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これは魔法の書です。  作者: わおん
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現在、母と、その胎児である僕は、


ネズミの森に、川を作る為に、


木々の排除を行っている・・・



作業開始から、1時間後、


母が、指をさす必要は、無くなっていた。



これまでは、瞬間移動を行う木を、


母が指でさし、


その結果、僕の魔法が成立していたのだ。



しかし、木々の排除を続けた結果、



巨木であっても、4本程度なら、


まとめて移動出来る様に成っていた。



2時間後、


母は歩いていた。



母の進むと、前方の木々が消え、


幅20メートルの道が出来る・・・


その様な状況に成った。



3時間後、


母は歩いていない。



前方の木々が消え、


瞬間的に幅20メートル、


長さ100メートルの道が出来、


瞬間移動で、進む事に成った。



その間、木材置き場は、


北の100キロポイントから、


西に20キロポイント、


西に30キロポイント、


という様に、拡大して行った。



『この木は、一体何に使えば良いのか・・・?』


そんな事を考える余裕も出来た。



4時間後、


消防水源まで、半分の距離まで来ていた。



その距離、推定100キロ、



その結果、ネズミの森で、


湿地帯を作っていた水が、


その道路を通り、


ネズミの森と、枯れた大地の境界線、


略称、「ミゾ」を、あふれさせた。



一見、失敗にも思える。



しかし、それらの水も、



結局は、ミゾを削りながら、



1番川か、2番川に流れている・・・



つまり、今後、ミゾは、


理想的なサイズに削られ、


その機能を発揮する事に成る。



僕は、枯れた大地の湿地帯を見た。



ミゾが完成してから、


数日が経過している。



このミゾによって、


これまで1番湿地帯を作っていた水が、


1番川と、2番川に、引き込まれているのだ。



つまり、この数日間、


湿地帯には、水は供給されていないのだ。



ところが、1番湿地帯の水は、


「水たまり」と成って、その場に残っている・・・



ミゾを作った直後は、湿地帯側からも、


ミゾに水が流れ込み、


湿地帯の水量を減らした・・・



しかし、平地である性質上、


多くの水は、水溜まりとして、


湿地帯に残ってしまったのだ。



その光景に、僕は、疑問を感じた。



『なぜ、残っている・・・・?』



『この数日は、涼しいから・・・?』


『蒸発しない・・・?』



『地面は、水を吸わないのか・・・?』



そこで、僕は、気付いた。



『粘土!』



僕は、思い出した。



生前、僕は、庭で「田んぼゴッコ」を行った。



庭に穴を掘って、水を入れ、


苗に見立てた草を、


「田植え」と言って植えたのだ。



しかし、1時間後、


穴の中の水は無くなっていた。



その時、不思議に思った。



では、なぜ、本物の田んぼの水は、


無くならない・・・?



理由は、使っている土の性質だった。


水を通し難い土、



つまり、粘土質の土・・・



それを使っている為、


水が地面に、吸い込まれないのだ。



それを踏まえ・・・



ミゾを作った事で、


現在、枯れた大地の湿地帯には、


この3日間、


水が追加されていない。



それなのに、水たまりが消えない・・・


つまり、ここの土は、粘土質なのだ。



そして、僕は、理解した。



『この地面の下には、岩塩の大地がある・・・』


『しかし、草が生える・・・』


『ネズミの森には、木々が生えていた・・・』



『地中に、岩塩の地層があるのに・・・』


『植物が生えていた・・・』



『その理由は、粘土層・・・』


『粘土が、地中の塩分を遮断している・・・』


『だから、植物が育った・・・』



おそらく、ネズミの森は、


粘土層が厚い・・・


結果、木々が育つ・・・



そして、枯れた大地の粘土層は薄い・・・


そして、水も少ない・・・



結果、木々は育たず、草しか生えなかった・・・



これで、ネズミの森が、


不自然に途絶えている理由が解った。



しかし、重要なのは、そこでは無い。



重要なのは・・・



『つまり・・・・』


『粘土で、土器が作れる・・・』


『壷を作って、干し肉が保存出来る・・・』



昼食後、


森の木々は、次々と消え、


その1時間後、消防水源に到達した。



消防水源から、枯れた大地に、


幅20メートルの直線道が続いている。



そして、消防水源の水が、


その直線道を通り、枯れた大地方向へと、


流れて行く。



その距離、約200キロ、



実の所、僕の距離感は、


本当に正確なのか、解らない。



しかし、遠過ぎて、


ここからでは、枯れた大地は見えない。



それは事実である。



『では・・・』


次の瞬間、我々は、ネズミの森の出口にいた。



ミゾは、先ほどよりも、あふれていた。



直線道が完成し、


それが、水の流れを良くしたのだから、


当然の結果である。


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