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これは魔法の書です。  作者: わおん
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現在、我々、家族全員は、


新ネズミの拠点から、


300メートル程、西側の場所に居る。



そこは、乾燥室予定地である。



しかし、その乾燥室を作る為の、


レンガの作り方が、決まらないのだ。



レンガの型を、どの様に作るか・・?



アイデアだけなら、沢山ある。



しかし、僕の死後にも、


それが出来るのか・・・?



それが、合理的な方法なのか・・・?



それを考えると疑問である。



現在、ネズミの森の木は、


枯れてから3ヶ月が経過しているので、


乾燥が進み、その多くに亀裂が入っている。



その亀裂に、石のクサビを叩き込み、


直径20センチの丸太を、


縦半分に割る。



石器で板を作るのは困難だが、


長さ30センチ


太さ20センチの丸太なら、


縦半分に割れる。



その割れた面を、


軽く削れば、


半丸太が完成して、


その面は、板の様に平らである。



それを日陰の地面に置き、


板面を向かい合わせにして、


石で固定、


それに、ワラ粘土をつめ、


両サイドを手で整える。



『本当に可能か・・・・?』


『両サイドを手で叩く事に成る・・・』



地面に置いた丸太に、


ワラ粘土を入れる・・・



『その時点で、丸太が動く・・・』


『型として機能しない・・・』



『これも駄目だ・・・・』


『仕方が無い・・・』



その為、僕は、決断をした。



『父に木型を作ってもらう!』



これは、思い付きでは無い。



何度も何度も、様々な方法を考え、


それを、何回も何回も改善して、



それでも駄目たった中で、


唯一、希望を感じる方法・・・



それが『父の器用さに賭ける!』であった。



丸太を用意する。


太さ5センチ


長さ30センチ



それにクサビを打ち込み、


縦に割る。



これにより、半丸太が出来る。


次に、枝を使った定規を使い、


半丸太の端から5センチの位置に、


ホゾ穴を開ける。



石器のノミ・・・


先が平らで鋭い石である。


それを棍棒で叩き、


半丸太に、


3センチの穴を開ける。



僕の説明を理解して、


父は作業を開始する。



『本当に出来るのか・・・?』



父の部族には、


その様な技術は無かった。



その為、見た事も、聞いた事も無い・・・



『木に穴を開ける・・・?』


そんな嘘の様な事を、


家族が見守る中、挑戦するのである。



その為、作業が慎重に成り、


棍棒の力が弱く成る。



半丸太が割れる事を、恐れているのだ。



すると、それを見た祖母が、


『縦割れる、横割れない』


その様にアドバイスした。



その通りであった。


半丸太は木目にそって、


縦になら割れる。



しかし、横には割れない。



そこで、父は、木目に対して、


横向きにノミを叩き込んだ。



数分後、多少ゆがんでいるが、


3センチの穴が完成、



その後、半丸太の反対側、


5センチの位置にも、


3センチ四方の穴を開けた。



その間、祖母も、


残りの半丸太に、


同様の加工を行っていく。



では、次に、


幅5センチ


長さ20センチ


その丸太を、半丸太にする。



そして、半丸太の両端を、


3センチ突起状に削り、


先ほどの、穴に差し込む。



簡単に抜けると困るので、


少し固めで差し込む為、


少し削っては、ギリギリ入るレベルを探る。



これによって、


レンガの木型が完成した。



横棒が2本の「ハシゴの模型」


その様な形状の型が出来た。



これを使えば、


縦20センチ


横10センチ


高さ5センチ



この寸法のレンガが量産出来る。



実際、祖母が、土を入れ、


手で「パンパン」と叩き込む、


そして、その型を、


ひっくり返し、逆面も、


手で叩き平らにする。



『これが型から抜けるのか・・・・?』


と一瞬心配したが、


粘土の性質上、簡単に抜けた。



父は、それを見て、満足すると、


ワラ粘土作りを開始した。



だれが言った訳でも無いが、


当然の事に様に、


父がワラ粘土を作り、


祖母がレンガを作る。



その作業が続く・・・



その数は、100を越え、


ここで、今日の作業は終了と成った。



しかい、正直、僕は内心不安であった。



『本当にレンガは完成するのか?』



僕は、作った事など無いのだ。



テレビで見た事がある。


だだ、それだけの知識である。



実際には、角材を使った型を使い、


外国の職人が、レンガを作る光景・・・


何かの番組で見た・・・


その程度の知識なのだ。



その為、本当に上手く行く保障など無い・・・



前日、父と祖母が、粘土で作った茶碗は、


まだ、乾燥中である。



それを見る限りは、割れていない。



しかし、茶碗の粘土は、


僕が、不純物を除去したモノである。



つまり、完全な粘土なのだ。



しかし、今回のワラ粘土は、


木の根を除いた程度の、粘土質のドロ・・・



『失敗したら、どうしよう・・・・』



などと、僕が悩んでいると、


祖母が話しかけて来た。



祖母が僕と話す場合、


母が、祖母を抱きしめる必要がある。



タロは、抱きしめなくても話せるのに、


なぜ・・・・?


と不思議なのだが、


こればかりは、仕方ない。



非常に効率が悪いが、


この方法を使わないと、


父や祖母とは、話が出来ないのだ。


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