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これは魔法の書です。  作者: わおん
215/2327

215

現在、僕は、山菜森の木々から、新芽を集め、


それを、魔法の力で、苗木に育て、


ネズミの森に植えている。



ところが、これでは、効率が悪い、


僕は、その様に考えてしまう。



しかし、実の所、


そんな事は無い・・・



通常、1週間かかる根出しの水栽培が、


3時間で終了して、



1本移動させるだけでも、


1日以上かかる、巨木の排除が、



一瞬で行えているのだ。



しかし、現実問題、


ネズミの森と、3人山脈・・・


これら全てに、苗木を植えるのに、



何日かかる・・・?



僕は、あせっていた。



時間が無いのだ。



しかし、


問題は、それだけでは無かった。



僕は、不安を感じていたのだ・・・



『この苗木は、大丈夫なのか・・・?』



魔法によって、根が出た苗木・・・



『これは、本当に木に成るのか・・・?』


『本来の木に、成長するのか・・・?』



『何か、問題が発生するのでは・・・?』



魔法によって、不自然な品種改良が、


起きている可能性があるのだ。



その結果、育ちは早いが、


来年には枯れる・・・



その様な可能性もあるのだ。



つまり、


『この苗木を植えても、無駄なのでは・・・?』


不安でたまらない。



しかし、この方法以外に無いのだ。



苗木を作る前日まで、



僕と母は、山菜森に行って、


2メートル程に成長した木を見つけては、


瞬間移動で、1番湿地帯に送っていた。



そして、その木を、


ネズミの森や、3人山脈に植えていた。



その数は、千本を越えている。



しかし、



『こんな事をしても、大丈夫なのか・・・?』


『このまま続けたら・・・』



山菜森は、多くの木々を失い・・・



『自然のバランスが崩れるのでは・・・?』



その様な恐怖を感じた事で、


木を抜く事が困難に成り、


苗を作る事にしたのだ。



本音をいえば、山菜森など、


どう成っても、僕には関係無い。



僕が、死んだ後、


千キロ以上離れた山菜森が、壊滅していても、


僕の家族は、困らないのだ。



ネズミの森が、復活するのなら、


山菜森など、どうでも良いのだ。



ところが、僕にも、良心がある。


罪悪感がある。



そして、それは、魔法に影響を与える。



僕が、悪いと判断した場合、


魔法は発動しないのだ。



その為、


山菜森の木々を抜いて、


ネズミの森に植える事が、不可能に成ったのだ。



魔法とは、非常にデリケートなのだ。



僕が、回復魔法を使う事で、


家族が早死にするのでは・・・?



と、僕は、本気で心配しているのに、


回復魔法は発動する。



それなのに、山菜森の木々を、


ネズミの森に移動する事は出来ないのだ。


魔法が発動しないのだ。



全く、理解出来ない。



しかし、それが魔法なのだ。



結果、苗木を作り、


それを植える事にしたのだ。



しかし、その苗は、


本当に、本来の木に成長して、


ネズミの森や、3人山脈で、


生きてくれるのか・・・?



僕の魔法の影響が、一生続くのでは・・・?



異常な成長を続け、



『周囲の木々と、殺しあうのでは・・・?』



不安要素が多い。



もちろん、この予想には、根拠があった。



それは、祖母やタロの存在である。


祖母は、異常に賢い。



そして、それは、確実に魔法の影響である。



もし、祖母が、以前から、


今の様に天才だったら、



僕に出会う以前に、


リュックや、弓や、


干し肉や、燻製を作って、


村で使っていただろう。



しかし、その様な事実は無い。



つまり、祖母は魔法によって賢く成ったのだ。



その結果、レンガ風呂を、


考える事が出来たのだ。



そして、今、僕と祖母は、


6メートル以上離れている。



そんな状況が、毎日、何時間も続いている。



しかし、祖母は、賢い・・・


タロも、賢い・・・



僕が居ない時にも賢い・・・



つまり、僕の魔法によって、


1度賢く成ったら、


その効果は、継続するのだ・・・



という事は、


成長魔法によって、


異常なスピードで、根を出した苗木・・・



この苗木にも、成長魔法の効果が、


継続する可能性がるのだ。



『一生、異常に成長するのか・・・?』



異常な成長が、周囲に、


どの様な影響を与えるのか・・・?



『早く枯れるのか・・・?』


『それとも・・・』



自分が生き延びる為、


周囲の植物を枯らすのか・・・?



『苗木が、殺しあう・・・』



と不安に成る。



しかし、大丈夫にも思える。


その理由にも、根拠があった。



祖母やタロの賢さは、


暴走してはいない。



あくまでも、常識の範囲で、


賢く成っただけである。



その生物が持つ賢さを、引き出しただけ・・・



例えば、盲導犬は賢い・・・


しかし、医者や弁護士に成れる訳では無い。



あくまでも、犬の中では、賢い・・・


その範囲の事である。



祖母の賢さも、


レンガ風呂の様に、


僕にも、その原理が、


理解出来る範囲である。



また、父も祖母もタロも、


仕事の後は、疲れる・・・



その為、僕が帰って来たら、


回復魔法を受けている。



つまり、賢くは成ったが、


回復能力は、身に付いていない。



それを踏まえて、


魔法によって根を出した苗木・・・



僕が、成長魔法を送るのを止めれば、


その段階からは、普通の木として、


育つ・・・



その可能性の方が高い様に思う。



『しかし、本当に、そうなのか・・・?』



『木が賢く成ったら・・・・?』


『木の賢さって何だ・・・・?』



解らない事だらけであった。


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