表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは魔法の書です。  作者: わおん
274/2327

274

土砂の壁を取り除く事で、


巨大湖が姿を現した・・・



その結果、北湖は、湖として、


復活を始めている。



ところが、南湖の水量が少ない・・・



その原因は、何か・・・?



山脈の谷間に出来た通称・山中湖が、


南湖に流れ込む水を、止めている。



その様に、考えられる。



そして、


僕が、その気に成れば、


山中湖を破壊して、


南湖に水を送る事など、簡単な事である。



しかし、それが、失敗だと気づいた場合、



一度壊した、湖を、


それらしく修復する事は出来ても、


正常に機能する湖に戻す事は出来ない。



僕が、湖の一部の土を取り除いた場合、



そこから、水が流れ出し、


それが、南大川を通り、


南湖に流れ込む。



そして、その時の水流によって、


湖の底のドロに影響が出る。



そのドロ・・・


つまり、地層である。



同じサイズの、水溜まりでも、


1日で、水が消える場所と、


数日、残る場所がある。



それは、なぜか・・・?



土の違いである。



つまり、湖の底には、粘土質の土が必要なのだ。



ところが、それは、


どの程度、必要なのか・・・?



過剰に、追加した場合、


湧き水に影響が出る可能性がある。



つまり、自然の機能を失うのだ。



だから、僕は、山中湖に、


手出しが出来ないのだ。



そして、今、気になる問題が、


もう1つ・・・



現在、南大川、上空、



『この辺りの、風は、弱い・・・』


『苗木は、無事だ・・・』



では、北の強風は、


どう成っているだろうか・・・?



今も、吹き荒れているだろうか・・・?



とても気に成る。



しかし、僕は、


それを、無視すると、決めたのだ。



『見に行かない・・・』


『行っても、何も出来ない・・・』


『無駄に悩むだけ・・・』



その結果、僕の無意識魔法が、進歩して、


風に影響を与える危険性があるのだ。



『だから、見に行かない・・・』



僕は、自分が無力に思えた。



気に成る事は、多い・・・


しかし、解決出来る事は少ない・・・



魔法があっても、それは変わらない・・・



そんな事を考えながら、


新しい生活拠点、


通称・牛の拠点に引き返した。



その後、父や祖母と、今日あった事を話し、


明日からの予定を話し合った。



翌日、僕と母と卵は、


北の土砂置き場に向かった。



そこで、土、倒木、岩、石、砂利、


これらを分類して、


それぞれの置き場へと移動させた。



僕は、迷っていた。



『日課の、山の水やり・・・』


『どうする・・・?』



深刻な問題だった。



昨日から、北の地域に、強風が吹き始めた。



おそらく、今も続いている・・・


季節風である。



その為、北の山脈や森には近づけない・・・



『最北端の苗木は、どう成っている・・・?』


『確かめたい・・・』



『水やりを口実に、見に行きたい・・・』



それが、僕の本音である。



しかし、見に行けば、


僕の、回復魔法や、強化魔法は、


確実に発動する。



結果、北の苗木は、強化によって、


不自然な植物へと変貌して、


自然を崩壊させる。



その危険性があるのだ。



だから、僕は、北の苗木の様子は、


見に行けないのだ。



回復魔法・・・


強化魔法・・・


成長魔法・・・


残念ながら、これらの本当の正体が解らない。



回復とは、何を行っているのか・・・?


どの様な方法・・・?


どの様な原理・・・?


そのリスクは・・・?



強化魔法も、


成長魔法も、


同じ事である。



一体、どの様なリスクがあるのか・・・?


全く解らない。



その様な魔法が、僕の意志とは関係無く、


無意識に、発動しているのだ。



だから、僕は、父や祖母には、


なるべく近付かない。



昼間は、別行動をしている。



僕の仮説か正しければ、


僕の魔法は、僕の家族を守る為に発動する。



その為、


家族を、早死にさせる様な魔法は、発動しない。



しかし、


その逆に、長生きさせてしまう危険性がある。



100年後、全く老化していない可能性・・・



健康は、幸せだが、


長生きが、幸せとは思えない。



死ぬ事の無い身体・・・


千年後も生きている可能性・・・



何もしなくても、生きて行ける・・・



『そんな人間に、幸せがあるのか・・・?』


『生きる意味は・・・?』



僕は、強大な力を持った魔法使いである。



全長30キロの湖を、


数十分で掘り出せる・・・



その様な魔法を持っているのだ。



そんな、僕の無意識の魔法が、



『大切な家族を、死なせるだろうか・・・?』



僕は、1兆年後も、生きている可能性がある。



『僕には、その様な恐怖がある・・・』



『そんな僕の、無意識魔法が・・・』



『家族を、死なせるだろうか・・・?』



『家族を巻き込むのでは、ないか・・・』



その可能性は、否定出来ない。



そんな僕が、


今、北の苗木を見に行った場合・・・



『苗木は、どの様な成ってしまうのか・・・?』



『不死の木に成るのでは・・・?』



などと、思える・・・



しかし、次の瞬間、


それを否定する仮説が登場する。



『魔法は、受継げない・・・』



それは、唯一の希望だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ