298
恐竜の赤ちゃんに、エサを与えた後、
母の腕は、傷だらけに成る。
しかし、その傷は、
無意識発動の回復魔法によって、
翌朝には、完全に回復している。
『傷跡も消えている・・・』
『では、指を食い千切られても・・・』
『翌日には、元に戻るだろうか・・・?』
『その場合、千切れた側も必要なのか・・・?』
『それとも、新しく生えて来るのか・・・?』
などと、興味はあるが、
それを確認したいと思えなかった。
『もし、駄目だったら・・・』
『回復しなかったら・・・』
『母の指をどうする・・』
その様に考えると、
今後、恐竜の飼育は、
問題が山積みであった。
恐竜の爪は、ナイフの様に鋭い、
つまり、全ての指がナイフの子供・・・
それを、育てる事に成るのだ。
そして気付く、
『恐竜が3頭で行動していた理由・・・』
実際には、4頭の場合もあったが、
『爪が原因なのでは・・・?』
群れが大きく成ると、
自分の立場、
自分が群れの中で、何番目に偉いのか・・・?
それが、解り難く成る。
結果、エサを食べる順番で、
毎日、ケンカに成って、
ケガをする。
それを防ぐ為には、
少数で、自分の立場を理解して、
ケンカをしない方が、
合理的だと考えられた。
あるいは、ケンカで生き残るのが1頭・・・
その1頭が、親と生活する。
しかし、恐竜に、
その方法が、有効だったのは、
恐竜時代の話である。
恐竜しか居なかった時代であれば、
少数生活で、上手く行ったと考えられる。
しかし、哺乳類が誕生して、
周囲にネズミが現れた事で、
少数では、卵を守れなく成った。
草食恐竜の場合、複数の子供を、
育てたと考えられるが、
それでも、卵を守る事が出来なかった。
結果、恐竜は、その数を減らし、
現在、生き延びているのは、
何らかの方法で、
卵を守れる種類だけと成った。
それが、この赤ちゃん恐竜の、種族・・・
『どうやって、ネズミを狩るのか・・・?』
『どの様にして、卵を守るのか・・・?』
考える事は出来るが、
事実を知っている訳では無い。
自称、賢い僕など、
その程度の人間である。
その後、昼食が終わり、
赤ちゃんを巣穴に残し、
僕と母と肉は、
我々山脈の上空に向かった。
本来、この時期、台風が来る・・・
その来るハズの台風が来ない・・・
しかし、僕が、その様な心配をすると、
僕の、無意識魔法が、
台風を生み出すのでは・・・?
と不安に感じる。
しかし、考える必要はある。
その為、僕は台風対策を考え続けた。
生前のニュースを思い出して考える。
『台風の時、何が起こる・・・?』
『山崩れ・・・?』
地面に雨が染み込み、
地盤が弱く成り、崩れる・・・
地域の場合、洪水よりも、
山崩れが深刻な問題に成る。
今後、湧き水が途絶え、
我々の生活用水が、減ってしまうのだ。
もちろん、現代社会であれば、
建物が飛ばされる事も、
深刻な問題だろうが、
しかし、ここは、原始の世界である。
ここで考えるベキ事は、
ここでの問題点なのだ。
不要な事を考え、無駄に悩んではいけない。
今、考えるベキは、山崩れを防止する方法・・・
理想をいえば、
自然の力で、台風に耐えて欲しいのだが、
我々山脈を壊滅させたのは、
僕の魔法であり、
その状況を自然の力で、回復させるには、
何百年のかかってしまう。
そんな事をしていれば、
僕の家族は、一生、
魔法を必要とした生活をする事に成る。




