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これは魔法の書です。  作者: わおん
227/2329

227

僕は、メス恐竜の死体の胎内に居る・・・



そして、僕は、ある可能性に気付いた。



恐竜として、誕生すれば、


脳型魔法が使えない体質として、


生まれる事に成る・・・



つまり、脳型魔法は発動しないので、


脳死は起こらない・・・



つまり、僕は死なない・・・



『これで、ひと安心・・・ ?』


『本当に、助かるのか・・・?』



次の瞬間・・・


それは、突然の変化だった・・・



僕は、状況が理解出来なかった。



一体、何が起こったのか・・・?



千里眼が発動していた。



目の前に、土煙・・・


その原因は、牛の群れである。



6頭のハイエナが、倒れた牛に、


食らい付いている光景・・・



それは、僕が死ぬ前に見ていた光景だった・・・



1頭のハイエナが、牛の腹に食らい付いている。



おそらく、内臓を食べる為である。



しかし、その場合、


牛のフンを、どうするのか・・・?



僕が、死ぬ直前に見た光景・・・



その数秒後・・・?



『一体・・・何が起きたのか・・・?』



僕は、見えない手で、


胎児である自分の身体を、包み込んでいた。



僕は、原始人の胎児だった。



驚いた事に、


僕は、原始人の母の胎内に居た・・・



『なぜ・・・?』



原始人の母が、自分のお腹に手をあて、


僕に、回復魔法を送っている・・・



『何が起きた・・・?』


『もしかすると・・・』



『何も起きていない・・・?』



『僕が見たのは、夢・・・?』



『恐竜の胎内に移動したのは・・・・夢?』



僕は、母に質問した。



『何が、起きた・・?』



すると、母は、



「解らない・・・お腹、守った・・・」


「恐竜見た、恐竜死んだ、見た・・・」



母は周囲をキョロキョロしている。



母も、おそらく、僕と同じ光景を見たのだ。



結局、何が起きたのか・・・?


本当の事は、何も解らない。



しかし、心当たりはあった。



僕は、未来を知りたいと、


その方法を考えていた。



家族を救う方法を、


考え続けていた・・・



僕が、死ねば、


家族は死んでしまう・・・



残念ながら、それは回避出来ない・・・



僕は、僕が死んでも、


家族が、生きて行ける様に、


必死に環境を作っていた。



しかし、その維持には、魔法が必要だった。



つまり、僕の死後、


残された家族は、


水と食料が不足して、


数ヵ月以内に、死んでしまうのだ・・・



それが、僕の出した答えだった。



だから、僕は、死ぬ訳には行かなかった。



何をしてでも、生き延びて、


家族を守る必要があった。



しかし、僕は、牛の大地で死んだ・・・



正確には、死んだと思った。



僕も母も、その状況を体感している。



夢にしては、


あまりにもリアルだった・・・


あまりにも長かった・・・



しかし、夢から覚めた時、


数秒しか経過していなかった。



それは、目の前で、食べられている牛を見て、


確認出来た。



つまり、僕は、


その数秒の間に、


未来を予測したのだ。



未来を見る事は出来ない。



しかし、リアルに空想して、


それを見る事は出来る。



生前、幼稚園の頃の僕は、


トイレに行く夢を見て、


「おねしょ」をしていた。



その夢は、とてもリアルで、


本当にトイレに行ったと錯覚した。



だから、僕は、夢の中のトイレで、


「おしっこ」をした・・・



ところが、その後、


「おねしょ」という現実によって、


先ほど、トイレに行ったのは、


夢であったと理解した。



おそらく、僕の無意識は、


それを応用したのだ。



胎児である僕に、リアルな夢を見せ、


その状況を体験させる・・・



そして、僕に、


脳死を回避する方法を、考えさせる・・・



そして、僕は、理解した。



現在、母は、自分のお腹に手をあて、


回復魔法を送っている・・・



それは、胎児である僕に向けたモノである。



そして、その回復魔法が向かう先・・・


それは、僕の脳の一部分であった。



現在、僕は、見えない手で、


胎児である自分の身体を、包み込んでいる。



その為、それが理解出来た。



『ここだ!』


『これが、恐竜には無くて・・・』


『原始人にはある部分・・・』


『脳型魔法を発動させる器官・・・』



次の瞬間、僕は、


見えない手で、脳の一部分を包み込んだ。



そして、魂型の回復魔法を送る。



通常、回復魔法を発している実感は無いのだが、


見えない手で包んでいる事で、


その感覚が、はっきりと感じられた。



現在、脳の一部分が、破壊されて続けている。



しかし、


それを「魂型」の回復魔法が阻止する・・・



しかし、


それでも、脳の一部分が破壊されて行く・・・


原因は、理解出来た。



破壊されている脳の一部分は、


「脳型」の、回復魔法を発しているのだ。



皮肉な事に、その回復魔法の発動によって、


脳が破壊されているのだ。



『脳を破壊しながら、脳を回復させる・・・・』



この世界に来た時、


不可能だと思えた事を、


今、僕は、実現させていた。



この世界に来た時、


僕の千里眼は、


少し見えては消えるを、繰り返していた。



しかし、魔法は、一定時間使い続けると、


上達する。



千里眼の様に、


生きる上で必要なモノに関しては、


僕の意思とは関係無く、


継続的に発動を続ける。



そして、それと同様の事が、


脳にも起きた・・・



脳型回復魔法の能力が、


脳の破壊を上回ったのだ・・・



『助かったのか・・・?』



今後、僕の脳型魔法は、


脳の回復の為だけに、


発動を続けるだろう・・・



つまり、僕は、魔法による脳死を回避したのだ。



『本当に、助かった・・・のか・・・?』



実感は、無いが、


事実として、僕は、助かった様である。



つまり、僕は、死なずに済んだのだ・・・



『これで、家族を守れる・・・』



『牛問題も、水問題も・・・』


『これで乗り切れる・・・』



僕は「喜びに打ち震える」という感覚を味わった。



しかし、心配もあった。



僕は、大慌てで、牛を1頭回収すると、


ネズミの拠点に引き返した。



思った通りだった。



父も祖母もタロも、


あの夢を見ていたのだ。



あの出来事は、夢だった。



しかし、僕は事実だと錯覚していた。



そして、命を振り絞る思いで、


行動したのだ。



結果、


僕が行った夢の中の、必死の行動が、


家族にも伝わったのだ。



その為、父と祖母とタロは、


僕が、夢で経験した事を知っていた。



そして、それが夢であった事も理解出来た。



結果、祖母は、母を抱きして、


僕に質問を繰り返した。



「恐竜、どうなった? 卵、どうなった?」


「あれ、全部、夢・・・?」


「本当に、全部、夢・・・?」



「あの恐竜、本当は居ない・・・?」



実は、僕も気に成っていた。



あのメス恐竜は、実在するのか・・・?



それは、確かに気に成る・・・



そして、実在するなら、放置するのは危険である。



僕の魔法が、メス恐竜に、


どの様な影響を与えたのか・・・?



それが解らないからである。



そこで、父と祖母には、


牛の解体をお願いして、


母と、その胎児である僕は、



『メス恐竜が実在するのか・・・?』



その確認に向かった。


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