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深海に沈んだ宇宙船、現在も、その浸水は進んで居る。
元が、何千年も宇宙の旅が出来る機体なので、
簡単に壊れる事は無い。
しかし、数万年前、1ミリの10分の1、
その程度の隙間から、海水が入った。
その水には、微生物が含まれて居て、
それが、魔素を発生させ、結果、
当時、ミイラ化して居た、36は、
カプセル内で、溶けて、復元して、
現在の状態に成った。
つまり、数万年前から、宇宙船内には、
少しずつだが、海水が入って来て居る。
宇宙船は、その性質上、非常に、頑丈である。
しかし、地中に埋められたモノが、地殻変動によって、
捻られ、最終的に、深海に沈んだのだ。
それで、1ミリ以下の隙間なら、
十分に優秀なのだが、海水と微生物が、加わる事で、
劣化が進行する。
しかし、その微生物の繁殖によって、
船内に魔素が充満して、ミイラの36は、
復活出来たのだ。
では、なぜ、海水に、魔素があるのか?
この星に到着した宇宙人の子孫文明は、
過去、2度も絶滅して居る。
その原因が、念の暴走であり、
当時、知能があった全ての生命が、
崩壊して、死に絶えた。
この時、崩壊した細胞が、バクテリアと成り、
その後、進化を繰り返した。
結果、この星で、知能を持った生命全てに、
念話の能力を持たせてしまった。
そして、現在3度目の文明、
今回は、36の意思によって、
全ての生命が、念を持つ素質を持ちながらも、
それを発動させない流れを作った。
もちろん、完璧では無い、
その為、牛は、念話を使える。
しかし、人類は、魔法を使えない・・・
結果、魔法を持たずに、純粋な科学を進歩させ、
将来、海底から、我々を引き上げ、
安全に生きる環境を用意して貰う。
その計画だった。
だが、それには、36が、彼らの神に成る必要がある。
しかし、現状、原始人の神は牛であり、
技術進歩は、この辺りで、停滞期に入る。
牛の世話に、科学の進歩は不要なのだ。




