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これは魔法の書です。  作者: わおん
202/2329

202

現在、母と、胎児の僕と、タロは、


山菜森に居る・・・



芋の豊作ポイントの芋は、


安全性に疑問がある。



その為、それ以外の場所で、芋を探している。



結果、収穫には、時間がかかったが、


タロは、生き生きしていた。



自分にしか出来ない仕事をしている。


自分が必要とされている。



その喜びが、大きい様である。



タロが山を駆け回り、


「ここ!」と言った瞬間、



僕が、芋を回収する。



この手順が、進歩した事で、


芋は100個集まった。



しかし、ネズミの拠点に戻った僕は、


悩んでいた。



では、この芋をどうするか・・・?


何度も考えたが、


実行すると成ると迷う・・・



現在、我々は、飢え死にする状況では無い。



肉も山菜もある。



つまり、今日、集めた芋は、


畑に埋めて、タネ芋にするベキである。



そうすれば、本当に飢えた時、


この芋が、希望に成る。



では、その畑は、どこに作るか・・・?



その事で、僕は悩んでいた。



絶望的な水不足を想定した場合、


芋は、水源の近くに、埋める必要がある。



つまり、消防水源の近くである。



しかし、その場所は、日当たりが悪い。



それで芋が育つのか・・・?


水源の周囲の木々を排除する事は、危険である。



周囲に木々が無いと、湧き水が枯れるのだ。



また、水が豊富である現在、


消防水源の近くの地面は、


水分量が多過ぎる・・・



結果、地中の芋が腐る可能性が高い・・・



などと、何度も何度も考え、



結果、ネズミ水路から、


30メートル離れた場所に埋めた。



ネズミ水路とは、


3人山脈から吹き出す水源、


通称、消防水源と、



ネズミの森を出た場所にある、通称、ミゾ、


それを、つなぐ、


全長200キロの水路である。



ネズミ水路は、完成時、


幅30センチ


深さ30センチであったが、



水の流れによって削られ、



現在は、


幅40センチ程に成っていた。



このネズミ水路は、


幅20メートルの直線道の真ん中を、


センターラインの様に流れている。



これにより、


水不足の非常時には、


父や祖母が、この直線道を通り、


効率良く、山に向かえるのだ。



それを踏まえ、



今回、集めた芋は、


直線道から、北に30メートルの位置に、


100箇所に分けて埋めた。



一箇所に埋めた方が、掘り出す時は、


効率良いのだが、



芋は、水分過剰でも、水分不足でも枯れてしまう。



そこで、埋める場所を、分散させる事にしたのだ。



しかし、これでは、どこに埋まっているのか、


解らなく成る。



その時、タロが元気である保障は無いのだ。



つまり、タロが居なくても、


父や祖母にでも、探せる必要があった。



そこで、芋を埋める場所の、


半径4メートルの木を、


瞬間移動で、取り除き、



地面の塩分を消滅させ、


その地面を耕し、


そこに、芋を埋めた。



これによって、


日当たりが良く成り、


発見も簡単に成る。



ここは、水源の近くでは無いので、


木を抜いても、問題無いのだ。



そして、ネズミ水路からも近いので、


「水やり」の必要も無い。



また「水やり」が必要な時が来たら、



その時は、その芋を掘って、


食べる必要のある時なのだ。



100個の芋を、


100箇所に分散して埋めた畑、



通称、「百畑」の完成である。



翌日、


タロには、ネズミの拠点の、見張りをたのみ、



僕と母は、


直線道の、両サイドにある立ち枯れの木を、


瞬間移動を使って、


50メートルに1本の割合で、抜いて行く。



根っ子も残らず、


通称、北の材木置き場へと、移動させた。



まず右側1本、50メートル進んで、左側1本、


木の太さは、20センチ程度・・・



最初は、1本5秒かかっていたが、


繰り返す事で、そのペースは上がって行った。



最終的には、我々の、瞬間移動の片手間に、


木を抜いていた。



僕は、この魔法に不安を感じた。



『本当に、これで良いのか・・・・?』



これ程の力を、1人の人間が、


持って大丈夫なのか・・・?



僕は、まだ、母の胎内に居る・・・



その為、母に与える影響を考え、


その力は、多少おさえている。



それで、これなのだ・・・



つまり、生まれた後、この力は、


さらに成長する可能性があるのだ。



『大丈夫なのか・・・?』


『コントロール出来るのか・・・?』



『母を巻き込まずに、僕だけで死ねるのか・・・?』



そんな事を考えながらでも、


作業を続ける事が出来た。



『魔法が異常なペースで成長している・・・』



消防水源に到着後、


今度は、地面の塩分を消滅させながら、


枯れた大地に引き返す。



その距離、片道推定200キロ、


これだけの作業が、3時間程度で、完了した。



非常に助かるが、



『素直には喜べない・・・』


『魔法の成長が怖い・・・』



それが、僕にとっての魔法と成った。


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