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ネズミ水路は、
ネズミの森の奥・・・
3人山脈から、水が吹き出す場所を、
消防水源と呼んでいる。
そして、先日、僕は、その水を、
枯れた大地に送る水路を作った。
その水路は、幅20メートルの、
通称、直線道路の中央を、
センターラインの様に、流れている。
水路の幅は30センチ・・・
現在、母は、枯れた大地に背を向け、
直線道路の左側に居る。
直線道路の両脇に、木を植える事が目的である。
現在、直線道路の、両脇の木が、
50メートル間隔で、抜かれた状態に成っている。
その為、その場所には、穴が空いている。
その穴のサイズは、直径20センチ程度である。
そして、その穴に、直径30センチの木を、
瞬間移動で植えて行く・・・
その時、邪魔な土は、
瞬間移動のエネルギーとして、
消費する・・・
結果、土が消費され、
土が無くなった空間に、根っ子がおさまる。
本当にエネルギーに、
変換されているのか・・・?
エネルギーとして、消費しているのか・・・?
魔法には、確認出来ない疑問点が多い・・・
物質を消費する魔法・・・
『地面の塩分・・・・』
『クズ粘土の不純物・・・』
それらは、本当に、
この世界から消滅しているのか・・・?
『全宇宙と考えた場合・・・・』
消滅した分、宇宙は小さく成っているのか・・・?
『それ程の、影響力が、本当にあるのか・・・?』
僕は、魔法に関する仮説に、不安を感じていた。
『回復魔法・・・』
『回復の原理は・・・?』
『回復とは何だ・・・?』
『何を基準として回復している・・・?』
『何を消費して回復している・・・?』
『回復した分、寿命が短く成るのでは・・・?』
『瞬間移動・・・・』
『そのエネルギーは、何だ・・・?』
『何が、どの程度、消費されているのか・・・?』
『この世界の空気が、消費されるのでは・・・?』
『その分、大気圏が小さく成るのでは・・・?』
不安要素が、多過ぎた。
『事実確認が出来ない・・・』
その為、不安でたまらない。
しかし、それでも魔法を使わないと、
この世界で、家族を生かす方法が無いのだ。
山中は、カビが繁殖して、
呼吸が困難である。
回復魔法無しでは、生きて行けない。
だから、魔法を使い生き延びたのだ。
そして、3人山脈、ネズミの森、枯れた大地、
これら東海岸は、食料が無い・・・
その為、西海岸で調達する必要がある。
結果、瞬間移動無しでは、生きて行けない。
そして、何より・・・
魔法を使わないと、
僕が破壊した、この自然を、
再生する事など、不可能なのだ・・・
『本当に、そうか・・・?』
『本当に、そうなのか・・・?』
僕は、自問自答を繰り返しながらも、
魔法を使い、仕事を続けた。
最近、僕の魔法は、
恐ろしいスピードで進歩する。
穴を記憶して、
湿地帯に移動して、
木を1本選び、
記憶した穴に、瞬間移動させ、
植えた状態にする。
その後、木の健康状態を調べ、
その上で、回復魔法で、
元気な状態にする。
この一連の作業に、
最初、数分かかていたが、
それが、現在では、数秒に成っていた。
『この作業に、問題は無いのか・・・?』
『まだ、気付いていないだけで・・・』
取り返しのつかない、失敗をしてるのでは・・・?
『もう手遅れな失敗を・・・』
とても不安だった。
『未来を知りたい・・・』
それが、切実な願いだった。
その日の夜、僕は考えた。
現在、未来を知る事は出来ないが、
未来を考える事は出来る。
タロの、今後である。
山菜森には、狼がいた・・・
サイズは、柴犬・・・
形状は、ドックレースの犬・・・
その様な姿であった。
それが、狼なのか犬なのか?
僕には解らない。
しかし、それをいえば、
タロだって、狼なのか犬なのか?
僕には解らない。
解らないが・・・
僕の知識では、
違う種類の犬の間にも、
子供は産まれる。
つまり、
山菜森の、その先の山・・・
通称・狼山・・・
そこで、生息する、通称・柴狼・・・
その柴狼と、タロの間にも、
子供は出来ると、考えられる。
つまり、タロは、子孫を残せるのだ。
もちろん、タロは、そんな事を望んでいない。
僕が、勝手に考えているだけである。




