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これは魔法の書です。  作者: わおん
233/2329

233

現在、原始人の母と、


その胎児である僕は、


牛の大地に居る・・・



そして、


草むらの中で、2つの卵を発見した。



『これは、本当に恐竜の卵なのか・・・?』



状況から判断して、これは間違い無く、


恐竜の卵である。



そして、


僕の魔法の影響を受けている。



しかし、


確証が無い・・・



そこで、母と僕は、牛の大地で、


恐竜を探す事にした。



恐竜の卵を見つけ、


この2つの卵と比較するのだ。



『同じ卵なのか・・・?』


『この2つの卵は・・・』


『本当に恐竜の卵なのか・・・?』



実際の所、僕に、


『区別出来るのか・・・?』


それは疑問である。



実際、生前の僕に、


ニワトリの玉子と、アヒルの玉子が、


区別出来ただろうか・・・?



しかし、それでも、


恐竜の卵と比較して、



似ている・・・


同じ形だ・・・


などと、一応確認したいのだ。



その為、僕は、牛の大地を、


瞬間移動で、動き回った。



その際、僕は、自分に・・・



『瞬間移動に・・・魔法に・・・』


『消費は必要ない・・・』



その様に念を押した。



現在、瞬間移動は、スムーズに行えているので、


何も消費していないと考えられるが、


それでも、謎池の事を考えると、


不安に成った・・・



謎池は、何と引き換えに消費されたのか・・・?


謎池には、水草さえ無かったのだ。



『水は残っていた・・・』


『僕は、何をしたのか・・・?』


『何をして、消費したのか・・・?』



不安だった。



『消費が不要と解っても・・・』


『今後も、謎池の様な事は起こるのか・・・?』



解らなかった。



そこで、考えた。



『今後、初めての魔法を使う時・・・』


『大掛かりな魔法を使う時・・・』


『その時は、材木置き場の木を消費しよう・・・』



結局、固定概念で、何かを消費してしまうのなら、


廃材を消費した方が、合理的である。



数分後・・・


山菜森の近くに、恐竜を発見・・・



『卵はあるか・・・?』



探したが、見付からない・・・



他を探す・・・



しかし、恐竜がいても、


肝心の卵が見付からない・・・



『比較出来ない・・・』



現在、2つの卵はリュックの中にあり、


母が大切に抱えている。



『これは、本当に恐竜の卵なのか・・・?』



少し、不安に成る。



その卵を、見えない手で包み込み、


内部を調べるが・・・


それは、ただの白身と黄身であり。



恐竜とは断定出来ない・・・



結局、時間の無駄と判断して、


我々は、ネズミの拠点に引き返した。



ネズミの拠点に帰ると、


卵を見た祖母が、


砂利袋から、砂利を捨て、


その袋に卵を入れた。



砂利袋とは、携帯用の武器である。



祖母が砂利を投げ、


僕が魔法で、それを飛ばす。



これで、肉食動物を撃退する。



その為に砂利を、


携帯する袋だった。



しかし、現在は、使っていない。



そこで、祖母は、その袋を2つ空にして、


それに、卵を入れたのだ。



結果、卵入りの革の小袋が2つ・・・


それを母に渡し、



その後、祖母は、革のバッグを作り始めた。



祖母は、本当に凄い・・・



以前、ネズミの森を移動した時、


祖母は、休憩時間に成ると、木によじ登り、


周囲を見張っていた。



それを見て僕は、


祖母の事を、幼稚な人だと思っていた。



しかし、その後、


祖母の行動を見ると、


その全てに、自制心が感じられた。



つまり、我慢しているのだ。



本当は、自分も卵を温めたいのだ。



もし、祖母が、本当に、幼稚な人間なら、


「自分が自分が」と、


だだをこね、



無意味に持ち歩き、


数分後には、


卵を割って、


号泣して終わり・・・



それが本当の幼稚である。



しかし、これは、遊びでは無い。


命である。



祖母は、それを理解している。


だから、最善を選んだ。



自分は、我慢して、母に任せる。



そして、自分が出来る事で協力する。



結果、祖母は、バッグを作ったのだ。



母は、そのバッグを首から下げて、


胸の位置で固定した。



その仕組みも、祖母が考えたのだ。


そのバッグに、卵入りの皮袋を入れた。



これによって、


卵に、成長魔法を送る事が、出来るのだ。



もし、卵を放置して、


そこから、恐竜が生まれた場合、


それは、ただの恐竜である。



それでは困るのだ。



祖母は、それを理解していた。



タロの異常な賢さ、


その理由は、僕にある。



つまり、僕が、卵を育てれば、


生まれて来る恐竜も賢く成る。



僕は、期待されているのだ。



しかし、僕は、不安であった。



この卵が、


恐竜の卵である、保障は無いのだ。



もし、恐竜の卵であったとしても、


この卵は、草むらに、


不自然に存在した2つの卵である。



周囲の生き物を消費して、


無理矢理に、卵に成長させた存在なのだ。



この時点で、これは普通の卵では無いのだ。



それを、成長魔法で育てても大丈夫なのか・・・?



『もし、人型恐竜が生まれたら・・・』



そして、気付く・・・



『あっ!』


『この卵は、鳥の卵なのでは・・・?』



先ほど、草むらで、急降下した鳥がいた。



僕は、鳥が、


「何か」を狙って急降下したと思った。



だから、その「何か」守る為、


僕は、鳥を包み込み、上空に瞬間移動させた。



結果、鳥は、逃げた・・・



そして、草むらに「何か」があった。


それが、この2つの卵である・・・



『もし、あの鳥が・・・』


『この卵の、お母さんだったら・・・』



現実的に考え、


それは無い、



先ほどの、鳥のサイズは、


カラスよりも少し大きめ・・・


それに対して、卵のサイズは、



縦10センチ、


横5センチである。


大き過ぎる・・・



しかし・・


『本当に、大きいか・・・?』


少し、不安に成る・・・



『ニワトリの場合は・・・?』


『ニワトリの頭に対して・・・』


『玉子のサイズは・・・?』


などと、考えるが、


それが解った所で、


この2つの卵の、母親が解る訳ではない。



しかし、これは大問題である。



『何の卵か解らない・・・』


『それを恐竜の卵と思い込み・・・』


『僕が、成長魔法を送る・・・』



通常、成長魔法や回復魔法は、


無意識的に送られる。



その為、僕が手加減をする事や、


それを止める事は出来ない。



つまり、こうして悩んでいる今も、


僕の無意識は、魔法を発して、


卵に、影響を与えているのだ。



そして、僕は、


この卵を、恐竜の卵だと思っている。



本音をいえば、


恐竜の卵で、あって欲しいと、


思っている。



しかし、


これが、もし、恐竜の卵では無かったら・・・?



『本当は、鳥の卵だったら・・・?』



それなのに、僕が・・・



『恐竜と思い込み・・・』


『恐竜であって欲しいと・・・』


『願望を持っていたら・・・・』



『それが魔法に影響を与えたら・・・?』


『この卵に、どの様な影響が出るのか・・・?』



不安であった。



魔法は、固定概念の影響を大きく受ける。



その為、必要は無いと理解していても、


今後も、謎池の様な犠牲が出るだろう・・・



そして、今回、


この卵に対して、不安がある為、



『早く、生まれて欲しい・・・』


『早く、結果が知りたい・・・』 



その様な、願望が、


僕の魔法に、影響を与えていると、


考えられる。



結果、


鳥が、無理矢理に、恐竜化して、


生まれる危険性もあるのだ。



そして、生まれて来る「何か」は、


魔法の影響で、賢く成って、誕生する・・・



つまり・・・



自分の、存在に、絶望する危険性があるのだ。



解っていても改善出来ない。



それが魔法である。



魔法は、杖を振った時だけ、


出る訳では無いのだ。



本当の魔法は、絶えず発している状態なのだ。



結果、僕の倫理観に反して、


僕の願望を実行する危険性があるのだ。



『一体、どうすれば・・・』


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