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僕が、土砂を取り除いた事で、
その下にあった「南湖」と「南大川」が
その姿を現した。
しかし、北大川に比べ、
その水量が少ない・・・
周囲は、湿地化しているが、
洪水では無い・・・
そして、その水は、
湿地川に、流れている。
しかし・・・
『それにしても、水が少ない・・・』
巨大な南湖を、満水にするには、
その水量が、少ないのだ。
現在、台風直後という事で、
湿地川も、増水しているが、
それでも、少ないと感じる。
『北大川は、水が多かった・・・』
先ほど、掘り出した北大川は、
その水量も豊富で、
その先の北湖への、水の供給も安心に思えた。
しかし、
『南大川は・・・』
山脈の、倒木や土砂を取り除き、
山の川を復活させた。
しかも、台風直後・・・
それなのに、
周囲の森は、洪水状態では無い・・・
結果、南大川には、ほとんど水が無く、
その先の、南湖に、水は到達しない。
『原因は何か・・・?』
なぜ、北は水が豊富なのに、
南は少ないのか・・・?
『その違いは・・・?』
何も解らない、
理由が解れば、改善出来る。
僕には、その能力はあるのだ。
しかし、肝心な理由が解らない・・・
『賢く成りたい・・・』
『仮説では無く・・・』
『事実を理解する賢さが欲しい・・・』
仮説なら、色々を思い付く。
しかし、仮説など、自分の都合の良い考えである。
その仮説を信じて、行動して、
それが失敗だったなら・・・?
生前、テレビで見た事があった。
昔の科学者は、大きな問題に直面していた。
宇宙飛行士が、宇宙空間でクシャミをした場合・・・
『首の骨が折れて、死ぬのでは・・・?』
その様な仮説が、本気で、議論されたらしい。
その為に、どれだけの、
税金が使われたのだろう・・・?
結局、どの様な方法で、
安全を確認したのだろう・・・?
たぶん大丈夫・・・? だと思う・・・
その様な仮説で、
宇宙飛行士を出発させたのでは・・・?
『そして、なるべく、クシャミをするな・・・』
『その様な命令があったのでは・・・?』
しかし、誰かが、耐えられずクシャミをして、
その結果、大丈夫であると、
証明されたのでは・・・?
つまり、宇宙飛行士は、
クシャミで、死んでいたかも、
知れないのでは・・・?
それを踏まえて、
僕は考える・・・
『南大川の水が少ない・・・』
現在、その水の多くは、
40キロ離れた湿地川に流れている。
事実、森の中は、湿地化しており、
その水の、唯一の行き場ば、
40キロ離れた、湿地川、だけなのだ。
しかし、
その全てを、南川に戻しても、
それでも、水が少ない・・・
なぜ、こんなにも、水が少ない・・・?
北大川に比べると、
その水量の少なさは、異常であった。
どの様にすれば、
南川の水は増えるのか・・・?
ここで登場するのが、
仮説である。
先日、僕が、行った山脈の補強・・・
それによって、山脈は元の形状を失った・・・
結果、川の水が、
別の場所に流れる様に成った・・・
そして、疑問が出る。
『では、それは、どこなのか・・・?』
上空から観察・・・
結果、おそらく・・・
『あの部分・・・』
第2山脈と、3人山脈の谷間に、
僕は、それを見つけた。
『川と、湖がある・・・』
これにより、
ある意味、仮説は証明された事に成る。
しかし、それは、
僕の仮説を、信じた場合の、話である。
なぜなら、その部分は、その部分で、
自然に見えるのだ。
元々、その様な川があり、
山の中の湖に、水を蓄えている・・・
その様にも見える。
それでも、この通称「山中湖」を破壊して、
その水を、南川へと引き込むベキなのか・・・?
僕は、周囲を観察する。
山中湖の一部を破壊すれば、
3人山脈の、途切れた部分が、川として機能して、
結果、南大川に、水が流れ込む・・・
『その様にも見える・・・』
しかし、それを実行するには、
山中湖の一部を破壊する事に成る。
と成ると、不安が出て来る・・・
『山中湖が元々の湖であり・・・』
『山の湧き水を維持する為に・・・』
『重要な存在であったなら・・・?』
そう考えると、破壊など出来ない。
では、どうするか・・・?




