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これは魔法の書です。  作者: わおん
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おそらく、現在、最北端の苗木は、


強風の直撃を受けている・・・



とても、心配である・・・



苗木が、被害を受けているなら、


対策を考える必要もある。



つまり、前回の様に、


ただ、見物に行く訳では無く、


対応が必要なのだ。



しかし、僕が、その確認に行く事で、


苗木が、強化され、


異常な植物に進化する可能性・・・



その事が、心配で、見に行く事が出来ない。



僕の魔法は、進歩する。



つまり、


前回は、何も起きなかったが、


今回は、何かが、発動する可能性もあるのだ。



そして、それ以上に心配なのが、


僕の魔法によって、


家族が、不老不死に成る可能性・・・



僕は、その仮説に、恐怖を感じていた。



しかし、その反面、


不老不死など、不可能にも思えた。



魔法は受け継げないのだ。



それには、根拠があった。



魔法の影響で、タロは賢く成った。



しかし、魔法が使える訳ではない。



タロが、賢いといっても、


それは、狼の範囲である。



僕には、狼の賢さの範囲は解らないが、


盲導犬や、聴導犬を基準に考えると、


タロの、賢さも、その範囲である。



つまり、タロは賢くても、


コンピューターを、


開発出来る訳では無いのだ。



この事から、魔法の影響を受けても、


その向上範囲は、


その生物の、能力の範囲であると、


考えられる。



という事は、


家族が、不老不死に成る事も、


不可能なのだ。



そして、


僕の強化魔法を受けても、


植物が、異常な進化する事は無い。



あくまでも、その植物の範囲で、


丈夫に成れるだけである。



僕は、僕を、その様にして、


納得させた。



しかし、不安は消えない。



あくまでも、僕の仮説であり、保証は無いのだ。



そして、不安な時、


人は、あえて、不安材料を探してしまう。



『タロは、心で会話が出来る・・・』



『あれは、魔法なのでは・・・?』



『魔法が受継げる証拠なのでは・・・?』



そこで、冷静に成って考える。



事実、タロと、僕は、


僕が、タロを見る事が可能な範囲なら、


心で会話が出来る。



会話といっても、


高度な会話が出来る訳では無い。



『牛、見張る』


『右、曲がる』


『ここで待つ』


『塩味した?』



タロは、この程度の言葉を理解する。



そして


『解った』


『石がある』


『ヘビ、いる』


『塩味した』


その程度の事なら、心で返事が出来る。



しかし、心で会話が出来る相手は、


僕だけである。



つまり、タロには、魔法の力が無いのだ。



もし、タロに魔法の力があるのなら、


父や祖母にも、話をしている。



しかし、その様な事実は無い。



つまり、


心の会話が、成立しているのは、


僕の魔法による、効果である。



この事から、タロは魔法が使えない。


そして、魔法は受継げない。



と判断出来る。



それを踏まえ、


強化魔法を受けて育った植物も、


進化はしない。



将来、魔法の「杖」や「ほうき」に成る事も無い。


それが、僕の出した答えだった。



現在、母は、回復魔法が使えるが、


それも、僕と母の心が、通じ合っている結果である。



母の希望を、僕の心が理解して、


僕が、魔法で、その希望に応じている。



それが、事実である。



つまり、母も、僕を出産した後は、


普通の原始人に戻る。



この様に・・・


僕は、僕への説得を、


過去に、何度も行っている。



毎回不安なのだ。


答えが解らないのだ。



その為、


僕が、僕を納得させる説を考え、


僕を、説得して、


精神状態を安定させ、


その上で、行動する。



それが、非常に重要である。



僕が、恐る恐る行動して、


その時、驚く様な事が起きた場合、



『どの様な魔法が発動するのか・・・?』



過剰なバリアが発動して、


周囲を壊滅させるの危険性があるのだ。



その為、僕は、何度も自分に説明して、


その説明が、本当に正しいのかを考え、


そして、僕を納得させる。



その様な事を繰り返していた。



しかし、これで決心が出来た。



こうして僕は、


最北端の苗木を、見に行く事に決めたのだ。



魔法とは、効率が悪い、


ただ見に行くだけで、


世界を破滅させる危険性があるのだ。



それが魔法である。



最北端、ネズミの森の上空・・・


森の様子を見る。



昨日、植えた時、地面は湿地帯だったが、


その水は引いていた。



この北の地域には、


「北大川」以外にも、


3つの川がある。



現在、それらの川も、機能が復活した事で、


湿地化していた水が、


そちらに、引き込まれたのだ。



その結果、多くの苗木が流されていた。



しかし、それを見て、僕は、安心していた。



『魔法の影響は受けていない・・・』



もし、無意識の魔法が発動して、


苗木を守っていたら、



これらの苗木は、


1本も流されずに、その場に残っていただろう、


しかし、その多くが流されていた。


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