歩き回るのでは・・・?』



赤ちゃんにも、本能がある。



危険から身を守る為、


巣穴が必要だと理解している・・・



つまり、現実的に、考え、


1キロの直線移動など、



『ありえない・・・』



しかし、



『赤ちゃんは、巣穴を捨て移動している・・・』



『命を守る巣穴を捨てて、移動している・・・』



『巣穴に戻る意志は無い・・・』



つまり、



『赤ちゃんの移動は、偶然では無い・・・』



『赤ちゃんは、南へと向かっているのだ・・・』



『家がある事を理解して、行動しているのだ・・・』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ