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これは魔法の書です。  作者: わおん
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002

当時、4歳で、幼稚園児だった僕は、


幼稚な理屈で、自分の事を、


魔法使いだと、信じていた。



実際には、信じる努力をしていた。


信じたかったのだ。



しかし、世の中というのは、残酷である。



幼稚園から帰った僕は、


絶望という言葉の意味を知った。



「トイレが、違うヤツに成ってる!」



午前中に業者さんが来て、


新製品と交換して行ったらしい。



左手を振り上げるが、


トイレのフタは開かない。



それは、当然の事であった。


このトイレのフタは、自動では開かないのだ。



『やっぱり僕は・・・』


『魔法使いじゃなかった・・・』



そう思い、僕は、ガックリした。



しかし、本来、ここは、


ガックリする場面では無い。



ところが、当時の僕は、


その事が、理解出来なかった。



僕の家のトイレのフタは、


過去に何度も割れていた。



自動で開く衝撃に負け、


フタの一部が割れるのだ。



我が家の場合、


それが保障期間中に7回も起きた。


まだ3年目なのに7回である。



現実的に考え、その様な事はありえない。


その為、メーカーの担当者が、


直接確認に来たらしい。



子供が2人いる家・・・



つまり、僕が割っていると、


疑われていたのだ。



しかし、


メーカーの担当者が、確認した事で、


僕の無実は証明された。



人の力で壊したら、


プラスチックは、白く変色するらしい。



ところが、我が家のトイレのフタには、


その痕跡が無い。



結果、担当者の提案で、


手動開閉モデルに、


交換して貰ったそうである。



僕は、子供部屋に戻った。


姉と2人で使っている部屋である。



姉は、まだ小学校から帰って来ていない。



僕は、姉の学習机の上に、絵本を置いた。


当時は、まだ、僕の机は無かったのだ。



僕は、絵本を、トイレのフタに見立て、


左手を振り上げた。



もちろん、絵本は開かない。



しかし、その時、僕はひらめいた。


部屋を出て、気持ちを作る。



そして「トイレ、トイレ、」と言いながら、


部屋に入り、左手を振り上げる。



もちろん、絵本は開かない。



しかし、その時、僕は、


『まさか・・・』


と、ひらめいた。



僕は、窓を開けた。


すると、風でカーテンが、少し動いた。



『よし!』



僕は部屋を出て、気持ちを作る。



そして「トイレ、トイレ、」と言いながら、


部屋に入り、左手を振り上げる。



すると、その瞬間、


カーテンは、大きく振り上がり・・・


再び元の位置に、垂れ下がった。



それは、風の力とは思えなかった。


僕は、風を感じなかったのだ。



『やった! やっぱり僕は、魔法使いだ!』


『動いてるモノを、動かせるんだ!』



つまりである・・・


僕は、実験を開始した。



まず、部屋のドアの前に立つ・・・


そして、半開きのドアを指で突く・・・


すると、ドアが少しだけ開いた。



その力加減を、何度か確認して、


『よし!』


僕は部屋を出て、気持ちを作る。



そして「トイレ、トイレ、」と言いながら、


右手の指でドアを突き・・・


左手を振り上げた。



『開かない・・・』



しかし、幼稚な発想が、僕にヒントを与えた。



『あっ!なるほど、そういう事か・・・』



僕は、部屋の中に入り、


ドアを半開きにして、身体を左に傾ける。



結果、僕には、そのドアが、


トイレのフタと同様、上下に開く構造に見える。



僕は、そんな不自然なポーズで


「トイレ、トイレ、」と呪文を唱え・・・


右手の指をドアに引っ掛け、軽く動かす・・・


そして、左手を振り上げる。



すると、ドアが、「バタン」と閉じた。



『本当に・・・?』



『もしかすると、右手の力加減が・・・』


『強過ぎたのか・・・?』



正直不安を感じる。



部屋の窓も、まだ開いている。


窓が開いてると、ドアが勢い良く閉まる。



その様な事が、過去に何度かあった。


そこで、窓を閉める。



そして『よし!もう1度』 


ところが、そこで終了と成った。



姉が帰って来たのだ。



今日は、土曜日、


家族4人で昼ご飯を食べに行く日・・・


外食なのに、全然うれしくなかった。



『実験がしたい・・・』



しかし、当時の僕は、


幼稚園、年少組の4歳児である。



ショッピングモールで、


玩具を買ってもらえると知って。


ウキウキが止まらなく成った。



そして、僕はひらめいた。



『ミニカーだ・・・いやロボット・・・』


『動いているモノが、動かせるのなら・・・』


『ミニカーを、走らせる事が出来る・・・』


『電池で動くロボットを、操作出来る・・・』



『魔法が使える・・・!』


『これを練習すれば、悪と戦える・・・!』


僕は、興奮していた。



ところが、その1時間後・・・



僕は、変身ベルトを買ってもらって、


ニコニコしていた。



物欲には、勝てなかった・・・


ミニカーは家にあるのだ。



それで試せば良いのである。



しかし、その日は、


見えない敵との格闘に疲れ、寝てしまった。



それが僕である。


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