表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは魔法の書です。  作者: わおん
251/2327

251

海から、1キロ四方、厚さ1センチの、


真水を取り出し、



その真水の板を、山脈上空に移動させ、


移動魔法で倍のサイズに広げる。



結果、真水の板には、空気が入り、


スポンジの様な状態に成る。



それを、山脈の土の中に、瞬間移動させる。



結果、全ての水が、土に染み込んだ状態に成る。



つまり、


雨水が、山の斜面を削る様な現象は、起きない。



これで、地面を削らずに、水やりが出来る・・・



この瞬間、それは名案に思えた。



しかし、僕の心のブレーキが、それを止める。



『本当に、それで良いのか・・・?』


『名案は、名案と錯覚しているだけ・・・』



僕は、自分に言い聞かせた。



名案と錯覚した場合、


それを正しいと思い込み、


勢いで行動してしまう。



結果、今までの慎重な行動が、


台無しに成ってしまうのだ。



そこで、僕は、再び慎重に考えた。



『なぜ、山脈に、雨が降らないのか・・・?』



その瞬間、僕は、多くの事を理解した。



生前、僕には、姉がいた。



その姉が、調理実習で、サンドウィッチを作った。



その日から、姉は、


「サンドウィッチ屋さんに成る」といい出した。



子供なのだから、よくある事である。



しかし、


その後、親戚の結婚式に出席した時、


フランス料理のフルコースに、


サンドウィッチが無い事を知って、



「サンドウィッチが無いなんて・・・」



と、姉は、鼻で笑った・・・



完全に上から目線で、


暴言を吐いたのだ。



それを見て、僕は、


人間の愚かさを学んだ。



人は知識に支配され、


常識を見失うのだ。



簡単に言えば、


『1つ知っている事で、人は愚かに成る』


という事である。



例えば、


プロでも知らない、ステーキの焼き方・・・


「本来」ステーキは、この様に焼く・・・



その様な、自慢を行う人間は、多く存在する。



生前、僕が住んでいた地域では、


夏場、河川敷で、


バーベキューのイベントを行っていた。



だから、毎回、その様な人物が得意気に、


自分は、例外的に、知っている。



その様な、自慢を行っていた。



しかし、


プロが知らない・・・?


プロが実践していない・・・?



それが、本当に、


「本来」の、


ステーキの焼き方と呼べるのか・・・?



その様なモノは「本来」とは呼べない。



それが、知識の危険性である。



1つの知識がある事で、


小学生でも解る様な、当然の理屈を見失うのだ。



実際、テレビで、アレルギー治療に関して、


医者が言った一言を真に受け、



アレルギーの子供に、


アレルギー食材を与える親がいる。



正直、愚か者なのだ。



そして、僕も、そんな愚かな人間だった。



その事を、今、痛感したのだ。



僕は、雨が降る仕組みを知っている。


山は水蒸気を発している。



それが、上空の雲に加わる事で、


雨が降る。



その為、山の天気は変わりやすい。



僕は、その事を知っている。



だから、その考えに支配され、


常識を見失っていたのだ。



『山の水蒸気など無くても、雨は降る・・・』


『木々の無い、都会でも雨は降る・・・』



現在、山の木々は、ほぼ全滅している。



結果、山の水蒸気による雨は、期待出来ない。



しかし・・・



『台風は・・・?』


『6月の梅雨は・・・?』



海の上で発生した雲が、大雨を降らせるのだ。



山の水蒸気など関係ないのだ。



生前、僕が暮らしていた日本でも、



『今年は、雨が少ない・・・』



そんな事は、多々あった。



つまり、ここでも、それが起きている・・・



『それだけの事・・・』



『つまり、魔法など使わなくても・・・』


『その内・・・雨は降る・・・?』


『水やりなど、不要・・・?』



しかし、僕は、恐怖を感じた・・・



『台風が来たら・・・』


『この山脈は、どう成るのか・・・?』



木々の無い山脈に、大雨が降った場合・・・


山は、崩れる・・・



先ほど、僕が「水やり」をしただけで、


山の斜面が少し削れたのだ。



『もし、3日間降り続けたら・・・』


『山は一体、どう成ってしまう・・・』



何とかするベキ状況だった。



『山崩れが起こる・・・』



最悪の状況である。



全長2千キロ以上の山脈が、崩れるのだ。



雨が降れば、それが現実に起こるのだ。



しかし、



僕は、これが、チャンスに思えた。



実際には、まだ、台風は来ていないのだ



つまり、僕は、台風被害が起こる事を、


事前に予測したのだ。



魔法の力を使い、事前に対応が出来るのだ。


準備をするチャンスなのだ。



僕は、その様に思いたかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ