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これは魔法の書です。  作者: わおん
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牛の大地で、コオロギを捕まえ、頭を潰し、


それを、恐竜に赤ちゃんに与えた。



すると、赤ちゃんは、大興奮で、


それを、食べた。



その事から、僕は、様々な事を考えた。



親恐竜が、牛肉を、


コオロギ程度のサイズに、食い千切り、


それを、赤ちゃんに、


与える事が出来るのか・・・?



僕の予想では、不可能である。



では、赤ちゃんは、肉を食い千切って、


食べる事が出来るのか・・・?



首が弱いので、おそらく、不可能である。



では、赤ちゃんは、何を食べるのか・・・?


親は、何を与えているのか・・・?



おそらく、親恐竜が、


コオロギを踏み殺して、


それを、赤ちゃんが食べる。



それが、合理的に思えた。



つまり、恐竜の赤ちゃんに、牛肉は不要である。



それが、僕の判断だった。



しかし、僕は、先ほど、牛を1頭、殺した。



そして、今、父が、それを解体している・・・



僕が、牛の解体場に戻ると、


父が、牛の内臓を取り出していた。



今まで、内臓は、処分していたが、


祖母が、それを使う事を提案した。



我々は、サバイバル生活をしているのだ。


使える物は、何でも使う。



しかし、これまで、


『牛の内臓が恐い・・・』


それが、家族の本音だった。



父も母も祖母も、純粋に恐いと感じていた。



おそらく、これは、本能である。



見た目が恐いのでは無く、


未知の動物の内臓に、危険性を感じたのだ。



しかし、これまで、6頭以上の牛を解体したが、


父が、それで病気に成る事も無く、


健康である。



つまり、この内臓は、熊や猪と同様、


安全である。



その様に判断したのだ。



その後、祖母が、


牛の腸を、川へ持って行き、洗い始めた。



腸は、槍先を固定する場合にも使う。



以前は、狼の腸を使っていた様である。



その為、祖母も、その方法は心得ていた。



父が牛を解体して行く、


誰に習った訳でも無いが、


その動きに迷いは無かった。



すると、


リュックの中で寝ていた、恐竜の赤ちゃんが、


動き出した。



鼻が利くらしい。



牛の血の匂いに反応して、


鼻先をヒクヒクさせながら、


リュックから顔を出し、


解体中の牛と、母の顔を交互に見ている。



それを察した父が、肉片を母に渡した。



母は、父に、お礼を言って、


それを受け取り、


石で、その肉片を叩き、



細かくしたモノを、赤ちゃんに与えようと、


準備を始める。



すると、次の瞬間、赤ちゃんは、


先ほど食べたコオロギを、吐き出し始めた。



それを見た僕は、


病気なのか・・・?


死ぬのか・・・?


コオロギに毒があったのか・・・?


などと、恐怖を感じた。



しかし、赤ちゃんは、その後、何事も無く、


母に、肉を要求して、


口を開いている。



『食べ物の価値を判断した・・・?』



コオロギを食べるよりも、


牛を食べた方が良い・・・



『それを、本能的に判断した・・・?』



母から、肉をもらい、


それを食べる赤ちゃんを見て、


僕は、思った。



『やはり、食い千切る事は出来ない・・・』



赤ちゃんは、首が細く、身体も小さい、


その為、食い千切る事が出来ないのだ。



コオロギとは違い、


生肉は、噛み砕く事も出来ない、


その為、丸飲みにしている・・・



しかし、それは、母が、肉を細かくした事で、


可能な事であった。



では、恐竜の親は、


どの様にして、肉片を与えているのか・・・?



どの様にして、肉を細かい肉片にしている・・・?



牛の大地に行って、


子育て中の恐竜を観察したかった。



『事実が知りたい・・・』



僕には、中途半端な知識が多い、


専門的な事は、何も解らないのに、


その一部だけを知っている。



その為、今も困っていた。



『母乳・・・』



哺乳類は、母乳を飲んで成長する。



そして、その母乳を飲む事で、免疫が身に付く。



つまり、母乳を飲む事で、丈夫に成るのだ。



『その要素が、恐竜にもあるのでは・・・?』



親恐竜が、肉を肉片にする事は、


困難だと考えられる。



つまり、親恐竜が、


1度飲み込み、消化を開始したモノを、


吐き出して与える。



『その様な事を行っているのでは・・・?』



それが、赤ちゃんに、免疫を与えるのでは・・・?



考え過ぎかも知れない。



しかし、知識は、人を混乱させる。



知識はあるが、経験は無い。



知識と言っても、専門的では無い。



誰かが言っていた。



その程度の知識を、持っているだけ、


そんな自分を、優秀と錯覚しているだけ、


だから、この様な状況で、何の役にも立たない。



問題点は、次々と明らかに成るが、


その解決方法が解らない。



それが、今の僕である。



結局の所、


もし、牛の大地で、


肉片を吐き出す親恐竜を見ても、


それで、免疫が受継がれるのか・・・?


そんな事は解らない。



こうして、僕は、何もしないまま、


赤ちゃんが、肉を食べ終わり、


眠るのを待った。



父が、解体した牛をどうするか・・・?


僕に質問する。



現在、気候は夏、


数日で腐る環境である。



『どうする・・・?』


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