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これは魔法の書です。  作者: わおん
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完成した苗木30本・・・



この苗木は、今までの10センチとは違い、


全長30センチ前後の苗木である。



つまり、


発芽から1年以上成長したモノに等しい。



だから、丈夫なのか・・・?


というと疑問であるが、


赤ちゃんよりも、子供の方が強い・・・



それが、僕の理屈だった。



そして、その苗木を、


3人山脈の谷間に持って行き、


植えてみる。



今までの苗木は、長さが10センチだったので、


5センチ程度しか、植える事が出来なかったが、



今回の苗木は、長さが30センチあるので、


その分、深く植える事が出来た。



そして、植えた状態で、見えない手で根を包み、


それをズーム機能を見る様に意識する。



実際、土の中を、


ズーム機能で見る事は出来ないが、


手で包み込んでいる事で、意識は集中される。



結果、根が伸びる感触が、


見えない手に伝わってきた。



『これだ・・・!』



台風に負けない、苗木の植え方が解った。



とはいえ、


この方法は、1本植えるのに、時間がかかる。



これまでの様に、


1万本を枝から、根を同時に出して、


1千本の苗木を、同時に植える。



その様な事は、不可能である。



しかし、人間が苗木を育て、


それを山に運び、



そして植える。



それに比べれば、


驚異的な効率の良さである。



『文句など言えない・・・』



太い枝を30本集め、


謎池で、根を出し、


山に植えて、根付かせる。



これだけの手順が、


15分で出来るのだ。



『喜ぶベキ状況だ・・・』



しかし、30本で15分・・・


山脈全てに、植えるのに、何年かかる・・・?


と考えていると、


ある事に気付く、



『今、植わっている苗木も・・・』



そう思い、強風で抜けなかった苗木の根を、


見えない手で包み込み、


それをズーム機能で見る。



すると・・・


根が伸びる感触があった。



3センチだった根が、


10センチに伸びた様に感じる。



試しに、瞬間移動で、


その苗木を回収、



本当に根の長さが、


10センチである事を確認。



次に、その隣の苗木を回収、


その根は、まだ3センチである。



それを包み込み、


ズーム機能で見る。



そして、数える。


『1、2、3、4、5、』


根が10センチに伸びた。



『これだ・・・』


僕は、その苗木を、再び、地面に植え直し、



上空から、


見えない手で、苗木の根を包み、


それをズーム機能で、5秒間見る。



これを、次々と繰り返して行く。



『これで、台風に負けない苗木が育つ・・・』



試しに、1本の苗木を選び、


ズーム機能で、1分間見て観察した。



しかし、10秒後、


根が15センチを越えた時点で、


それ以上は育たなく成った。



試しに、苗木、そのモノを、包み込み、


ズーム機能で見るが、


苗木が、上に伸びる事は無かった。



『根が15センチ伸びただけ・・・』


『おそらく、この植物の成長の限界・・・』



ここからは、自然のペースでしか育たない・・・



あくまでも、僕の仮説であるが、



成長する時、


それは、身体の一部を破壊する事に成る。



例えば、成長期の子供は、


関節が痛く成る。



背骨が伸びる時など、


胸に痛みを感じて、


『自分は、病気なのでは・・・?』


『死んでしまうのでは・・・?』


と恐怖を感じる事もある。



それを木に置き換えて考えてみる。



枝の表面は、硬い、


まだ苗木なので、カチカチという訳では無いが、


それでも、内部よりも硬い。



つまり、木が伸びるという事は、


その硬い皮を無理矢理に、引き伸ばす事に成る。



それは、ある意味、破壊である。



その為、木々は、


その破壊によるダメージを軽減する為、


ゆっくりと成長する。



急激に成長した場合、


木の皮が引き裂け、ダメージを受けてしまうのだ。



その為、柔らかい根の部分だけが、


スムーズに伸びたのだ。



つまり、ズームで5秒見て、


根を10センチに伸ばす・・・



これは、非常に合理的な方法だったのだ。



『よし・・・!』



その後、牛の大地に戻り、


そこから、山菜森を見て、



枝先30センチを回収、


それを謎池に送り、



そこで、根を15センチまで伸ばし、


それを、強風で、苗木を失った谷間の斜面に植えた。



単純な事であった。



2日前に気付いていれば、


全ての苗木を、


この方法で、植える事が出来たのだ。



僕は、最善を考え、


それが本当に、最善であるのか、


考えて実行している。



しかし、その上に、



もう1段階上の、最善がある事には、


気付けない。



毎回、そうである。


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