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原始人の母の胎内で、
脳死したハズの僕が、生きていた・・・
僕は、死んだと錯覚して、
異常なレベルで、未来を予想したのだ。
その為、僕は、脳死を回避する方法に気付き、
結果、僕の脳は、魔法を使っても、
脳死しない様に変化した。
そこで疑問である。
先程まで、僕は、
メス恐竜の死体の中に居ると、錯覚していた。
それ程、リアルだったのだ。
つまり、あのメス恐竜が、
架空の存在・・・?
僕の空想の産物・・・?
その様には、思えなかった。
『あのメス恐竜は実在する・・・』
それが、家族全員の判断だった。
そこで、僕は、その確認に向かった。
正直な所、好奇心による行動ではあるが、
僕には、不安があった。
夢の中ではあったが、
僕は、死に物狂いの魔法で、
そのメス恐竜の胎内に移動したのだ。
つまり、もし、そのメス恐竜が実在していた場合、
そのメス恐竜は、魔法の影響を受けているのだ。
それが、どの様な影響なのか・・・?
場合によっては、殺す必要もあるのだ。
ハイエナが、牛を襲っていたポイントから、
北へ200キロ、
夢の中の、メス恐竜がいた場所に到着・・・
そこに恐竜の姿は無かった。
しかし、草むらは、実在した。
そこは、山菜森の近くの草むらだった。
高さ1メートル50センチ程度の草が、
群生している。
その広さは、野球場よりも広い。
周囲には、何も居ない・・・
『不自然だ・・・』
僕は、千里眼を使い、草むらの中を探した。
現在、僕の千里眼は、
音を見る千里眼、見えない手、
四キロ範囲が、通常視界で全て見えるの千里眼、
ズーム機能。
これがら、効率的に作用しているので、
草むらの生き物を、探す事など、
訳の無い事であった。
ところが・・・
『居ない・・・?』
もちろん、あのメス恐竜が居ない可能性は、
充分に考えられた。
先ほどの臨死体験・・・
あれは夢だったのだ。
夢の中に登場した恐竜が、実在する保障は無い。
むしろ居なくて当然なのだ・・・
しかし、
『何も居ない・・・』
これは、不自然であった。
草むらには、草食動物が集まる・・・
それを狙って、肉食動物も集まる・・・
結果、フンをする。
すると、そのフンに虫が集まり、
その虫を狙って、鳥が集まる。
ところが、この草むらには、
その生き物が1匹も居ないのだ。
『不自然だ・・・』
僕は、通称、謎池を思い出した。
生き物が1匹も居ない池だった。
謎池の近くには、
巨大湖が存在する。
そこには、多くの魚が生息している。
そして、おそらく、
謎池も、巨大湖も、水源は同じである。
しかし、謎池には、
生き物が生息していなかったのだ。
その時と同じ違和感が、
この草むらにもあった。
僕は、瞬間移動を繰り返し、
この謎の草むらの周辺を調べた。
1キロ先には、
他にも、草むらがあった。
そして、それらの草むらには、
生き物が生息していた。
つまり、この地域の草むらに、
生き物が居ない事は、不自然なのだ。
そして、その様な不自然の理由・・・
それは、僕に原因があると考えられた。
つまり・・・
『この謎の草むらにも、生き物が居た・・・』
『僕は、それを消費した・・・?』
その様に考えれば、納得出来た。
球場サイズの草むらに、虫1匹さえ居ないのだ。
そんな不自然を生み出せるのは、
この世界に僕しか居ないのだ。
『では、なぜ・・・?』
なぜ、僕は、
草むらの生き物を消費したのか・・・?
『あれは、夢では無かったのか・・・?』
冷静に考える・・・
事実として、あれは夢であった。
ハイエナが、牛の腹を食い千切る瞬間、
僕は、その光景を見て、死んだ・・・
僕は、死んだと思った。
そして、恐竜の胎内に移動したと思っていた。
しかし、我に返った時、
ハイエナが、牛の腹を食い千切った瞬間だった。
結果、僕は、恐竜の胎内に移動した出来事は、
夢であったと理解出来た。
が・・・
『あれが、夢であっても・・・』
『あの時・・・』
『僕が、本当に魔法を使っていたら・・・?』
『一体、何が起きたのだろうか・・・?』




