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これは魔法の書です。  作者: わおん
273/2328

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枯れた大地には、


元々、巨大な湖が2つあった。



それが、北湖と南湖である。



ところが、水量の豊富な北湖に対して、


南湖の水量は、極端に少ない。



なぜなのか・・・?



その理由は、おそらく、



3人山脈と、第2山脈の間に出来た。


通称・山中湖・・・



それが、本来、南湖に流れる水を、


止めている。



その様に考えられた。



しかし、その山中湖は、


とても自然であり、


津波以前から、


その様に姿で、存在した様にも見える。



その為、僕は悩んでいた。



山中湖を壊せば、南湖に、


豊富な水を送る事が出来る。



しかし、山中湖が、元々存在した湖の場合、


それを壊す事で、


どの様な問題が発生するのか・・・?



僕には、想像出来ないのだ。



その為、山中湖は破壊出来ない。



結果、現在、南湖に続く、南大川には、


水源が無く、


幅40メートル、


深さ2メートルの通路に成っている。



そして、その先の、南湖は、


全長30キロの、くぼ地である。



つまり、


南大川も、南湖も機能して、いないのだ。



『あきらめるか・・・?』


『あきらめて、放置するか・・・?』



常識的に考えれば、解決するベキ問題である。



しかし、僕は、放置するベキだと思った。



なぜなら、


現在、「湿地川」は機能している。



父や祖母は、そこで生活水を得ているのだ。



そして、その南には、牧草が育っている。



つまり、充分に役に立っているのだ。



つまり、南大川や、南湖が無くても、


困らないのだ。



『そんな場所に、水を送ってどう成る・・・?』



そして、再び考える・・・



とはいえ・・・


南大川も、南湖も、元々あったモノだ。



自然環境を再生させるには、必要だと思う・・・



では、山中湖を壊して、


南大川に水を送るか・・・?



実際、それが正解だと思う・・・



しかし、上空から見ると、


山の谷間に出来た、川の流れや、


その先にある「山中湖」の存在・・・



それらは、元々存在した様に見える・・・



『どうする・・・?』


『山中湖には使い道が無い・・・』



『それを壊して・・・』


『その水を、南大川に流すか・・・?』



しかし、



『それが本当に正しい事なのか・・・?』


『問題は起こらないのか・・・?』



『山中湖は、元々あった湖なのか・・・?』


『津波によって、出来たモノなのか・・・?』



『壊しても良いのか・・・?』


『駄目なのか・・・?』



『解らない・・・』



解らないが正解は存在する。



もし、時間を巻き戻し、


その光景を見る事が出来れば、


その正解を知る事が出来る。



しかし、僕には、その能力が無い。



つまり、正解は存在しても、


その正解を知る方法が、無いのだ。



結果、再び、仮説が登場する・・・



『おそらく、山の木々が復活すれば・・・』


『山の湧き水が増える・・・』



『それが、山中湖を、あふれさせ・・・』


『それが、南大川に流れ込み・・・』


『それが、南湖を満水にする・・・』



あくまでも、仮説である。



『本当に、そうなのか・・・?』



僕には解らない。



僕が、とりあえず納得する為に、


自分に嘘をついているのだ。



僕の仮説など、その程度である。



そこで、慎重に考える。



湧き水とは、


そんなにも、出てくるモノなのか・・・?



『山中湖をあふれさせ・・・』


『南大川に流れ出し・・・』


『その先の巨大な南湖を、満水にする・・・?』



『こんな仮説が信じられるのか・・・?』



自分の仮説が信じられない。



しかし・・・


僕は、再び、上空から、山中湖を確認。



3人山脈と、第2山脈の間に、


山中湖は存在する・・・



その大きさは、


縦400メートル、横150メートル、


周囲の山から、少量の水が流れ込んでいる。



現時点で、山中湖があふれる気配は無い。



しかし、3人山脈には、途切れた部分がある。



位置的に見て、


山中湖があふれた場合、


その水は、3人山脈の途切れた部分を通り、


南大川に流れ込む・・・



その様に思える。



決断の時である。



『山中湖は壊さない・・・』



僕は、この状態を放置する事にした。



僕が、手を加え、改悪した場合、


その形状は、永遠に元には戻らない。



外見上、同じ様に再現出来ても、


その地層は再現出来ない。



湖も同じである。



湖の底の湧き水・・・


僕が作り直した湖に、


その機能があるとは思えない。



つまり、破壊は出来ても、


修復は不可能なのだ。



『だから、手を出さない・・・』



それが、僕の判断だった。


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