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現在、牛の大地の南・・・
『なぜ、恐竜は少ないのか・・・?』
『・・・』
僕は、生前の記憶を思い出していた。
『変温動物・・・』
『冷血動物・・・』
残念ながら、正確な名称は思い出せない。
しかし、爬虫類は、日光浴が必要である。
自力で、体温を上げる事が、出来ないので、
日光浴で、体温を上げる。
そうしないと、活発には動けないのだ。
つまり、恐竜は平地にいる。
森の中では、日光浴が出来ないので、
夜、平地で眠る・・・?
そして、日の出を利用して、日光浴をする・・・
その結果、身体が動く様に成り、
森の中にも狩りに行ける・・・
僕は太陽の位置を確認した。
現在、昼前・・・
つまり、今は、森へ狩りに行っている・・・?
と考えたが、
しかし、
『赤ちゃんを連れて行くか・・・?』
『卵を持って行くのか・・・?』
『そんな訳は無い・・・』
『つまり、恐竜は、平地で子供を育てる・・・』
『卵も平地で産む・・・』
日光浴が必要なのだから、当然の事だ。
しかし、その場合、疑問がある。
『外敵から、どの様にして身を守る・・・?』
夜中、動けない訳ではないが、
動きが鈍く成る。
つまり、他の肉食動物に襲われる・・・
『卵も食われる・・・』
そして、仮説を考える。
3頭で、身体を寄せ合って、
体温をたもつ・・・?
『しかし、それなら、なぜ3頭・・・?』
『10頭なら、もっと効率が良い・・・』
『3頭である、理由・・・?』
『それは、何だ・・・?』
『絶対的な理由があるハズだ・・・』
そんな事を考えながら、
上空から、牛の大地を見渡し、
恐竜を探す。
そして、発見した。
恐竜が、牛を狩っていた。
『あっ! 4頭いる・・・』
『絶対に、3頭という訳では無い・・・』
僕の仮説とは、その様なモノである。
牛の大地に着て、すでに2時間・・・
赤ちゃんを育てるヒントが、
何1つ、見付からない・・・
『無駄なのでは・・・』
2時間あれば、多くの苗木を育てる事が出来た。
しかし、ここで、問題である。
『この2時間を、無駄にしない為にも・・・』
『調査を続行するか・・・?』
それとも、これ以上の無駄を回避する為に、
『我々山脈に戻るか・・・?』
そして、決断をする・・・
『もっと、南に行けば・・・』
『暖かい地域・・・』
『夜でも暑い・・・』
『熱帯地域・・・』
『つまり、恐竜が夜でも、活動出来る地域・・・』
『恐竜は暖かい地域に居る・・・!』
その様に考え、
結局、僕は、南へと向かった。
上空から、地上を観察、
しかし、南へ100キロ進んでも、
恐竜の数は増えない・・・
生息はしている。
しかし、赤ちゃんも卵も無い・・・
『なぜ・・・』
その後も、100キロ刻みで、
南へ進んで行くと、
南のジャングル地帯が、見えて来た・・・
『これ以上は、進めない・・・』
『原始人を見付けてしまう・・・』
我々には、バリアがあり、
その効果で、向こうからは、
我々を見る事は出来ない。
しかし、僕が、その原始人を発見した場合、
僕は、それを無視出来るのか・・・?
『我慢する・・・』
それが現実的に可能だろうか・・・?
恐竜に襲われている、原始人の子供・・・
それを見ても、
『無視出来るだろうか・・・』
原始人は馬鹿では無い、
実の所、原始人であるか、人間であるかは、
見ていないので解らないが、
南のジャングル地帯の、
通称・ 南原人は、弓矢を使った。
そして、当時、父も祖母も、
弓矢を知らなかった。
つまり、南原人は、
我々の種族よりも、賢い可能性が高い。
そんな南原人の子供が、
恐竜に食い殺される瞬間、
不自然な出来事で、助かった場合、
その子供は・・・?
その目撃者は・・・?
それを、どの様に、
周囲に伝えるだろうか・・・?
それが、南原人の文化に、
どの様な影響を、与えるだろうか・・・
『僕は、まだ未熟だ・・・』
『世界の為に、子供を見殺す事は出来ない・・・』




