表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは魔法の書です。  作者: わおん
278/2337

278

僕は、生前の出来事を思い出していた。



生前の母は、近所の豆腐工場で働いていた。



そして、その工場の社長には、


息子がいた。



僕よりも5歳年上だった。



その息子は、チャレンジャーであった。



学校に吹奏楽部が無いのに、


サックスを買って、河川敷で吹いて、


見物人が集まり、恥かしくなって挫折した。



そんな人物である。



しかし、彼は、チャレンジを止めなかった。



綱渡りの練習をしたり、


マウンテンバイクで階段を登ったり、


馬鹿にされる為に生きている。



その様に言われていた。



しかし、そんな彼にも、


唯一、自慢出来る事があった。



彼は、特許を持っていた。



それは、ダンボールに関する特許だった。



なぜ、それが特許なのか・・・?


我々には理解出来なかった。



ヘラで筋を入れる事で、


ダンボールを曲線に、折り曲げる事が出来る。



一体、何の役に立つのか・・・?


本当に、そんな事が必要なのか・・・?


それが必要なら、なぜ今まで無かった・・・?



彼に言うには、それが特許らしい。



アイデアがあれば100年前の人にも出来た。



しかし、誰も考えなかった。



それが、一般人が出願する特許の大半らしい。



そして、彼は、それを実現したのだ。



アイデアがあれば、


100年前の人にも出来た・・・



それを証明したのだ。



ところが僕は・・・



『考えれば2日前にも出来た・・・』



それが出来ない。



『なぜ、僕には、それが出来ないのか・・・?』



考えてみる・・・



失敗が恐いのなら、半分にすれば良い・・・



山脈の全てに苗木を植えずに、


半分だけ植えれば良い・・・



そして、2日後、


さらに良い方法が見付かれば・・・



『それを実行すれば良い・・・』



しかし、それは、不可能である。



僕は現実を知っている。



先日、台風の中、


染み込み方式で、山の斜面を補強した。



それを、半分だけ行い、


2日間、放置出来ただろうか・・・?



台風が直撃しているのだ。



『半分だけ、補強して・・・』


『それで様子を見る・・・』



現実に、そんな事が出来ただろうか・・・?



我々の山脈には、木々が無い、


僕の魔法によって、


津波に飲み込まれた。



結果、山脈は木々を失った。


山脈の全域で、木々が無くなったのだ。



そこに台風がやって来た。



そのままでは、山が崩れる。



そして、崩れた山は、


僕には再現出来ない・・・



本来の、山崩れなら、


それは、自然の現象である。



放置しても問題無い・・・



しかし、我々の山脈は、


魔法による被害地域である。



つまり、この山脈が、


台風によって、崩壊するのは、



『自然ではない・・・』



現実では、起こる訳の無い状況である。



だから、山脈を守る必要がある。



自然を再生させる為には、


山崩れを阻止する必要があった。



僕は、遊んでいる訳ではない・・・



『半分だけ補強する・・・』


『そして、様子を見る・・・』



そんな事をして待っているのは、


山脈の崩壊である。



だから、僕は、山脈全てを補強した。



しかし、その後、僕は失敗に気付いた。



山脈の表面を補強した事で、


山の斜面は、コンクリートの様に固く成った。



数日後、乾燥によって、


その斜面はバキバキに割れる。



『では、どうするか・・・?』



『山の斜面に水をやる・・・』



『適度の水分を与えて、割れを防ぐ・・・』



『しかし、それが一体、何に成る・・・?』 



『それを何日間続ける・・・?』



『その先に何がある・・・?』



『解らない・・・』



だから、僕は、水やり以外の方法を考えた。



材木置き場の木を粉砕して、粉末にして、


それを、山の斜面に染み込ませた。



結果、山の斜面の保水力が向上して、


割れるまでの日数を、稼ぐ事が出来た。



『しかし、それで何に成る・・・?』


『木の粉末は腐る・・・』



『バクテリアが分解を始める・・・』



山脈全域で、バクテリアが異常繁殖して、


そして増え過ぎた事で、腐る。



つまり、山の斜面が腐るのだ。



将来的には、それは、土の養分に成る。



しかし、今日、それが役に立つ訳では無い・・・



そして、気付く・・・



山の斜面を下った水・・・


それは、家族の飲み水に成るのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ