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これは魔法の書です。  作者: わおん
209/2333

209

現在、僕は、数ヵ月先を予測していた・・・



これまで、僕は、自分自身に、


「賢い芝居をするな」と、


何度を言い聞かせている。



そんな僕にとって、


数ヵ月先の状況を考える事は、


苦痛であった。



小学5年生が、見知らぬ国に来て、


その国の将来を、考え、決断して、


それが、実行される・・・



これが日本で起きたなら・・・?



どこかの国からやって来た無知な少年が、


日本の水害対策を、提案して、


それが実行されたら・・・?



どれだけの被害を、生むだろうか・・・?



僕は、それを行っているのだ。



しかし、何もせずに、死んだ場合、


残された家族は、生きて行けない。



だから、無知な僕は、必死に考えた。



『秋に成って、水不足に成った時・・・』


『この牧草予定地で、何が起こるのか・・・?』



『牛は、習性として、森に入って行く・・・』


『そこで、貴重な水を飲み・・・』


『植物を食べる・・・』



『本来は、その方法で、生き延びる・・・』


『しかし、現在、森は枯れている・・・』



つまり、牛を守る為には、



『今から、森に木を植えて、草を植え・・・』


『秋に備える必要がある・・・』



現在、季節は春・・・



『間に合うのか・・・?』



考えても仕方ない。



牛を生息させる為には、


必要な事なのだ。



ネズミの森の、牧草地付近・・・


その森を、復活させる必要があるのだ。



その為には、山菜森から、


木を持って来る必要がある。



それを、ネズミの森に植えるのだ。



しかし、僕の死後も、


その木は、生きているだろうか・・・?



僕が、死んだ瞬間・・・


魔法の効果が消えて、枯れるのでは・・・?



その様な不安を感じる。



冷静に考えた場合、


そんな訳は無い。



その様には、思うのだが、


確かめる事は出来ない。



そして、それ以外にも問題がある。



ここが、牧草地と成って、


20頭の牛を放牧した場合、


最初は、この牧草地で、生活するだろう・・・



しかし、牛には、野生の本能がある。



同じ場所に居ると、


肉食動物に襲われる。



その本能が働く・・・



現在、枯れた大地の肉食獣は、居ない。



全て、津波で滅んだのだ。



つまり、現在、牛を襲う動物は、


1頭も居ない。



しかし、それでも牛は、


本能的に、移動を開始する。



それが、本能なのだ。



ところが、


牧草地は、


土砂の壁と、湿地川の間にしか無い・・・



結果、本能で移動を開始しても、


この牧草地に戻る以外の、選択支が無い・・・



しかし、それは、あくまでも、


僕の理屈である。



『牛は、本当に・・・』


『牧草地に住み着いてくれるのか・・・?』


『それとも草の無い地域に、移動して・・・』


『死んでしまうのか・・・?』



困った事に、それは、


やってみないと解らないのだ。



そして、その時、


僕が生きているとは限らない・・・



その為、この牧草地は、


ネズミの拠点から、


南に200キロも離れた場所に、


作ったのだ。



牛が、ネズミの拠点に来ない為である。



ネズミの拠点に到着する前に、


あきらめ、牧草地に戻って欲しい・・・



その為に、200キロも離れた場所に、


牧草地を作ったのだ。



もちろん、


原始人にとっても、200キロという距離は、


とても遠い、



しかし、その途中には、


1番川、2番川、本川、4番川、湿地川がある。



つまり、水分が補給できる。



また、それらの川にそって、森に入り、


北側に30メートルの位置を探せば、


放置式の芋畑がある。



タロに探してもらった芋を、


植えたのだ。



これによって、


1日50キロ、


4日で200キロの距離を、


移動出来る。



結果、3ヶ月に1度、


牛1頭を狩りに行く・・・



という事は、不可能では無い。



そして、その牛を、乾燥肉にして、


ネズミの拠点に、持ち帰れば良いのだ。



つまり、牧草地の近くにも、


乾燥室を作る必要がある。



では、なぜ、牧草地の近くに、


住まないのか・・・?



それは、芋畑の保護である。



現在、ネズミの拠点の近くには、


芋畑がある。



この芋畑は、放置式とは違い、


多くを収穫する為に、


必要に応じて、我々が水を与えている。



そして、その芋が


今後、我々家族の主食と成るのだ。



つまり、我々は、芋畑の近くに、


住む必要があるのだ。



そんな場所に、牛が居たら・・・?


牛は、穴を掘って、芋を食べるのか・・・?



それは解らないが、


牛が、芋の葉を食べる事は確実である。



結果、芋畑の近くで、


牛を飼った場合、


芋の葉が食べられ、


芋が育たない危険性がある。



では、木で柵を作り、


牛を、その中で飼育すれば、どうか・・・?


とも考えたが、


牧草はどうする・・・?



現代の牧場は、


牧草を購入して、輸送する事が出来る。



しかし、この世界に、


それは無い・・・



では、


20頭の牛が生きていける牧草地、


それを木製の柵を囲めるのか・・・?


『40キロ四方・・・?』


それが壊れたら、



その時、僕が、死んでいたら・・・?



『父が、木を運んで、修理するのか・・・?』



無茶な話である。



また、牛が糞尿をした川の水など、


家族に飲ませる訳には行かない。



結果、ネズミの拠点から、200キロの位置に、



湿地川と、牧草地を作り、


牛を、その地域に定着させる事が、


最善であると、僕は考えたのだ。



全ては、子供の考え・・・


全ては、机上の空論・・・



『本当に、大丈夫なのか・・・』



その後も、ネズミの森の、枯れ木を抜いて、


山菜森から持ってきた木と、植え替え、


牧草地の草を増やし続けた。



そして、2週間が経過した。


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