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これは魔法の書です。  作者: わおん
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現在、母と僕は、


ネズミの森と、枯れた大地の境界線・・・


つまり、通称、ミゾの前に居る。



このミゾは、森から流れる水を、


南北に分離して、1番川と、2番川に、


流している。



そして、今、その分岐点が、


森から流れ出す水によって、


溢れているのだ。



『ミゾを広げるか・・・?』


と思うが・・・



冷静に考える。



魔法で、何かをする事は、


とても簡単である。



ミゾなど、数分で、


拡張出来る。



しかし、魔法で、何かをやった後、


それを、元に戻す事は、


困難である。



土を取り除く事は出来ても、


土を元通りの場所に、


元通りの強度で戻す事など、


不可能なのだ。



木は削れるが、


削った木を、元通りには出来ない。



それと同じである。



今は、雪解け時期なので、水の量が多いが、



しかし、この先は・・・?



水が増えるのか・・・?


水が減るのか・・・?



母にも聞いてみたが、


母にも、解る訳が無かった。



山に降った雨が、どの程度、


流れて来るのか・・・?



母にとっても、初めての経験なのである。



つまり、今後が、解らない状況で、


ミゾを拡張する事は、危険であった。



明日も、


これだけの水が、流れて来る保障は無い・・・


雪解けの時期は、終わったのだ。



そして、夏が来る・・・



つまり、


今後は、水不足の危険性が考えられる。



そんな時、ミゾの幅が広くて、


多くの水が、無駄に蒸発したら・・・



芋畑は壊滅する。



そう考えると、


この地域の、川の形状も納得が行く。



川の両サイドが斜面であり、


歩いて下りられるのだ。



なぜなら、水が少ないので、


動物たちは、川底近くまで下りて、


水を飲んでいた。



その状況は、何千年も続き、


川の両サイドは削られ、


斜面と成った。



『つまり、確実に水不足に成る』



だから、今日の状態を基準に、


ミゾを広げるのは危険である。



僕は、僕に、その様な説明を行い、


自分を納得させた。



『では、この後、どうするか・・・?』



ネズミの森に、完成させた幅20メートルの、


水の通り道・・・


通称、直線道路・・・



そこに、


深さ30センチ、


幅30センチの水路を作る。



現在、森の中の、直線道路を、


水が流れているのだ。



結果、地面の土が削られる。



しかし、その地面には、


木々の根が残っている。



つまり、土が削れ、根が残り、


不自然な川に成ってしまう。



100年後を考えた場合、



その方が良い川なのかも、知れないが、



現在、僕の目的は、



僕が死んだ場合を考え、


家族の為に、水を確保する事である。



その為、100年後の自然は、無視して、



目先の水路作りを、優先する。



以前、ミゾを作った時、


丸太を地面に瞬間移動させ、


土を消滅させる方法を使い、


ミゾを完成させた。



その時は、地面の土を瞬間移動で、


別の場所に、移動させる事など、


不可能に思えたのだ。



ところが、今は違う。



僕が、1番湿地帯を、


土の移動場所と決めた事で、


次の瞬間、魔法が発動して、



地面に水路が出来て行く・・・



2時間後、


消防水源と、ミゾをつなぐ、


通称・「ネズミ水路」が完成した。



「ネズミ水路」から、流れて来る水が、


ミゾに激突して、


そこに、池が出来始めている。



『これで良し!』



では、次である。



ネズミ水路を作った時に、取り除いた土は、


高さ30センチ、


幅30センチ、


長さ100メートル



それが、


枯れた大地の、


1番湿地帯に、並んでいる。



その数、約2000本



僕の予想では、


この土は、粘土質である。



しかし、その中には、砂や、木の根など、


不純物が混じっている。



僕は、1本を選び、


その中の不純物の消費を行ってみる・・・



『チャンスだ・・・』


『除去魔法の確認が出来る・・・』


『練習が出来る・・・』



実際、僕の魔法は、


確認や練習は出来ない。



その様な理由では、発動しないのだ。



しかし、現在、目の前にある土・・・



そこから不純物を取り除く事は、


必要な事である。



その為、僕の魔法は、発動した。



では、これの何がチャンスなのか・・・?



それは、塩分除去の練習が、出来る事である。


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