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これは魔法の書です。  作者: わおん
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現在、僕は、苦悩していた。



僕は、2階建てベッドの下の段で、寝ている。


その結果、上の段の底が見えている。



『目を閉じているのに、見えている・・・』



そして、その部分に、


平仮名カードを貼っている。



ところが、その字が読めない・・・


カードが貼ってある事は、


ぼんやりと見える。



『しかし、字が見えない・・・』


『答え合わせが出来ない・・・』



『つまり、これは、夢なのでは・・・?』



『貼ってある事は、知っている・・・』


『だから、カードは、夢に登場する・・・』



『しかし、そこに書かれた字や絵・・・』


『それは、知らない・・・』


『だから、夢に登場しない・・・』



『これが、事実なのでは・・・?』



『つまり、これは、夢なのでは・・・?』


『見えているのは、ただの夢・・・?』



しかし、



『これは、本当に夢なのか・・・?』


『これが、夢の場合・・・』


『魔法とは、無関係なのか・・・?』



『これは、無意味な、夢遊びなのか・・・?』



などと考えるが、納得出来ない。



『これが、魔法とは、無関係とは思えない・・・』


『では、これは、何だ・・・?』



『何の、魔法だ・・・?』



そして、思い出す。


『寝ながら、起きる・・・?』


『アレをしながら、コレをする・・・』



僕は、以前、幼稚園で、奇妙な体験をした。


気付いたら、お弁当の時間だったのだ。



その日、お遊戯をした記憶が無かった。



しかし、僕は、間違い無く、


お遊戯に参加していた。



それは、周囲の状況で、判断出来た。



その後、母と帰宅した時にも、


その体験をした。



母と何も話さず、帰宅する訳が無いのだ。


ところが、僕には、会話をした記憶が無かった。



僕は、それが、不思議だった。



ある意味、恐怖だが、


とても、重要な事に思えた。



そして、今、その仕組みが少し、


解る様に思えたのだ。



『目を閉じても、天井が見える・・・』



それを、初めて体験したのは、


病院のベッドだった。



そして、退院後も、その現象は続いた。



しかし、毎日、見れた訳ではない。


寝てしまって、見れない日もあった。



つまり、


『寝たら見れないが、寝ないと見れない・・・』


『微妙に寝る・・・』


『半分寝た状態・・・』



『これに、何かがある・・・』


『魔法に必要な、何かが・・・』



僕は、その何かを、知りたかった。


それを知る為に、考えてしまった。



結果、眠気が消えてしまう。



『これでは、駄目だ・・・』



その後、何も見えないまま、


数十分が経過した。



『残念ながら、仕方が無い・・・』



僕は、あきらめて、寝る事にした。


すると、見えた。



平仮名は、読めないが、


カードが貼られている事は、確認出来る。



目は、閉じている。


しかし、カードが、ぼんやりと見える。



『今が、半分寝た状態・・・?』



思えば、病院でもそうだった。


横向きに成った場合には、見えなかった。



『その時は、張り切って挑戦していた・・・』


『よし!見てやろう!と考えていた・・・』


『工夫して、頭が冴えていた・・・』



『つまり、欲が出ていた・・・』


『だから、見えなかったのか・・・?』



という事は・・・



『欲を捨てれば、見えるのか・・・?』


『その為には、半分寝る・・・』



どうやら、この現象は、



『欲を捨てる為に・・・』


『半分眠らないと、起こらないらしい・・・』



僕は、それを理解した。



では・・・



『見えているのは、夢なのか・・・?』


『それとも、本当に見えているのか・・・?』



『もちろん、本当に見えている・・・!』



そう信じたい。



『では、どうすれば、確認出来るのか・・・?』



それには、まず、


必要に応じて、半分眠る方法、


それを見つける事が、先決だった。



そして、毎晩、必ず、見える状態にする。



そうすれば、見る技術が進歩して、


カードの文字が、読める様に、



『成るかも知れない・・・』



その為には、半分眠る練習を、する必要がある。


それが、今後の課題である。



平仮名で、答え合わせをするのは、


それを習得した後だ。



僕は、半分眠る練習をしながら、


その日は、眠ってしまった。




翌朝、姉が、トイレに行くのを待つ・・・



そのタイミングで、僕は、ベッドから出て、


逆立ちコマを回した。



特別に、何かを、しようとは考えない。


考える必要はない。



考えると欲が出る・・・


だから考えない。



しかし、僕は、逆立ち阻止の仕組みを、知っている。



そして、今、やるべき事は、無意識が知っている。




例えば、


クシャミが必要な時、筋肉が勝手に動く。



それは、クシャミに必要な空気を、


吸い込む作業と、


吐き出す作業である。



それは、本人の意思とは、関係なく行われる。


魔法も、それと同じである。



僕が、このタイミングで、逆立ちコマを回す。


すると、僕の魔法が勝手に機能する・・・



僕は、コマを回した。


『1・2・3・4・5・』


逆立ちコマが、逆立ちしないで回っている。


『6・7・8・・・』


まだ回っている。



『成功だ・・・』



あの日、ベッドの中で、偶然出来た事・・・


なぜ、出来たか、解らなかった事・・・



僕は、それを、理解して、成功させたのだ。



トランプ風車の原理、


絶妙な力加減で、上下を固定する。



『見えない点・・・』


『針の様な点・・・』


『それで、コマの上下を押さえている・・・』



おそらく、その様なモノで、


反転を阻止している。



『そして、この原理を使えば・・・』



次の瞬間、コマが、


逆立ち阻止の状態で、8の字移動を開始した。



正確では無いが、コマは19秒回って倒れた。



大喜びしたい・・・



しかし、僕は、大慌てで、


逆立ちコマを、玩具箱に戻し、


ミニカーを持って、リビングに向かった。



コマの逆立ち阻止が、うれしくて、


ニヤニヤしてしまう。



それを隠す為に、ミニカーで遊んだのだ。



何かあると、僕は、毎回、ミニカーを手に取る。


それが、最も自然で、無難だからである。



しかし、家族は、その事を知らない。



そんな訳で、僕は、


ミニカーが大好きな子供、という事に成っていた。


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