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これは魔法の書です。  作者: わおん
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母に、バケツを2つ抱えてもらい、


牛の大地で、新しい川を探す。



まず、山菜森の前まで行って、


そこからは、山菜森を、右に見ながら、


南へと移動を開始した。



昨日の、石無川から、12キロほどの地点に、


池があった。



川では無く池である。



山菜森を出て、数メートルの場所に、


池があるのだ。



川が無い。


ただの池である。



東に10メートル、


南北に、5メートル、


水位、50センチほど、



それが「ぽつん」と、そこにあった。



『川が無い・・・』


『つまり、湧き水・・・』



などと、賢い芝居をして、


考え込んでしまうが・・・



僕の、本来の目的は、


魚集めである。



『池なら、それで良い』



そこで、まず、池の中を見る、


が・・・



『魚がいない・・・』


『湧き水なら、当然か・・・』



しかし、僕は、違和感を感じた。



『生き物が居ない・・・』


『水草も無い・・・』



『この池が出来て、まだ日が浅い・・・?』


『日が浅いって・・・何日・・・?』



現実的に考え、


この池が、昨日完成した訳がない。



南北に5メートル


東西に10メートル


水深1メートル



これだけの池が、完成する為には、



何十年・・・



そのぐらい歳月が、経過しなければ、


この様な池は、完成しない。



僕は、その様に確信した。



なぜなら、


この池もタイガー池と同様、


「すりばち型」であったのだ。



つまり、牛が、歩いて底まで、


下りられる形状なのだ。



例えば、突然、地盤沈下が起こり、


そこに水が湧いたなら、


1日で池は完成する。



しかし、この「すりばち型」は、


何年もの間、動物が水飲み場に使った為、


地面が削られ、「すりばち型」に成ったのだ。



つまり、この池は、少なくとも、


数年以上前から、存在しているのだ。



そして、その間に、生物が住み着くのは、


当然の事である。



僕には、実体験があった。



生前の出来事・・・


庭にバケツが、放置してあった。



そこに雨水が、溜まった。


結果、ボウフラが、湧いた。



これは、蚊が飛んで着て、


卵を産むので、当然の事である。



しかし、不思議な事に、


そのバケツには、ミジンコも湧いた。



『一体、なぜ・・・?』



ミジンコは、ミジンコという生き物であって、


飛んだり出来ない。



しかし、それが、バケツの中で繁殖していたのだ。



そのバケツの水は、


元々、雨水であり、


池の水などでは無い・・・


それなのに、ミジンコが湧いたのである。



おそらく、鳥のフンとして、運ばれて来たのだ。



また、そのバケツには、コケが生えていた。


水は緑に成っていた。



それを踏まえ・・・



この池・・・



『魚は無理でも・・・』


『なぜ、微生物も居ない・・・?』


『なぜ、植物が育っていない・・・?』


『なぜ・・・・?』



もの凄く、興味が湧いて来る。



しかし、残念ながら、


僕は、気付いた・・・



『魚が居ないなら、別の川を探した方が良い・・・』



当然である。



『なぜ、魚が居ないのか・・・?』



そんな好奇心を満足させる為に、


調査ゴッコを行っても、


結局、僕には、解らない。



『水のアルカリ成分が・・・』



など理解出来ないのだ。



つまり、時間の無駄である。


遊びでは無いのだ。



必要で行動しているのだ。


僕には、時間が無いのだ。



僕は、自分に言い聞かせ、


再び、南を目指した。


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