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これは魔法の書です。  作者: わおん
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僕が死んだら、


残された家族は、どう成る・・・?


どの様な事で、困る・・・?



それを、軽減する為には、


何を、残せば良いのか・・・?



などと、考えるが、


何を考えても、全てに問題が残る。



枯れた大地の南に、


牧草地を作り、牛を繁殖させた場合・・・



そのフンは、どの様に成るのか・・・?



地面や川を汚染する・・・



牧草地の南側には、土砂の壁があり、


それ以上は、「南」に行けない・・・


その先には、草が無いのだ。



そして、牧草地の「北側」には、



湿地帯を作り変えた川、


通称、湿地川がある。



もちろん、その程度の川など、


牛は横断する事が出来る・・・



しかし、その先には、草は無いのだ。



数年後には、草は生えるだろうが・・・



200キロ先の、ネズミの拠点まで、


牧草が広がるのは、何年かかるだろうか・・・?



つまり、この数年間は、



牛は、南の壁と、湿地川の間の牧草地で、


生息する事に成る。



そして、その限られた範囲に、


毎日フンが放置される・・・



野生の牛の場合、毎日、移動するので、


同じ場所では、フンはしない。



ところが、牧草地以外、草の無い環境・・・


その場所に、牛を生息させた場合、



毎日、牧草地で、フンをするのだ。



フンが土に成る前に、次のフンをされるのだ。


結果、土地は汚染される。



『つまり、牧草が、枯れる・・・?』


『しかし、本当に牧草は、枯れるのか・・・・?』



牧草地のある、枯れた大地には、


雨が降らないのだ。



『フンは、数日で乾燥する・・・?』


『では、大丈夫なのか・・・?』


『地面は汚染されないのか・・・?』



『そんな訳が無い・・・』



僕の記憶では、


牧場では、毎日、フンを回収して処分していた。



その必要があるのだ。



しかし、僕の作った牧草地では、


牛のフンは、放置する以外に方法が無い。



それが、どの様な結果を生むのか・・・?


僕には、解らない・・・



『ハエ・・・フン転がし・・・』



この類の虫は、フンを分解して、


土に戻す役割りをしている。



『しかし、ハエが異常繁殖したら・・・?』


『この地域にフン転がしが居るのか・・・?』



現在、母と胎児の僕は、牛の大地にいる。



母は、木製バケツをかかえ、


周囲を見渡している。



僕は、足の長い、白い鳥、


通称・シラサギを観察している。



しかし、何も食べていない・・・


ただ、そこに居るだけである。



僕は、シラサギの、


次の動きを、待っているのだ。



その行動から、何かヒントを得る為である。



しかし、何もしない・・・



そんな状態が続くと、不安に成って来る・・・



『僕は、本当に死ぬのか・・・?』


『何日後・・・? 何十日後・・・?』



気持ちだけが、あせる。



『フンの事を、考えている場合なのか・・・?』



とも思えるが・・・


しかし、考える必要がある。



僕には、時間が無いのだ。



我々には、牛肉を保存する技術は無い。



結果、牛肉を毎日食べるなら、


1週間に1頭、牛を殺す必要がある。



それ以上は、保存出来ないのだ。



干し肉を作った場合でも、


1ヶ月に1頭は、牛を殺す必要がある。



その為には、何頭の牛が必要なのか・・・?



365日 割る 1週間は・・・


365÷7=52週間、



つまり、毎日、牛肉を食べる為には、


年間、52頭の牛が必要に成る。



次に、干し肉を作った場合、


1年は12ヶ月なので、


年間、12頭の牛が必要に成る。



しかし、本当に、干し肉が作れるのか・・・


夏でも、1ヶ月、保存出来るのか・・・?



これまでは、冬だった。


寒かった・・・


だから、腐らなかった。



しかし、今後、夏に成ったら・・・?


干し肉は作れるのか・・・?


干している最中に、腐るのでは・・・?



その時、僕は気付いた・・・



『くんせい・・・燻製を作って保存する・・・?』



単純な事だが、名案だと思った。



しかし、それは、問題でもあった。



僕は、今日の今日まで、


燻製を作る・・・



ただ、それだけの事を、思い着かなかったのだ。



僕は、自分の未熟さに恐怖を感じた。



『他にもあるのか・・・?』


『簡単な事なのに、気付いていない事が・・・?』



実行するベキなのに、実行していない事が・・・?



本当は、逃げ出したい・・・


もう、あきらめたい・・・



自分の無力が、恐ろしかった。



しかし、逃げれる訳ではない。


だから、結局は考える。



『年間12頭の牛を確保するには・・・』


『何頭の牛が必要だ・・・?』


『何頭いれば、適度に繁殖する・・・?』



牛が多いと、


牧草が無く成る・・・


川が汚染される・・・


結果、牛が病気に成り全滅する。



しかし、少ないと、


近親交配が進み、



『骨格に異常が出る・・・?』



僕の知る限り、


メダカの飼育を続けると、


背骨が曲がった子孫が増える・・・



それが牛でも起こるのか?


そもそも、メダカの骨が曲がる原因が、


近親交配によるモノなのか?



その答えも解らない・・・



『僕は、何も解らない・・・』



その時だった、シラサギが飛び立った。


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